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考えていますか? 「自社株式」の贈与

「株式の保有者」=「株主」の権利は「財産権」 と 「経営権」。 自社株式の大半を経営者が保有している中小企業では、これらを普段の経営で意識することは少ないかもしれませんが、特に事業承継時には重要になります。
自社株式の贈与を行う前におさえておきたいことをご紹介します。

持株割合と密接な関係性!
「株主」の権利は「財産権」 と 「経営権」

財産権とは、株を保有していることで得られる「お金を得られる権利」です。具体的には、株の配当や会社清算時に残余財産を受け取る権利のことをいいます。

経営権とは、 ①会社の経営方針・事業内容 を決定する ②役員の任命や従業員の異動等、 会社の組織体制を決定する ③会社の資産の活用・管理について決定するなど、 株主総会の決議を通して 「会社全体の経営判断を行える権利」をいいます。

とりわけ経営権と株式の保有割合(持株割 合)とは密接に関連があり、 持株割合が高いほど行使できる権利が増し、経営への影響が大きくなります。そのため、事業承継を考える場合、 「いつ」「どのタイミングで」 「どのくらいの株式を渡すのか」について、財産権と経営権を考慮しつつ、長期的な展望で後継者に渡す (贈与する)ことが重要です。

株式贈与の、その前に!
これだけはやっておきたい3つのこと

1 自社株評価

上場していない中小企業の株式にも株価はあります。

相続や贈与の場合、 「財産評価基本通達」に 従って株価を算定します。
その算定方法は会社規模によって異なりますが、一般的には、時価評価した会社の純資産額のほか、類似業種の株価を基礎にして、 1株あたりの配当金や利益等のさまざまな要素を加味して算定されます。
単年度の損益が赤字であったり、資本金が少額であっても、含み益その他の要因により、株価が思いのほか高くなることがあります。
株価が高すぎると、後継者の税負担が重くなってしまうことがあるため、適切な対策を行うことも必要になります。

2 名義株等の整理

平成2年の商法改正以前は、株式会社の設立には7人以上の発起人 (株主)が必要でした。
そのため、創業者が設立資金を100%出資しても、家族や親族等の名前を借りて株主になってもらうケースがありました。
このような 「名義株」は、特に社歴の長い会社で見られることがあるので注意しましょう。

株主名簿や法人税申告書別表二 「同族会社 等の判定に関する明細書」 を確認し、名義株主の記載がある場合には、その発生経緯を確認し、名義株主の合意を得て本来の出資者へ株を移転させるなどの対応が必要です。

また、経営権をめぐるトラブルを避けるために、経営に関わらない親族等に分散された株式の買い取りなども検討しましょう。

3 株式譲渡制限の有無の確認

譲渡制限の有無は、定款で定める項目で、登記事項証明書で確認することもできます。

中小企業では株式譲渡に関する制限条項を設けているケースが多く、 株式の異動がある場合には取締役会等での決議・承認が必要になります。
きちんと議事録で決議・承認がなされた旨を記録しておくようにしましょう。

株式の贈与や譲渡後には、株主名簿を最新のものに書き換えることも必要です。

自社株式の贈与には時間がかかることも
慎重に、計画的に検討しましょう

多くの場合、 事業承継における自社株式の 贈与は、 ①暦年課税制度 ②相続時精算課税制度 で行います。
また、令和9年12月31 日までは、「特例事業承継税制」を活用することも可能です。

複数年にわたる贈与は、毎年、自社株式の評価を行い、計画性をもって慎重に進めることが必要です。 自社株式の評価・贈与については、当事務所までご相談ください。

澤田匡央税理士事務所・事務所通信を参照して作成。


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