ビジネスにおいて、過去の投資に縛られ、合理的な判断ができなくなることはありませんか?行動経済学の「サンクコスト効果」を理解することで、賢い引き際を見極め、事業の成功確率を高めることができます。この記事では、サンクコスト効果とは何か、そしてそれを乗り越えるための実践的な方法を、税理士事務所の視点から解説します。
サンクコスト(Sunk Cost)とは、「埋没費用」とも呼ばれ、すでに投じたが回収できない費用を指します。これには金銭だけでなく、時間や労力も含まれます。人は、過去に費やした資源に対して愛着や執着を持ちやすく、「これまで投資してきたから」と不合理な意思決定をしてしまう傾向があります。これが「サンクコスト効果」です。
例: コロナ禍で2,000万円のマスク製造機械を購入したが、需要が減少し赤字が続く。それでも「投資した分を取り戻したい」と事業を続けてしまう。
ビジネスでは、サンクコスト効果が重大な問題を引き起こすことがあります。以下のようなケースで、過去の投資に縛られて判断を誤る例は少なくありません。
これらのケースでは、過去の投資や愛着が意思決定を曇らせ、結果的に損失を拡大させてしまいます。税理士として多くの企業を見てきた経験から、こうした状況は中小企業で特に顕著です。
サンクコスト効果の代表例として、超音速旅客機「コンコルド」のケースが知られています。1960年代に始まったコンコルドの開発は、燃費の悪さや定員の少なさから採算が取れないと早い段階でわかっていました。しかし、すでに投じた巨額の開発費(最終的に約4,000億円)を取り戻そうと開発を続け、結果として負債が膨らみ、2003年に全機運航終了となりました。この事例から、サンクコスト効果は「コンコルド効果」とも呼ばれます。
ある企業が2020年にコロナ禍でマスク製造事業を開始し、2,000万円の機械を導入しました。しかし、2023年にコロナ禍が収束し、需要が激減。赤字が続いているにも関わらず、「機械に投資したから」と事業を継続。その結果、赤字がさらに拡大しました。
解決策: サンクコストを切り離し、機械の使用を諦めて新規事業にリソースを振り分けることで、企業は新たな成長の機会を得ました。
サンクコスト効果に縛られず、合理的な経営判断を行うためには、以下のステップを実践しましょう。
サンクコスト効果による非合理な意思決定は、企業の成長を阻害します。私たち税理士事務所では、財務分析や事業計画の策定を通じて、客観的な視点で経営判断をサポートします。以下のような課題がある場合、ぜひご相談ください。
過去の投資に縛られず、未来を見据えた経営を共に実現しましょう。