中小企業が持続的な成長を実現するためには、財務体質の強化が不可欠です。その鍵となるのが「自己資本比率」です。自己資本比率を意識することで、企業の安定性や成長の可能性を高め、将来の不確実性に備えることができます。この記事では、自己資本比率の重要性と、それを高めるための具体的な方法について解説します。
自己資本比率は、企業の総資本(負債+自己資本)に占める自己資本(株主資本+利益剰余金など)の割合を示す指標です。この比率が高いほど、企業は外部からの借入に頼らず、自己資金で運営できていることを意味します。高い自己資本比率は、財務の健全性を示し、銀行や取引先からの信頼を得るための重要な要素です。
ポイント: 自己資本比率を高めるには、毎期の黒字決算を通じて利益剰余金を積み上げることが王道です。これにより、企業の体力が増し、経済環境の変化にも柔軟に対応できるようになります。
自己資本比率を定期的に確認することで、以下のようなメリットがあります:
巡回監査の際には、社長と一緒に貸借対照表(B/S)を確認し、自己資本比率の推移をチェックすることをおすすめします。これにより、経営の現状を把握し、将来の戦略を立てやすくなります。
TKC全国会システム委員会が編集した「『TKC経営指標』から見た産業別経営動向(令和7年版)」によると、主要産業の自己資本比率は以下の通りです(収録企業数:260,898社、令和7年5月31日時点)。
産業 | 自己資本比率 | 前年比 |
---|---|---|
全産業 | 38.2% | +1.0 |
建設業 | 43.6% | +1.1 |
製造業 | 44.4% | +1.1 |
卸売業 | 40.0% | +0.9 |
小売業 | 33.2% | +0.8 |
宿泊業・飲食サービス業 | 12.0% | +1.1 |
サービス業 | 41.8% | +1.0 |
このデータから、建設業や製造業が比較的高い自己資本比率を維持している一方で、宿泊業・飲食サービス業は低い傾向にあることがわかります。各業界の特性を踏まえ、自社の自己資本比率が業界平均と比べてどうかを確認することが重要です。
以下は、自己資本比率を向上させるための具体的なアクションです:
私たち澤田匡央税理士事務所では、中小企業の皆様が健全な財務体質を築けるよう、TKCシステムを活用した経営支援を行っています。巡回監査を通じて、貸借対照表や損益計算書の分析を行い、自己資本比率の向上に向けた具体的なアドバイスを提供します。また、毎期の目標設定や業績管理のサポートも行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。