毎月の経営状態を変動損益計算書で「見える化」し、問題点等を把握すれば、心配事が少なくなり、また、問題解決に向けた具体的なアクションにつなげることもできます。変動損益計算書のうち、社長が最初に意識すべき「売上高」について見てみましょう。
たとえわずかでも、会社の業績は刻々と変化しています。「売上高」を変動損益計算書で毎月確認し、「増えた理由」「減った理由」を考えてみましょう。社長のここ1か月の経営感覚と、実際の数字の変化をすり合わせるのです。
このときのポイントは次の3つです。
① 当期実績と目標とのズレを確認する
② 当月実績と前年同月とのズレを確認する
③ 時系列で売上高の推移を見る
この視点で、特に自社の取引先別売上高を確認してみてください。主要な取引先について、それぞれ当月の売上高と前年同月の売上高を比較してみましょう。また、一昨年の同月の売上高とも比較すると、どんな変化が見られるでしょうか?
昨年に比べて大きく取引額を減らしているところや、3年間で自社の売上高に占める割合を大きく伸ばしているところなど、いろいろな気づきが得られるはずです。「なぜ、この取引先からの売上高が上がっている/下がっているのか」、その背景や要因を考えてみましよう。
飲食業や小売・サービス業では、新型コロナウイルス感染症の前と後とでは、売上の上がる曜日や時間帯、来店客数などが影響を受けて変化している場合があります。簡単でも良いので、そうした変化の背景となるような記録を残しておくと、背景や要因を深掘りするのに役立ちます。
取引先の変化や自社を取り巻く環境の変化に気づくことができれば、それが自社の売上高をさらに伸ばしていく大きなヒントになるのです。