ご家族が亡くなられた場合、故人の源泉徴収票が届くことがあります。例えば、「4月に亡くなった母親の源泉徴収票が7月に郵送されてきた」といったケースがあります。この書類はどのように扱い、何に使うのか、今回はその重要性と活用方法について詳しく解説します。
1. 公的年金等の源泉徴収票とは?
「公的年金等の源泉徴収票」とは、日本年金機構や企業年金基金などから支給された年金について、その支払金額や源泉徴収された所得税額を証明する書類です。毎年1月1日から12月31日までの年金支給額と税額が記載されており、通常翌年の1月末までに郵送されます。亡くなられた方の場合は、その年の支給分(例えば1月から4月まで)が記載された書類が死亡後2~3ヶ月で届きます。
2. 源泉徴収票は残しておくべきか?
結論から申し上げますと、源泉徴収票は必ず保管しておくべき重要な書類です。特に、故人の源泉徴収票は以下のような場面で必要になる可能性があります。以下に、具体的な理由を挙げます。
- 準確定申告: 故人が亡くなられた年の所得について、相続人が代わりに確定申告(準確定申告)を行う場合、源泉徴収票は収入や税額を確認するための必須書類です。準確定申告は、亡くなられた日から4ヶ月以内に提出する必要があります。
- 還付金の請求: 源泉徴収された所得税が過剰であった場合、還付金を受け取るために源泉徴収票が必要となります。特に、医療費控除や扶養控除を適用する場合、還付金額が大きくなる可能性があります。
- 相続手続き: 相続税の申告や財産の確認において、故人の収入状況を確認するために源泉徴収票が参考資料として役立つ場合があります。
- 将来のトラブル防止: 税務署や金融機関から過去の収入証明を求められる場合に備え、源泉徴収票は少なくとも5年間は保管することをお勧めします。
ポイント: 源泉徴収票は再発行が難しい場合があります。原本を紛失しないよう、ファイルやデジタルデータとして整理して保管しましょう。
3. 具体的に何に使うのか?
以下は、源泉徴収票が活用される主な場面です。
- 準確定申告の提出: 故人が年金以外の収入(不動産収入や配当など)を持っていた場合、準確定申告でそれらの所得を合算して申告する必要があります。源泉徴収票は年金収入の証明として使用されます。
- 医療費控除の申請: 故人が亡くなる前に高額な医療費を支払っていた場合、医療費控除を適用することで税金の還付を受けられる可能性があります。この場合、源泉徴収票で収入額を確認します。
- 遺族年金の手続き: 一部の遺族年金の手続きでは、故人の収入状況を証明するために源泉徴収票が求められる場合があります。
- 税務調査への対応: 税務署が過去の所得状況を確認する際、源泉徴収票が重要な資料となります。特に、相続税の申告に関連して調査が入る可能性がある場合、準備しておくと安心です。
4. 保管のポイントと注意点
源泉徴収票を効果的に管理するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- デジタル化: 紙の書類をスキャンしてPDF形式で保存すると、紛失リスクが減り、必要なときにすぐアクセスできます。
- 整理方法: 年号や故人の名前をファイル名に含め、フォルダに整理して保管しましょう。例: 「2025_母_源泉徴収票.pdf」
- 提出期限に注意: 準確定申告が必要な場合は、亡くなられた日から4ヶ月以内に手続きが必要です。源泉徴収票が届く前に期限が来る場合もあるため、早めに準備を始めましょう。
- 専門家への相談: 準確定申告や相続手続きが複雑な場合、税理士に相談することで正確な手続きが可能です。特に、還付金の可能性がある場合は専門家のアドバイスが有効です。
5. まとめ
「公的年金等の源泉徴収票」は、故人の収入や税額を証明する重要な書類であり、準確定申告や還付金請求、相続手続きなどで活用されます。特に、亡くなられた方の源泉徴収票が7月頃に届いた場合、すぐに紛失せず、適切に保管することが大切です。もし手続きに不安がある場合や、還付金の可能性を検討したい場合は、信頼できる税理士にご相談ください。
