決算では、正しい会計処理に基づいて信頼性のある決算書を作成しましょう。 今期に計上すべき売上や仕入、経費等を来期のものとして計上したり、来期に計上すべきものを今期に計上したりすることがないように注意しましょう。また、決算日現在の資産、負債の実在性や網羅性を確認し確定します。
中小企業者等が、取得価額30万円未満の事業の用に供する減価償却資産を取得等した場合に、一定の要件のもと、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができる特例があります。
この特例の適用対象となる資産は、器具および備品、機械・装置等の有形減価償却資産のほか、ソフトウェア、特許権、商標権等の無形減価償却資産です。 また、所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産や、中古資産であっても対象となります。
「仮払金」は、金銭を支出したが、 その支出目的や支出金額が確定していないときに、それが確定するまでの間、一時的に処理する勘定科目です。接待や出張、物品購入等のため、役員や従業員に一定額の金銭を前渡しする場合に、仮払金で処理し、後日、精算して、取引内容に見合った適切な勘定科目 (交際費、出張旅費、消耗品費等) に振り替えます。
仮払金は、一時的に処理する勘定科目のため、きちんと精算して、決算書に残高が計上されないようにします。
役員や従業員に対する仮払金が常態化し、残高が増加している場合、税務調査において、その仮払支出が役員や従業員に対する給与や貸付金と判断されるおそれがあります。その場合、仮払金の回収の可能性の有無が確認され、臨時的な給与であると判断されてしまうと、源泉所得税の徴収漏れが指摘されます。役員の場合には、事前確定届出給与の規定に抵触するおそれも出てきてしまいます。
仮払金は、決算期にかかわらず、社内のルールに基づいて適時・適切に精算できるように意識しましょう。
前払費用は、原則として、支出した時に資産に計上し、役務の提供を受けた時に損金の額 に算入すべきものです。ただし、法人が、前払費用の額で、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、短期前払費用として、その支払時点で損金の額に算入することが認められます。
なお、借入金を預金や有価証券等に運用する場合の借入金に関連する支払利子等、収益の 計上と対応させる必要があるものについては、1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で損金の額に算入することは認められませんので、注意が必要です。