「お客様の声」 は、自社の商品やサービスの開発・改善において大事なヒントとなります。
一方、「お客様」の立場を利用し、過剰あるいは理不尽な要求、攻撃的な振る舞いをする人も。
そうした 行為は「カスタマーハラスメント (カスハラ)」 と呼ばれ、 社会問題となっています。
会社の成長において欠かせないのは、 新たな気づきを与えてくれる 「お客様の声」。
中でも、自社の商品やサービスに苦言を呈してくれる顧客は貴重な存在といえます。
ライフスタイルの変化により人々の価値観が多様化している現代だからこそ、顧客の意見は商品・ サービスの開発やブラッシュアップを検討する上で重要なヒントとなります。
一方、「お客様」の立場を利用して、過剰なサービスを求める、暴言や暴力などで威圧して要求を押し通す、といったケースも散見されます。
こうした行為は、2010年代以降 「カスタマーハラスメント (カスハラ)」と呼ばれています。
カスハラとは、不当・悪質なクレームを指します。
かつてはこうした事例が起きても、会社側は「顧客対応の一環」と捉え、従業員に対してはフォローしない場合もありました。
しかし、「働き方改革」の推進や、少子高齢化に伴う人手不足により、従業員の立場が重んじられるようになり、顧客対応のあり方も見直されています。
だからこそ、経営者も時代の変化に対応しなければなりません。
被害に遭った従業員のケアを怠ると離職につながるだけでなく、評判がSNS等で広まり、採用に影響を及ぼすおそれも。
カスハラの事案が生じた場合は、従業員に寄り添うことこそが大切です。
自身がカスハラを行ってしまうおそれがあることも忘れてはいけません。
以下のケースのように、取引先等へカスハラにあたる態度をとると、下請法等にも抵触するおそれがあり、注意が必要です。
(1) 取引先の納品ミスが発覚。深夜に営業担当者を呼び出し、謝罪と対応を求めた。
(2) 商談後の懇親会で 「君が注いでくれたら 契約したい」と、取引先の女性従業員を隣に座らせてお酌を強要した。
「得意先 (支払側)のほうが優位」という誤った認識が、カスハラに該当する行為につながります。
あくまでも、取引先は「パートナー」です。
商売において売り手と買い手は対等であることを、あらためて意識しましょう。
なお、同僚等に前記(1)の行動をとればパワハラ、(2)はセクハラに該当します。
現在、職場内のパワハラとセクハラ、マタハラ (マタニティハラスメント) 対策はすべての会社に義務づけられていますが、政府は現在、カスハラ対策の義務化も目指しています。
今のうちから、カスハラ対策についても考えておきましょう。