高層マンション所有者が、息子への贈与を検討している状況において、贈与税の制度変更が重要な要素となっています。令和6年1月1日からの改正では、暦年課税制度のもとで贈与された財産が相続開始前7年以内のものに限り、相続財産に加算されるように変わりました。この変更により、所有者が息子にマンションを贈与し、その後7年以内に亡くなった場合、贈与されたマンションも相続財産に含まれることになります。
また、相続時精算課税制度についても変更があり、令和6年1月1日以降の贈与では、毎年110万円の基礎控除が新設され、この部分は相続税の課税対象外となります。この変更により、年間110万円までの贈与は、相続時精算課税制度の下で有利になる可能性があります。ただし、一度この制度を選択すると、暦年課税に戻ることはできません。
相続時精算課税制度は、生前に親や祖父母から子や孫へ贈与された財産を、その人が亡くなった時に相続税の計算に加える制度です。この制度は、60歳以上の親や祖父母が18歳以上の子や孫に物を贈る時に選べます。贈与した時、2,500万円までは贈与税がかからず、それ以上の金額は20%の税率で税金がかかります。
1月1日からは、新しく年間110万円の基礎控除が設けられました。この110万円は相続税の計算には含まれません。ただし、この制度を選ぶと、後で暦年課税制度に変えることはできません。例えば、マンションを相続時精算課税で贈与しても、他の財産を暦年課税で贈与することは不可能です。
このような税制の変更は、相続が発生する時期や贈与の条件によって、受贈者がどちらの制度を選択すべきかを慎重に検討する必要があります。贈与者と受贈者は、現在の家族構成、財産の状況、および予想される相続発生時期などを考慮した上で、どちらの制度を利用するかを決定することが望ましいでしょう。
このような状況の際には、贈与税や相続税に関する専門知識を持っている税理士のような専門家に相談することをお勧めします。