年末調整特集 ③「配偶者控除等申告書」の変更点と記載のポイント
2025年の年末調整では、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の記載がより重要になります。配偶者控除や配偶者特別控除の適用要件が細かくなり、配偶者の年収見込み額の正確な把握が不可欠です。この章では、変更点と記載時のポイントをわかりやすく解説します。
1. 配偶者控除と配偶者特別控除の概要
配偶者控除と配偶者特別控除は、配偶者の所得に応じて従業員本人が受けられる所得控除です。令和7年(2025年)分の所得税から、以下の要件で適用されます:
- 配偶者控除:配偶者の合計所得金額が58万円以下(給与収入のみの場合、123万円以下)の場合に適用。控除額は従業員本人の合計所得金額に応じて変動。
- 配偶者特別控除:配偶者の合計所得金額が58万円超~133万円以下(給与収入のみの場合、123万円超~201万6,000円未満)の場合に適用。控除額は配偶者の所得と従業員本人の所得に応じて段階的に決定。
- 老人控除対象配偶者:配偶者が70歳以上(昭和31年1月1日以前生まれ)で合計所得金額が58万円以下の場合は、控除額が上乗せされます。
これらの控除を受けるためには、配偶者の年収見込み額を正確に把握し、適切な区分を申告書に記載する必要があります。
2. 給与所得控除の改正と配偶者の給与所得計算
配偶者の給与所得を計算する際、給与所得控除の最低保障額が令和7年分から55万円から65万円に引き上げられました。この改正により、配偶者の年収123万円以下の場合、合計所得金額が58万円以下となり、配偶者控除の適用対象となります。以下は、配偶者の給与所得控除の計算式です:
| 配偶者の年収(給与等の収入金額) | 給与所得控除額(令和7年分以降) |
|---|---|
| 162.5万円以下 | 65万円 |
| 162.5万円超~180万円以下 | |
| 180万円超~190万円以下 | |
| 190万円超~360万円以下 | 収入金額 × 30% + 8万円 |
| 360万円超~660万円以下 | 収入金額 × 20% + 44万円 |
| 660万円超~850万円以下 | 収入金額 × 10% + 110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
配偶者の年収見込み額を確認し、上記の計算式に基づいて給与所得を計算しましょう。たとえば、年収123万円の場合、給与所得控除額は65万円なので、給与所得は58万円(123万円 - 65万円)となり、配偶者控除の対象となります。
3. 配偶者控除・配偶者特別控除の控除額
控除額は、配偶者の合計所得金額と従業員本人の合計所得金額に応じて決定されます。以下の表で、改正後の控除額を確認してください:
| 配偶者の合計所得金額 | 配偶者の給与収入(参考) | 従業員本人の合計所得金額 | ||
|---|---|---|---|---|
| 900万円以下 (給与収入1,095万円以下) |
900万円超~950万円以下 (給与収入1,095万円超~1,145万円以下) |
950万円超~1,000万円以下 (給与収入1,145万円超~1,195万円以下) |
||
| 58万円以下 | 123万円以下 | 38万円(配偶者控除) 48万円(老人控除対象配偶者) |
26万円(配偶者控除) 32万円(老人控除対象配偶者) |
13万円(配偶者控除) 16万円(老人控除対象配偶者) |
| 58万円超~95万円以下 | 123万円超~160万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
| 95万円超~100万円以下 | 160万円超~165万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
| 100万円超~105万円以下 | 165万円超~170万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
| 105万円超~110万円以下 | 170万円超~175万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
| 110万円超~115万円以下 | 175万円超~180万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
| 115万円超~120万円以下 | 180万円超~185万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
| 120万円超~125万円以下 | 185万円超~190万3,999円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
| 125万円超~130万円以下 | 190万3,999円超~197万1,999円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
| 130万円超~133万円以下 | 197万1,999円超~201万5,999円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
| 133万円超 | 201万5,999円超 | 0円 | 0円 | 0円 |
たとえば、配偶者の年収が160万円(合計所得95万円)で、従業員本人の合計所得が900万円以下の場合、配偶者特別控除として38万円が適用されます。
4. 記載時のチェックポイント
「給与所得者の配偶者控除等申告書」を記載する際は、以下のポイントに注意してください:
- 配偶者の年収見込み額の正確な把握:配偶者の給与収入(税込みの総支給額)を確認。給与明細や源泉徴収票の「支払金額」欄を参考にしましょう。
- 給与所得の計算:改正後の給与所得控除額(最低65万円)を用いて、配偶者の合計所得金額を計算。特に年収123万円以下(合計所得58万円以下)の場合は配偶者控除、123万円超~201万6,000円未満の場合は配偶者特別控除の対象。
- 従業員本人の合計所得金額の確認:本人の合計所得金額(給与所得+その他の所得)が900万円以下、900万円超~950万円以下、950万円超~1,000万円以下のいずれかに該当するかを確認し、適切な控除額を選択。
- 配偶者の年齢確認:70歳以上の配偶者がいる場合、老人控除対象配偶者として控除額が上乗せされるため、生年月日を正確に記載。
- 区分の確認:配偶者の合計所得金額に応じた区分(58万円以下、58万円超~95万円以下、95万円超~133万円以下など)を正確に選択し、表に基づいて控除額を記載。
5. 今から準備すべきこと
スムーズな年末調整のために、以下の準備を今から進めておきましょう:
- 配偶者の年収見込み額の確認:配偶者の2025年の年間給与収入を予測し、給与明細や給与システムで確認。
- 配偶者のその他の所得の整理:給与所得以外の収入(例:副業や不動産所得)がある場合、合計所得金額を正確に計算。
- 申告書の事前チェック:改正後の申告書フォームを確認し、配偶者の生年月日や住所、合計所得金額を事前に準備。
- 従業員本人の所得確認:本人の合計所得金額が控除額に影響するため、自身の年収見込み額も併せて確認。
これらの準備を進めることで、適切な控除を受けられ、年末調整での税額還付の可能性が高まります。特に、配偶者の働き方が変わった場合は、年収見込み額の再確認が重要です。
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