映画やドラマなどで描かれる「税務調査」と聞くと、なんとなく怖いイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、正しい知識を持ち、きちんと準備をしておけば、税務調査は決して怖いものではありません。ここでは、税務調査にまつわるリスクを減らすための3つの「備え」をご紹介します。
会社に対する税務調査(任意調査)は、ほとんどの場合、法人税や消費税の申告書の内容を「確認」するために行われます。税務署の職員がいきなり訪問し、何日もかけて会社内を徹底的に調べるといったケースは非常にまれです。「適正申告」を行っていれば、過度に心配する必要はありません。
さらに、日頃から以下の3つの「備え」を実践することで、税務調査にまつわるリスクや不安をさらに軽減できます。
「適正申告」の基盤となるのは、正確な決算書です。そして、決算書の元となるのは日々の「適時・正確」な記帳です。記帳は後回しにせず、こまめに行う習慣を身につけましょう。
「証拠なくして記帳なし」と言われるように、売上や費用に関する証憑書類は時系列で整理・保存することが重要です。また、契約書、見積書、作業記録など、取引先との取引や作業に関する原始記録も、帳簿や決算書類とともに保存する義務があります。
税務調査では、会社と顧問税理士(会計事務所)がどの程度の頻度で連絡を取っているかを問われることがあります。これは、決算書や申告書の信頼性が税理士の関与度と密接に関係していると考えられているためです。
月次決算を行い、毎月の巡回監査を受けていれば、こうした質問にも安心して回答できるだけでなく、「毎月、客観的な視点でチェックを受けている=経営の透明性が担保されている」ことの証明にもなります。
※ここでの「顧問税理士」とは、税務署に委任状(税務代理権限証書)と税理士法の添付書面を提出している税理士を指します。
税理士による確認書面とは、顧問税理士が決算書や申告書の作成過程でどのように検討・判断したかを記載した書類です。これは、月次巡回監査が行われた証であり、顧問税理士の関与度を税務署に示すものです。
この書面が申告書に添付されている場合、税務調査の事前通知前に顧問税理士が税務署職員に意見を述べる機会(意見聴取)が与えられます。その結果、税務調査が省略される場合もあります。この書面添付制度は、突然の税務調査のリスクを軽減する「安心」の制度と言えるでしょう。