「費用」を認識するタイミング等で、誤りやすいケースを確認してみましょう。
◎3月決算法人
◎4月に入社する新入社員向けの通信講座を3月に申し込み、支払も行った。支払処理をする際、全額を支払時 (3月) の「教育費」とした。
3月中に「役務の提供」を受けていないので、当期中の費用とすることはできません。 したがって、当期は「前払費用」 等として処理する必要があります。
◎3月決算法人
◎決算対策の一環として、決算月である3月に新しいタブレットPC (8万円)を10台購入し、「消耗品費」として処理した。
「少額の減価償却資産」に該当する取得価額10万円未満の資産の購入は、原則として、その取得価額の全額を「消耗品費」として費用計上することが可能です。ただし、そのタブレットPCを、当期において「事業の用に供した」、つまり実際に業務に使用していなければなりません。
梱包されたままの未使用の状態で、実際に業務に使用したのが4月以降の場合には、「貯蔵品」として翌期に繰り越す (当期の費用としない)ことが必要になります。
◎6月決算法人
◎中古の機械を同業者から100万円で購入し、代金は同業者に振り込んだ。現物が搬入された際、運送会社から「6月25日」付 の引取運賃として15万円の請求書を受領した。この運賃について、「(借方) 運賃/ (貸方)未払金」で処理した。
固定資産の購入に伴う引取運賃等の付随費用は、固定資産の取得価額に加えなければなりません。そのため、この設例では「(借方) 機械装置/(貸方)未払金」が正しい仕訳です。なお、購入した機械の実際の稼働が翌事業年度の場合、減価償却費の計算は「事業の用に供した日」からとなります。