自社の経営状況を適切に把握するために重要な、日々の記帳。
でも、毎日の業務の中で、処理の仕方を迷ったり、疑問を抱いたり、中には誤解していたりすることもあるのでは?
「適時・正確な 記帳」のためにいま一度確認してみましょう。今回のテーマは「費用」 です。
請求書が届いた時に、「今期の日付だから、今期の費用だ」と考えて、すべて今期の費用として処理してしまったことはありませんか?
実は、費用計上には一定のルールがあります。もう一度確認してみましょう。
そもそも「費用」とは、収益を得るために発生する支出のことを指します。
そのため、一定期間の収益とその費用は必ず対応させること、また、発生した期間に正しく割り当て
られるように処理することが求められます (費用収益対応の原則)。
つまり、「今期の費用は今期に、翌期の費用は翌期に」が費用計上の大原則なのです。
加えて、「いつ費用にできるか」というタイミングには、税務においても一定のルールがあります。
これは、「課税の公平性」の観点から、「利益が出たから今期だけまとめて1年分支払う」といった利益操作のための支出や、収益との対応期間のズレがないようにするためです。
税務上の費用は「損金」といい、例えば、売上高を得るために直接要する費用(売上原価)は、売上に対応する分だけが損金として計上できます。
そのため、仕入の額から期末の棚卸高を除いた額が売上原価になります。
販売費や一般管理費その他の費用は、減価償却費や引当金繰入額等を除き、「当期中に債務が確定しているもの」が損金に計上できます。
「当期中に債務が確定しているもの」とは決算日までに、 次のすべての要件を満たしているものをいいます。
1. その費用に係る債務が成立していること
(注文や申込等を行っていること)
2. 具体的な給付をすべき原因事実が発生していること
(役務の提供を受けていること)
3.金額が合理的に算定できること
(請求書等で金額が分かること)
例えば修繕費の場合、建物等の修繕を発注し、修理業者による修繕が完了し、かつその金額が客観的に確認でき得る状況にあれば、上記の3つの要件を満たしているため、代金を支払っていなくても「未払金」等として計上することが可能です。