関連会社間の株式持ち合いと事業承継の落とし穴
事業承継のご相談でよく見られるのが、「関連会社間の株式持ち合い」による複雑な株式構造です。特に、創業者が複数の会社を設立し、それぞれが互いの株式を保有している場合、事業承継時に予期せぬ課題が生じることがあります。この記事では、株式持ち合いのリスクとその対策を解説します。
株式持ち合いとは?
株式持ち合いとは、例えば会社Aが会社Bの株式を、会社Bが会社Aの株式を相互に保有する状態を指します。グループ会社間の信頼関係の強化や、外部からの買収リスクの軽減を目的として行われることが一般的です。しかし、創業者の退任や相続のタイミングでは、以下のような問題が浮上します。
事業承継時に生じる主な問題点
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株式評価の複雑化
相互保有により、各会社の株式価値が相互に影響し合うため、正確な評価が困難になります。特に、「類似業種比準価額」や「純資産価額」を用いた評価方法では、循環構造が計算を複雑化させ、評価額のブレが生じやすいです。 -
経営権の不安定化
創業者の株式が後継者や相続人に分散する場合、相互保有の構造が議決権の確保を難しくします。これにより、後継者が安定的な経営権を握れないリスクが高まります。 -
相続税・贈与税の負担増
株式持ち合いにより評価額が上昇し、相続税や贈与税の負担が増大する可能性があります。また、評価の複雑さから税務調査で指摘を受けるリスクも高まります。 -
組織再編の障害
持ち合い構造は、合併、分割、M&Aなどの組織再編時に手続きを複雑化させ、迅速な対応を阻害する要因となります。
解決策と事前準備の重要性
これらの課題を回避するためには、早い段階での現状分析と対策が不可欠です。当事務所では、以下のような対策を提案しています:
- 株式の整理:持ち合いを解消するための株式売却や譲渡。
- ホールディングス化:資本関係を整理し、グループ全体の統治を強化。
- 信託の活用:株式の承継をスムーズに行うための信託スキームの導入。
- 専門家による評価:税務リスクを最小限に抑えるための正確な株式評価。
特に、生前のうちに承継計画を策定することで、税務・法務上のリスクを大幅に軽減できます。事前の準備が、円滑な事業承継の鍵となります。
まとめ
関連会社間の株式持ち合いは、事業承継において見落とされがちなリスクをはらんでいます。複雑な株式構造が引き起こす問題を未然に防ぐためには、専門的な知識と計画的な対応が必要です。当事務所では、株式評価、承継スキームの設計、税務対策まで、ワンストップでサポートいたします。
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