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人件費増をカバーする税務対策



2025年の地域別最低賃金の答申で、全国加重平均が時給1,121円(前年度比+66円)となりました。改定額の発効は都道府県ごとに異なり、2025年10月1日から2026年3月31日までの間に順次発効する予定です(都道府県労働局発表による)。

この記事では、税理士の視点から人件費増を税制優遇・助成金・即時経費化で補う実務的な対策を3つに絞ってわかりやすく解説します。令和6年度(2024年度)の税制改正での見直し点も踏まえた実務上の注意点を掲載しています。

1. 2025年最低賃金引き上げの全体像

令和7年度の答申では、全都道府県で時給が1,000円を超える水準に引き上げられ、全国平均(加重平均)は1,121円です。引き上げ幅は過去最大であり、発効日は都道府県ごとに異なります。

地域例 2024年額(改定前) 2025年額(答申) 引き上げ幅 発効日(例)
全国加重平均 1,055円 1,121円 +66円(答申ベースで最大の引上げ幅) 2025年10月~2026年3月(順次)
東京都 1,163円 1,226円 +63円 令和7年10月3日(決定・公示)
大阪府 1,114円 1,177円 +63円 令和7年10月16日(決定・公示)
秋田県(例:大幅引上げ) 951円 1,031円 +80円 (答申では発効日を令和8年3月31日とした例あり)
💡影響試算(修正)
例えば、時給が1,000円だった従業員を1,121円に引き上げた場合、1人あたりの月間増加額(160時間勤務想定)は121円×160時間=約19,360円になります。
従業員10名全員が同様に引き上げられた場合は、月間で約193,600円、年間では約2,323,200円の人件費増となります(概算)。(個別の勤務時間や対象人数で増減しますのでご注意ください。)

2. 対策1:賃上げ促進税制(税額控除)の活用ポイント

令和6年度の税制改正により賃上げ促進税制が見直され、中小企業者等向けには雇用者給与等支給額が前期比1.5%以上の増加があれば、増加額に対する税額控除が適用されます。基本控除率は増加額の15%相当で、上乗せ要件を満たすと最大で増加額の45%相当まで税額控除率が上乗せされます。ただし、当該事業年度の法人税額の20%相当が控除の上限となる点にご注意ください。

  • 通常要件(中小企業): 給与総額を前年比で1.5%以上増加
  • 上乗せ要件(控除率上乗せ):
    • 給与総額の増加率が2.5%以上で上乗せ(詳細は要件ごとに異なります)
    • 教育訓練費の増加や「くるみん」等の認定でさらに上乗せ
  • (重要)実際の控除可能額は算式による計算と「当該事業年度の法人税額の20%上限」等のルールが適用されます。適用要件・書類の保存が必要です。
  • 事例(概算):年収300万円の従業員5名に対して一律で5%の賃上げを行ったときの増加額(概算)と税額控除のイメージを、税率等に応じてご相談の上で精算します(具体数値は個別試算が必要)。

3. 対策2:業務改善助成金で生産性向上投資を支援

厚生労働省が運用する「業務改善助成金」は、事業場内最低賃金を引き上げ、かつ生産性向上に資する設備投資等を行う事業者に対して、その費用の一部を助成するものです。制度は令和7年度に拡充されており、条件によっては助成額が最大600万円となる場合があります。

  • 対象経費例: POSシステム、セルフオーダーのタブレット、業務効率化ソフト、コンサルティング費用、教育訓練等
  • 要件のポイント: 事業場内最低賃金の引上げを一定額以上行うこと、地域別最低賃金との差額が所定の範囲内であること、事前に計画(申請)を行うこと 等。※事後実施では対象にならないため、事前申請の手続きが原則必要です。
  • (注意)助成内容や上限・助成率は「引上げ幅」「対象労働者数」「コース」により異なります。交付決定前に設備を導入した場合は対象外となる点や、年度ごとに募集・要領が変わる点に留意してください。

4. 対策3:少額減価償却資産の特例(即時経費化)

中小企業者等を対象に、〈取得価額が30万円未満の減価償却資産〉について、取得年度に全額損金算入(即時償却)できる特例があります。適用には年間合計の上限(300万円)等の条件があり、現行では適用期限が2026年3月31日(2025年度末)まで

  • 対象:取得価額が30万円未満の減価償却資産(中小企業等に限る)
  • 上限:1事業年度あたり合計300万円まで(事業年度が1年未満のときは按分)
  • (注意)他の優遇措置との重複制限や対象範囲に細かな規定があります。適用を受ける場合は損金経理と明細書の添付等の手続きが必要です。:contentReference[oaicite:14]{index=14}

まとめ

2025年の最低賃金引き上げは企業のコスト負担を増やしますが、一方で税制優遇(賃上げ促進税制)や助成金(業務改善助成金)、少額減価償却の特例などで対応できる余地があります。各制度には細かな適用要件や手続き(事前申請・保存書類・控除上限など)があるため、早めに試算・計画を立て、申請・記録を適切に行うことが重要です。



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