買取再販住宅とは、不動産会社が中古住宅を買い取り、必要に応じてリフォームや修繕を施した後に再販売する住宅のことです。このシステムは、中古住宅市場の活性化や、購入者にとって安心して住める品質の住宅を提供することを目的としています。
「住宅借入金等特別控除」は、「住宅ローン控除」と言う名前で知られている制度です。
無理のない負担で居住ニーズに応じた住宅を確保することを促進するため、住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得又は増改築等をした場合、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除する制度です。
買取再販住宅を取得し、令和4年(2022年)以降に居住用として使用する場合の住宅借入金等特別控除の申請方法について説明します。この控除を受けるには、いくつかのステップが必要です。
まず、住宅借入金等特別控除を受けるための条件を確認します。主な条件には以下のようなものがあります。
番号 | 適用要件 |
---|---|
1 | 個人が既存住宅を取得する時点で、その既存住宅が新築された日から起算して10年を経過したものであること。 |
2 | 特定増改築等に係る工事に要した費用の総額が、その既存住宅の個人に対する売買価額(税込み)の20パーセントに相当する金額(その金額が300万円を超える場合には300万円)以上であること。 |
3 |
その既存住宅について、次のいずれかに該当する特定増改築等に係る工事が行われていること。 (1) 下記「特定増改築等の工事内容」の1から6に掲げる工事に要した費用の額の合計額が100万円を超えること。 (2) 下記「特定増改築等の工事内容」の4から7のいずれかに掲げる工事に要した費用の額がそれぞれ50万円を超えること。 |
4 | 宅地建物取引業者が既存住宅を取得し、上記2および3の要件を満たす特定増改築等に係る工事を行った後の既存住宅について、宅地建物取引業者の取得の日から2年以内に取得していること。 |
5 |
建築後使用されたことのある家屋で次のいずれかに該当すること。 (1) 昭和57年1月1日以後に建築されたものであること。 (2) (1)以外の場合は、次のいずれかに該当すること。 イ 取得の日前2年以内に、地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準に適合するものであると証明されたもの(耐震住宅)であること。 ロ 上記(1)および(2)イに該当しない一定の住宅(要耐震改修住宅)のうち、その取得の日までに耐震改修を行うことについて申請をし、かつ、居住の用に供した日までにその耐震改修(租税特別措置法41条の19の2(既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除)第1項または41条の19の3(既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除)第6項もしくは第8項の適用を受けるものを除きます。)により家屋が耐震基準に適合することにつき証明がされたものであること。 なお、買取再販認定住宅等として住宅借入金等特別控除を受けるためには、上記(1)または(2)イに該当することが必要です。 上記(2)ロのみに該当する場合は、一般の買取再販住宅として住宅借入金等特別控除の対象となります。 |
番号 | 適用要件 |
---|---|
1 | 増築、改築、建築基準法上の大規模の修繕または大規模の模様替えの工事 |
2 | マンションの場合で、床または階段、間仕切り壁、主要構造部である壁のいずれかのものの過半について行う修繕または模様替えの工事 |
3 | 家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関または廊下の一室の床または壁の全部について行う修繕または模様替えの工事 |
4 | 地震に対する一定の安全基準に適合させるための修繕または模様替えの工事(耐震改修工事) |
5 | 一定のバリアフリー改修工事 |
6 | 一定の省エネ改修工事 |
7 | 給水管、排水管または雨水の侵入を防止する部分に係る修繕または模様替えの工事(既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されているものに限ります。) |
番号 | 適用要件 |
---|---|
1 | 買取再販住宅または買取再販認定住宅等の取得の日から6か月以内に居住の用に供していること。 |
2 |
この特別控除を受ける年分の12月31日まで引き続き居住の用に供していること。 (注)個人が死亡した日の属する年にあっては、同日まで引き続き住んでいること。 |
3 | この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、2,000万円以下であること。 |
4 | 住宅の床面積が50平方メートル以上であり、かつ、床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供していること。 |
5 | 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築または取得のための一定の借入金または債務(住宅とともに取得するその住宅の敷地の用に供される土地等の取得のための借入金等を含みます。)があること。 |
6 | 2以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること。 |
7 |
居住年およびその前2年の計3年間に次に掲げる譲渡所得の課税の特例の適用を受けていないこと。 (1) 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法31の3①) (2) 居住用財産の譲渡所得の特別控除(措法35①) (注)被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除(措法35③)により適用する場合を除きます。 (3) 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2) (4) 財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5) (5) 既存市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の5) |
8 |
居住年の翌年以後3年以内に居住した住宅(住宅の敷地を含みます。)以外の一定の資産を譲渡し、当該譲渡について上記7に掲げる譲渡所得の課税の特例を受けていないこと。 (注)一定の資産を譲渡したことにより上記7に掲げるいずれかの特例の適用を受ける場合において、その資産を譲渡した年の前3年分の所得税について住宅借入金等特別控除を受けているときは、当該譲渡をした日の属する年分の所得税の確定申告期限までにその前3年分の所得税について修正申告書または期限後申告書を提出し、かつ、当該確定申告期限までに当該修正申告書または期限後申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならないこととされています。 |
9 | 住宅の取得(その敷地の用に要する土地等の取得を含みます。)は、その取得時および取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者からの取得でないこと。 |
10 | 贈与による住宅の取得でないこと。 |
買取再販認定住宅等の区分 | 適用要件 |
---|---|
認定長期優良住宅 | 長期優良住宅の普及の促進に関する法律第11条第1項に規定する認定長期優良住宅に該当するものであることにつき証明がされたものであること。 |
低炭素建築物 | 都市の低炭素化の促進に関する法律第2条第3項に規定する低炭素建築物に該当することにつき証明がされたものであること。 |
低炭素建築物とみなされる 特定建築物 |
都市の低炭素化の促進に関する法律第16条の規定により低炭素建築物とみなされる同法第12条に規定する認定集約都市開発事業により整備された特定建築物に該当することにつきその個人の申請に基づきその家屋の所在地の市町村長または特別区の区長により証明されたものであること。 |
特定エネルギー 消費性能向上住宅 |
エネルギーの使用の合理化に著しく資する住宅の用に供する家屋として国土交通大臣が財務大臣と協議して定める基準に適合するものであることにつき証明がされたものであること。 |
エネルギー 消費性能向上住宅 |
エネルギーの使用の合理化に資する住宅の用に供する家屋として国土交通大臣が財務大臣と協議して定める基準に適合するものであることにつき証明がされたものであること。 |
住宅ローン控除を申請するには、以下のような書類が必要になります。
1 | 「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」 ※ 連帯債務がある場合は「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」も必要です。 |
2 | 金融機関等から交付された「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」 |
3 | 家屋の「登記事項証明書」などで床面積が50平方メートル以上であることを明らかにする書類 |
4 | 家屋の「工事請負契約書」または家屋の「売買契約書」の写しなどで家屋の取得対価の額を明らかにする書類 |
5 |
<土地の購入に係る住宅借入金等について控除を受ける場合> (1) 土地の「登記事項証明書」などで敷地の取得年月日を明らかにする書類 (2) 土地の売買契約書の写しなど土地の取得対価の額を明らかにする書類 |
6 |
<国または地方公共団体等から補助金等の交付を受けた場合> 市区町村からの補助金決定通知書などの補助金等の額を証する書類 |
7 |
<住宅取得等資金の贈与の特例(措法70の2、70の3)を受けた場合> 贈与税の申告書など住宅取得等資金の額を証する書類の写し |
8 |
<昭和57年1月1日以後に建築されたものである場合> 登記事項証明書 (登記事項証明書で床面積が明らかでないときは床面積要件疎明書類も必要です。) |
<昭和56年12月31日以前に建築されたものである場合> (1) 耐震基準を満たす既存住宅の場合(「買取再販住宅の適用要件の5(2)イ」に該当する場合) 次に掲げる書類のうちいずれかの書類 イ 建築士等(※)が発行した「耐震基準適合証明書」(その家屋の取得の日前2年以内にその証明のための家屋の調査が終了したものに限ります。) ロ 登録住宅性能評価機関の「建設住宅性能評価書」の写し(その家屋の取得の日前2年以内に評価されたもので、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係る評価が等級1、等級2または等級3であるものに限ります。) ハ 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る付保証明書(住宅瑕疵担保責任法人が引受けを行う一定の保険契約であって、その家屋の取得の日前2年以内に締結したものに限ります。) (2)要耐震住宅(耐震基準を満たさない既存住宅)の場合(「買取再販住宅の適用要件の5(2)ロ」に該当する場合) イ 耐震改修に係る工事請負契約書の写し ロ 次のいずれかの書類 (イ) 市区町村に提出した「建築物の耐震改修計画の認定申請書」の写しおよび建築士等が発行した「耐震基準適合証明書」 (ロ)「耐震基準適合証明申請書(または仮申請書)」の写しおよび建築士等が発行した「耐震基準適合証明書」 (ハ)「耐震等級(構造躯体の倒壊防止等)の評価に係る建設住宅性能評価申請書(または仮申請書)」の写しおよび登録住宅性能評価機関が発行する「建設住宅性能評価書」(耐震等級1、2または3であると評価されたもの)の写し (ニ)「既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の申込書」の写しおよび住宅瑕疵担保責任保険法人の「既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る付保証明書」 |
|
9 |
<債務の承継に関する契約に基づく債務である場合> 債務の承継に係る契約書の写し |
10 |
<宅地建物取引業者が特定増改築等を行った事実を証する書類> 建築士等(※)が発行した増改築等工事証明書 ※「<特定増改築等の工事内容>の7」に該当する場合は、増改築等工事証明書に加え、住宅瑕疵担保責任保険法人が発行した既存住宅売買瑕疵担保責任保険の保険付保証明書が必要 |
住宅借入金等特別控除の申請は、通常、年末調整の際に勤務先を通じて行うか、確定申告をする際に行います。