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【税理士が徹底解説】個人事業主の経費で落ちるもの・落ちないものの境界線


【税理士が徹底解説】個人事業主の経費で落ちるもの・落ちないものの境界線


【税理士が徹底解説】個人事業主の経費で落ちるもの・落ちないものの境界線

「この出費は経費になるの?」「税務調査で指摘されないか不安だ」— 個人事業主の方にとって、経費の判断は常に大きな悩みです。
本記事では、国税庁が公表する所得税法および関連通達を根拠に、個人事業主が知っておくべき「必要経費」の正しい考え方と具体的な仕訳例を、税理士の視点からわかりやすく解説します。2025年現在のインボイス制度や電子帳簿保存法の改正も反映しています。

※内容は2025年12月時点の法令・通達等をもとにしています。最終的な判断にあたっては、最新情報の確認や専門家(税理士)へのご相談をおすすめします。

1.そもそも「必要経費」とは?所得税法上の定義と基本原則

所得税法では、事業所得を計算する上で差し引く費用を「必要経費」と呼びます(所得税法第37条)。国税庁によると、必要経費に算入できる金額は、総収入金額に対応する売上原価、その総収入金額を得るために直接要した費用の額、その年に生じた販売費、一般管理費、その他業務上の費用の額です。 具体的には、次の2種類に分類されます。

  • 総収入金額を得るために直接要した売上原価(仕入代、外注費など)
  • 販売費及び一般管理費その他業務上の費用(人件費、家賃、通信費、広告宣伝費など)

▶ 経費と認められるための最重要原則

  1. 事業との関連性・必要性: その支出が「事業を遂行するため」に客観的に必要であること。国税庁の通達では、業務の遂行上必要な部分が明確に区分できることが求められます。
  2. 支出の証明: 領収書、請求書、契約書など、支出の事実と内容を裏付ける証拠書類が適切に保管されていること(電子帳簿保存法の要件も考慮)。2024年改正の電子帳簿保存法により、電子取引のデータ保存が義務化されており、タイムスタンプや検索機能の付与が必須です。
【2025年最新】インボイス制度下では、仕入税額控除に適格請求書が必要。個人事業主は登録事業者登録を検討し、経費の控除漏れを防ぎましょう。

2.個人事業主が「必要経費」にできる主な支出例とポイント

代表的な経費を科目別に、税務上のポイントを交えて解説します。国税庁のガイドラインに基づき、事業所得の必要経費として認められるものを中心にまとめました。

科目・分類 経費になる具体例 税務上のポイント
仕入高・外注費 販売商品の仕入代金、製造原価、業務委託契約に基づく報酬 請求書・納品書などを保管。インボイス制度の導入で適格請求書の要件確認が重要。2025年現在、経過措置が継続中ですが、登録事業者との取引を優先しましょう。
旅費交通費 取引先訪問・出張のための公共交通機関運賃、高速道路料金、有料駐車場代 出張時は出張旅費規程に準じた日当・宿泊費も可能。私的利用分との厳格な区分が必要。業務日程の記録を残すことで税務調査に耐えられます。
通信費 仕事用携帯電話・固定電話利用料、インターネット回線費用、サーバー保守料 自宅や個人スマホとの共用は、通話明細や利用時間などに基づき家事按分を行う。50%以上の業務使用で全額経費化の可能性あり。
地代家賃・水道光熱費 事務所・店舗の賃料、電気・ガス・水道料金 自宅兼事務所は、仕事に使用する面積比や使用時間等の合理的な根拠に基づき按分。床面積比が一般的で、間取り図を証拠に。
消耗品費 文具、インク、事務用品、10万円未満のパソコン周辺機器、作業用手袋など 事業年度内に使い切るもの、または取得価額が10万円未満のもの(特例適用時は30万円未満)。青色申告者は少額減価償却資産の特例で30万円未満まで一括経費化可能(2025年度末まで適用)。
接待交際費 得意先や仕入先との飲食費、贈答品代、慶弔費 飲食費は誰と、いつ、どのような目的で、いくら使ったかを領収書裏などに具体的に記録する。電子保存時は検索性を確保。
研修費・図書費 業務に直結する専門知識のセミナー参加費、業界誌、実務書購入費 単なる趣味・教養ではない、売上獲得や業務効率化に繋がる明確な関連性を示す。セミナー資料を保管。
租税公課 事業税、事務所部分の固定資産税、印紙税(事業用)、自動車税の事業利用分 所得税、住民税、国民健康保険料など、事業主個人にかかる税金や保険料は経費にはならない(社会保険料控除等の対象)。事業税は全額経費可。
減価償却費 取得価額10万円以上のPC・自動車・機械装置など、長期使用資産の購入費用 法定耐用年数に基づき毎年経費化。青色申告者は「少額減価償却資産の特例」が適用可能で、合計300万円以内の取得価額30万円未満資産を即時償却。

3.税務調査で重要になる「家事按分」の合理的な考え方

事業とプライベートが混在する費用(家事関連費)については、事業のために使用した部分を明確に区分できる場合に限り、その部分を必要経費に算入できます(所得税法第37条2項)。この区分作業を「家事按分」と呼びます。国税庁の法令解釈通達では、業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかで判定しますが、50%以下でも合理的に区分可能であれば経費化可能です。

3-1.自宅兼事務所の家賃・光熱費の按分

  • 家賃・固定資産税: 自宅全体の床面積に占める、事業専用で使用している部屋・スペースの面積割合で按分するのが最も一般的で合理的です。例: 総面積100㎡中、事務所20㎡なら20%経費化。
  • 電気・ガス・水道: 業種にもよりますが、「事業専用スペースの使用時間」や「業務使用日数」に基づき按分します。電力使用量が仕事で極端に増える場合(例:サーバー運用など)は、その実態を記録します。スマートメーターのデータ活用が推奨。

> 【重要】按分比率の決定にあたっては、その根拠(計算式、間取り図、業務記録等)を明確にし、毎年一貫して適用することが、税務署への説明責任を果たす上で不可欠です。税務調査では、この文書化が否認を防ぐ鍵となります。

3-2.自家用車の按分(ガソリン代・保険料・減価償却費など)

車両関連費用は、主に以下のいずれかの方法で按分率を算定します。

  • 走行距離基準: 年間走行距離全体に占める、業務に関連する走行距離の割合。例: 年間総走行1万km中、業務3千kmなら30%。
  • 使用日数基準: 年間総使用日数に占める、業務での使用日数の割合(業務日報等の記録が必要)。カーナビのログやアプリ活用で精度向上。

走行距離基準を用いる場合は、開始時点と期末時点の走行距離計(オドメーター)の記録、および業務使用時の具体的な移動記録(いつ、どこからどこへ、何のために、何km移動したか)を残すことが強く推奨されます。GPSアプリの導入で自動記録が可能に。

4.原則として「経費で落ちない」支出と注意点

以下の費用は、事業の必要経費とは認められません。国税庁の通達で明確に除外されています。

4-1.事業主本人や生計を一にする家族の生活費(家事費)

  • 事業主個人の日常的な食費、被服費、医療費、理容・美容費
  • 個人名義の保険料(生命保険、個人年金など)
  • 事業とは無関係の純粋なプライベートの旅行・レジャー費用

ただし、モデル・タレント・特定職種(例:パティシエの白衣など)において、業務上必要な特定の衣装・身だしなみ費用は、一般的に私用が困難な範囲で経費として認められる余地があります。業務関連性を証明する資料を準備。

4-2.事業主本人の税金・罰則金等

  • 所得税・住民税:事業の利益から支払うものであり、経費ではない。
  • 国民健康保険料・国民年金保険料:所得控除(社会保険料控除)の対象。
  • 延滞税、加算税、罰金、科料:懲罰的な意味合いを持つため、経費として認められない(法人税法・所得税法基本通達)。

4-3.家族への給与(原則と特例)

生計を一にする配偶者や親族に支払う給与は、原則として必要経費にできません。これは、生計が同一であるため、事業の損益を意図的に操作できてしまうのを防ぐためです。

  • 青色申告者の特例: 「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、その届出書に記載された金額の範囲内かつ労務の対価として適正な金額であれば、経費として認められます。事前届出が必須で、労働時間記録を残す。
  • 白色申告者の特例: 「事業専従者控除」の適用を受けられますが、控除額に上限があります(例: 配偶者86万円)。

家族への給与を経費にするには、事前の届出と労働内容・時間に見合った適正な金額設定が非常に重要です。タイムカードや業務日誌で裏付けを。

5.判断に迷う「グレーゾーン」の支出への対処法

特に税務調査でチェックされやすい「事業関連性の判断が難しい」支出は、以下のポイントで判断します。国税庁の基準では、事業貢献度を第三者が検証できるかが鍵。

  • 食事代: 事業主単独での食事は原則不可。取引先や従業員との会議・打合せ(会議費)や接待(交際費)であれば可。相手方の氏名・参加人数・目的の記録が必須。電子帳簿保存法対応でデジタルメモを推奨。
  • 旅行・出張: 観光要素が主体の場合は不可。業務の遂行が目的であり、観光が副次的であれば経費可。業務日程・商談記録を明確に残すこと。インボイス対応の交通費領収書を保管。
  • PC・スマートフォン: 事業専用であれば全額経費。私用と共用の場合は、利用実態に基づき合理的な按分が必要です。アプリの使用ログで50%以上の業務使用を証明。

「その出費が事業の売上や継続にどう貢献したか」を客観的に第三者(税務署)に説明できるかどうかが、最終的な判断基準となります。事前相談でリスクを低減。

6.経費計上で失敗しないための実務と税務調査対策

  1. 証拠書類(領収書・請求書)の「要件」を満たす
    単なるレシートではなく、①日付、②金額、③支払先、④内容、⑤受領者(事業者名)が明確に記載されている必要があります。また、電子帳簿保存法の要件に従い、デジタルデータでの保存も検討しましょう。2025年現在、電子取引分はタイムスタンプ必須で、検索機能(金額・日付・取引先検索)を実装。
  2. 家事按分のルールを確立し、計算根拠を文書化する
    按分計算の根拠となる面積比率や走行記録を記録し、税務署からの質問に即答できるよう準備しておくことが、調査対策の基本です。Excelシートやクラウドツールで一元管理を。
  3. 事業用と個人用の口座・クレジットカードを完全に分ける
    公私の区別が明確になり、記帳(帳簿付け)の手間が大幅に減ります。経費の漏れや誤計上を防ぐためにも必須の実務です。TKC会計ソフト活用で自動化。
  4. 少額減価償却資産の特例など、青色申告の特典を最大限活用する
    青色申告者の特典(30万円未満の資産の一括経費算入など)を理解し、適切なタイミングで設備投資を行いましょう。2025年3月15日までの届出で適用可能。
  5. 迷ったら「勘定科目」より「事業関連性」を優先する
    勘定科目の間違いは大きな問題になりませんが、事業との関連性がない支出を経費にすることは、税務上の大きなリスクとなります。インボイス未対応の仕入は控除不可に注意。

7.「どこまで経費にして良いか不安…」という方は当事務所へご相談ください

経費の判断は、事業内容、働き方、そして税務署が公開する通達によって解釈が変わる専門性の高い分野です。インターネットの一般論だけで判断すると、思わぬ追徴課税を受けるリスクがあります。特に2025年のインボイス制度フル運用下では、経費控除のミスが消費税還付に直結します。

当事務所では、お客様の事業実態を深く理解した上で、税務調査で通用する確かな経費計上をサポートしています。国税庁通達に基づく個別アドバイスを提供。

  • 事業内容に合わせた個別具体的な経費の線引き相談(家事按分比率の最適化)
  • 合理的な家事按分比率の算定と証拠資料の作成支援(文書化テンプレート提供)
  • クラウド会計ソフトを活用した日々の経理フロー構築(TKC連携対応)
  • 税務調査時の専門家による立ち会いと対応(事前シミュレーション)

「この領収書は経費にできる?」「過去の処理に不安がある」といったお悩みがあれば、安心して事業に専念できるよう、ぜひ一度無料相談をご利用ください。初回相談はZoom対応で全国対応。

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