生前贈与を通じた資産の移転は、相続税対策として有効ですが、税務署に正しく認識してもらうためには「贈与の証拠」をしっかりと残すことが大切です。
ここでは、贈与契約が「口頭で十分ではないのか?」という疑問にお答えしながら、贈与を確実なものとするために残しておきたい証拠についてご説明いたします。
日本の民法上、贈与契約は当事者間の合意があれば成立します。
そのため、原則的には口頭でも契約自体は有効とされています。
しかし、税務上の問題として、口頭契約の場合「本当に贈与が行われたのか?」を証明することが難しく、贈与税の適用を受けられないリスクがあるため、税務署には書面や記録で贈与の実態を示すことが重要です。
贈与の実態を示し、税務リスクを回避するためには、以下の書類や証拠を残すことが推奨されます。
贈与の意思を明確にするための「贈与契約書」は非常に有力な証拠となります。契約書には、以下の内容を記載することが望ましいです。
• 贈与者と受贈者の氏名と住所
• 贈与の対象金額または資産の内容
• 贈与の時期
• 契約日および署名・捺印
これにより、口頭のみの契約よりも確実に贈与の意志を示すことができ、税務署に対しても有効な証拠として提出可能です。
贈与の実際の受け渡しが確認できるよう、銀行振込による贈与をおすすめします。
現金の手渡しでは証拠が残りにくいため、銀行口座への振込記録が残ることで、贈与の事実を裏付ける強力な証拠となります。
現金で贈与を行う場合には、受贈者からの領収書や受領証を受け取ることで、贈与が実際に行われたことを証明する一助となります。
受領証には、受け取った日付、金額、および受贈者の署名を入れるようにします。
書類や記録がしっかり残っていることで、税務調査が入った場合でも贈与の実態を証明しやすくなります。
特に繰り返しの贈与や高額な贈与が行われた場合、税務署は「本当に贈与が行われたのか?」と疑う可能性があります。
毎年同じ金額の贈与を繰り返すと、税務署が「定期贈与」とみなして合計金額に対して贈与税を課す場合があります。
贈与額や贈与の時期に変化をつけ、あくまで「その年ごとの贈与」という形で実施することが重要です。
当事務所では、贈与税の申告サポートはもちろん、正しい贈与証拠の残し方についてもアドバイスを行っております。税務リスクを最小限に抑えた贈与を実現したいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。