日々の業務の中で生じる、経理処理にまつわる迷いやギモン、誤解についてあらためて確認していくシリーズです。今回のテーマは「短期前払費用の特例」。一定のルールのもと、支払時に一括して費用計上が認められるものを「短期前払費用」といいます。
実務では、「短期前払費用の特例」の適用可否について注意すべきケースがありますので、事例で確認しておきましょう。
継続的に1年以内に受けるサービスのための支払いである―――――といったことから、翌期以降の継続適用を条件として、「短期前払費用の特例」を適用して、支払った期(当期)に一括で費用処理することが可能です。
原則として、3月に支払った翌月分の家賃は、翌期の費用であるため「前払費用」とする処理が求められます。
ただし、支払時に「地代家賃」とする処理を継続して適用しているのであれば、当期に費用処理することが認められています。
1年を超えた期間である3年分の火災保険料を全額前払いしているので、支払時に全額を費用処理することはできません。
その火災保険料は3年間にわたって費用処理する必要があり、当期は1か月分だけ「支払保険料」として費用処理します。
決算月でない6月に前払いした保守点検料は、8月から翌年7月までの1年間分のものであり、支払った日から1年を超えて提供されるサービスとなるため、「短期前払費用の特例」を適用することができません。当期は「前払費用」として処理し、翌期に費用処理することが求められます。
経営セーフティ共済の掛金※は、「短期前払費用の特例」規定とは別に、掛金を支払時に費用計上できる特例措置があります。ただし前納期間が1年以内の場合に限り認められています。そのためこの例では、全額費用処理が認められます。
※(独)中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済事業の基金に充てるための共済契約に係る掛金。