2025年の年末調整では、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の記載がより重要になります。配偶者控除や配偶者特別控除の適用要件が細かくなり、配偶者の年収見込み額の正確な把握が不可欠です。この章では、変更点と記載時のポイントをわかりやすく解説します。
配偶者控除と配偶者特別控除は、配偶者の所得に応じて従業員本人が受けられる所得控除です。令和7年(2025年)分の所得税から、以下の要件で適用されます:
これらの控除を受けるためには、配偶者の年収見込み額を正確に把握し、適切な区分を申告書に記載する必要があります。
配偶者の給与所得を計算する際、給与所得控除の最低保障額が令和7年分から55万円から65万円に引き上げられました。この改正により、配偶者の年収123万円以下の場合、合計所得金額が58万円以下となり、配偶者控除の適用対象となります。以下は、配偶者の給与所得控除の計算式です:
配偶者の年収(給与等の収入金額) | 給与所得控除額(令和7年分以降) |
---|---|
162.5万円以下 | 65万円 |
162.5万円超~180万円以下 | |
180万円超~190万円以下 | |
190万円超~360万円以下 | 収入金額 × 30% + 8万円 |
360万円超~660万円以下 | 収入金額 × 20% + 44万円 |
660万円超~850万円以下 | 収入金額 × 10% + 110万円 |
850万円超 | 195万円(上限) |
配偶者の年収見込み額を確認し、上記の計算式に基づいて給与所得を計算しましょう。たとえば、年収123万円の場合、給与所得控除額は65万円なので、給与所得は58万円(123万円 - 65万円)となり、配偶者控除の対象となります。
控除額は、配偶者の合計所得金額と従業員本人の合計所得金額に応じて決定されます。以下の表で、改正後の控除額を確認してください:
配偶者の合計所得金額 | 配偶者の給与収入(参考) | 従業員本人の合計所得金額 | ||
---|---|---|---|---|
900万円以下 (給与収入1,095万円以下) |
900万円超~950万円以下 (給与収入1,095万円超~1,145万円以下) |
950万円超~1,000万円以下 (給与収入1,145万円超~1,195万円以下) |
||
58万円以下 | 123万円以下 | 38万円(配偶者控除) 48万円(老人控除対象配偶者) |
26万円(配偶者控除) 32万円(老人控除対象配偶者) |
13万円(配偶者控除) 16万円(老人控除対象配偶者) |
58万円超~95万円以下 | 123万円超~160万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万円超~100万円以下 | 160万円超~165万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
100万円超~105万円以下 | 165万円超~170万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
105万円超~110万円以下 | 170万円超~175万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
110万円超~115万円以下 | 175万円超~180万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
115万円超~120万円以下 | 180万円超~185万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
120万円超~125万円以下 | 185万円超~190万3,999円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
125万円超~130万円以下 | 190万3,999円超~197万1,999円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
130万円超~133万円以下 | 197万1,999円超~201万5,999円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
133万円超 | 201万5,999円超 | 0円 | 0円 | 0円 |
たとえば、配偶者の年収が160万円(合計所得95万円)で、従業員本人の合計所得が900万円以下の場合、配偶者特別控除として38万円が適用されます。
「給与所得者の配偶者控除等申告書」を記載する際は、以下のポイントに注意してください:
スムーズな年末調整のために、以下の準備を今から進めておきましょう:
これらの準備を進めることで、適切な控除を受けられ、年末調整での税額還付の可能性が高まります。特に、配偶者の働き方が変わった場合は、年収見込み額の再確認が重要です。
配偶者控除や年末調整の準備でお困りの方は、当事務所がサポートいたします!