年末調整の時期になりました。従業員の所得から控除される基礎控除・配偶者控除等・保険料控除などは従業員から提出される「年末調整申告書」に基づいて行うため、申告書を記入する際の注意点を従業員にしっかり説明しましょう。 また、提出後の内容チェックも大切です。
年末調整は、原則として給与の支払者に「扶養控除等申告書」を提出している人が対象です。本年中の主たる給与収入が2,000万円を超える人や、いわゆる日雇労働の人は年末調整の対象にはなりません。
従業員から提出を受ける年末調整申告書は、次の6種類です。
1.基礎控除申告書
2.配偶者控除等申告書
3.所得金額調整控除申告書
4.保険料控除申告書
5.住宅借入金等特別控除申告書
6.扶養控除等申告書
年末調整の対象者は必ず提出する書類です。 申告書の「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」の「収入金額」には、本年1月~11月までの給与支払明細書の課税支給額(賞与を含む)の合計と、12月の給料・賞与の支給額を見積もって記入します。
収入金額を基に、 申告書 (裏面) 「4 合計所得金額の記載についてのご注意」 の 「(1)給与所得」の【給与所得の金額の計算方法】を参考にして「所得の見積額」を求めます。 また、給与所得以外の所得があれば、その合計額も記入します。
合計所得の見積額を「控除額の計算」の判 定欄に当てはめて、「基礎控除の額」 (48万円・32万円・16万円) を記入します。
生計を一にする配偶者がいる人で、配偶者控除、配偶者特別控除を受ける場合に提出します。 ただし、納税者本人と配偶者の年収(給与収入のみの場合) が次の条件に当てはまることが必要です。
・本人の年収が1,195万円以下
・配偶者の年収が201万 6,000円未満
申告書への記入には「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」欄への記載が必要です。 前述した「1. 基礎控除申告書」と 同様の手順で、給与の支給額を見積もって所得の見積額を計算し、記入します。
給与の収入金額が850万円を超える人で、本人・同一生計配偶者扶養親族が特別障害者か、扶養親族が23歳未満に該当する人が提出します。
【ここに注意!】
申告書の提出時に、収入の見積額が850万円前後となり確定額が850万円を超えるかどうかが明らかでない場合も提出します。 所得金額調整控除の額は会社で計算します。
生命保険料控除や地震保険料控除などを受ける人が提出します。 提出時には、保険会社からの控除証明書等の添付が必要です。
【ここに注意!】
生命保険料控除や地震保険料控除などを受ける人が提出します。 提出時には、保険会社からの控除証明書等の添付が必要です。
親族等が契約した生命保険であっても、 本人が保険料を負担していれば、控除の対象になる場合があります。
また、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、「小規模企業共済等掛金控除」欄に記入します。 掛金を給与で天引きしている場合は、会社で毎月の税額計算の際、 控除を行っているため記入は不要です。
年の中途で生命保険契約を解約し解約一時金を受け取った場合の生命保険料は、その年中に生命保険契約の保険料を支払った場合には、生命保険料控除の適用を受けることができます。
年の中途で解約した場合でも、解約までに支払った保険料については生命保険料控除の適用を受けることができます。 解約一時金を受け取った場合は原則として一時所得となるので、支払保険料の金額から控除する必要はありません。
剰余金の分配や割戻金の割戻しがある場合には、その金額を支払保険料の金額から控除しなければなりません。ただし、解約時に解約一時金とともに、または解約一時金の支払を受けた後に支払を受ける剰余金の分配や割戻金の割戻しの金額は、原則として一時所得の収入金額に算入しますので、支払保険料の金額から控除する必要はありません。
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用2年目以降は、年末調整時に「住宅借入金等特別控除申告書」を提出することで控除を受けることができます。
その際、 同申告書に加えて、次の添付書類が必要です。
・年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書(税務署長が発行)
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(金融機関等が発行)
令和5年分の「扶養控除等申告書」は、年初に従業員から提出を受けていますが、 年末調整にあたり従業員に、所得の見積額や扶養親族の異動(結婚、出産、家族の就職、離婚、死別など)について、あらためて確認をしてもらいます。
訂正等がある従業員からは、 再度、令和5年分の「扶養控除等申告書」の提出を受けてください。
【ここに注意!】
配偶者の年収を正しく把握していても、子どものアルバイト等による収入をよく確認せずに扶養親族として申告すると、後日、税務署から会社経由で修正を求められることがあります。