税金の計算方法には、「分離課税」と「総合課税」という2つの方式があります。それぞれの特徴や適用される所得の種類、メリット・デメリットを理解することで、賢い税務対策が可能になります。この記事では、両者の違いをわかりやすく解説します。
分離課税とは、特定の所得について他の所得と合算せず、独立して税金を計算する方式です。所得ごとに定められた税率を適用し、所得税を算出します。
他の所得と分離して計算:給与所得や雑所得などと合算せず、単独で税額を決定。
税率は所得の種類に応じて固定:累進課税(所得が増えるほど税率が高くなる)とは異なり、一定の税率が適用される場合が多い。
申告分離課税と源泉分離課税:
申告分離課税:納税者自身が確定申告を行い、税金を納める(例:不動産譲渡所得)。
源泉分離課税:支払い時に税金が天引きされ、申告が不要(例:利子所得)。
譲渡所得(不動産や株式の売却益)
利子所得(預貯金の利息)
配当所得(株式の配当金、一部は総合課税も選択可)
退職所得
山林所得
他の所得と分離するため、高所得者でも税率が一定で済む場合がある。
源泉分離課税の場合、確定申告が不要で手続きが簡便。
損失が出た場合、他の所得との損益通算ができない(一部例外を除く)。
所得控除(医療費控除や扶養控除など)が適用されない。
総合課税とは、すべての所得を合算し、その合計額に対して累進課税を適用する方式です。所得税の基本的な計算方法として、多くの所得に適用されます。
所得を合算して計算:給与所得、事業所得、雑所得などを合計し、総所得金額を算出。
累進課税を採用:所得が多いほど税率が上がり、最高税率は45%(住民税含めると55%)。
所得控除が適用可能:扶養控除や医療費控除などを差し引いて税負担を軽減できる。
給与所得
事業所得
不動産所得
雑所得(年金や原稿料など)
配当所得(分離課税も選択可)
一時所得(保険の満期金など)
所得控除を活用できるため、税負担を軽減しやすい。
損失が出た場合、損益通算が可能(例:事業の赤字を給与所得と相殺)。
低所得者の場合、税率が低く抑えられる。
高所得者ほど税率が高くなる(累進課税のため)。
確定申告が必要な場合、手続きが複雑になることがある。
項目 | 分離課税 | 総合課税 |
---|---|---|
所得の計算方法 | 他の所得と分離して計算 | すべての所得を合算して計算 |
税率 | 固定税率(所得の種類による) | 累進税率(5%~45%) |
所得控除 | 適用不可 | 適用可能 |
損益通算 | 原則不可(一部例外あり) | 可能 |
申告の必要性 | 源泉分離課税は不要、申告分離課税は必要 | 必要(一部例外あり) |
適用される所得 | 譲渡所得、利子所得、退職所得など | 給与所得、事業所得、雑所得など |