夏から秋にかけては台風シーズン。
風水害や地震等により法人の資産が被害を受けたときの損害額や復旧費用、被災した従業員や取引先を支援したときの支出等の多くは、当期の費用や損 失として損金とすることができます。
法人が取引先の売上債権を免除したり、慶弔等に際して金品を贈ったりした場合、通常は寄附金や交際費等に該当します。ただし、被災した取引先に対して、取引関係の維持、回復を目的とした復旧支援やお見舞いのための支出等は、費用や損失として損金算入することが認められます。災害時によくあるケースを確認してみましょう。
被災した自社の従業員やその親族等に対して、慶弔規程などの合理的な基準に基づき支給した災害見舞金品は、福利厚生費になります。これは、自社の従業員等と同等の事情にある専属下請先の従業員等やその親族等に支給する災害見舞金品についても同様です。
被災して通常の業務ができなくなった取引先に対して、取引関係の維持や回復のために災害見舞金等を贈ったときは、その支出は交際費等に該当せず、損金算入が認められます。
ただし、法人が被災した取引先の役員や従業員個人に対して支出する災害見舞金等は、交際費等になります。これは、取引先救済のための費用には該当せず、慰安や贈答に該当する費用として考えられるためです。
食品や衣料品メーカーなどが、不特定または多数の被災者を救援するために自社製品等を提供したときは、広告宣伝費に準ずるものとして損金算入することが認められます。
[ケース2]と同様に、被災した取引先へ事業用資産を供与した場合も、その支出は損金算入することが認められます。
供与する事業用資産は、自社が製造した製品等だけでなく、他から購入した物品でも構いません。また、その資産が取引先の事業に利用されるもののほか、取引先の従業員等の福利厚生の一環として利用されるものも含まれます。なお、取引先の役員や従業員個人へ資産を供与した場合は交際費等になります。
被災した取引先の復旧支援のために売掛金や貸付金等の債権をその復旧過程期間内に免除したとき、その免除による損失は、寄附金や交際費等以外の費用として損金算入することが認められます。
災害時の税務上の取扱いについて、 詳細は国税庁Webサイトも参考にしてください。 判断に迷われた際は、当事務所までご相談ください。