金融機関の担当者は企業等から融資の申し出を受けると、「稟議書」という資料を作成し、支店長等の決定者の決裁を受ける必要があります。
ここに必ず記載されるのが「資金使途」と「返済方法・原資」、そして、その根拠となる「数字」です。
①借入から最終回返済までの資金繰り計画表や、その根拠となる経営計画書等、その会社の状況がよくわかる資料が準備されている
②その資料に基づいて社長が自分の言葉で説明できる
という場合には、金融機関担当者は稟議書を作成しやすくなります。
そのため、これらを意識した説明の仕方や情報提供を心掛けていると、スムーズな資金調達につながりやすくなるといえます。
金融機関の「ホンネ」と「視点」を知り、いざという時の資金調達に備えましょう!
融資を申し込む際は、そのお金の使い道をはっきりと説明できるようにしましょう。
明確で具体的な説明ができると、金融機関も融資の実行を判断しやすくなります。
お金の使い道は、大きく分けて運転資金設備資金の2つがあります。
金融機関からの融資を検討する際は、まず、今回の融資の使い道がどちらになるのかを確認し、「なぜその資金が必要になるのか」 を具体的な根拠とともに説明できるように準備しておきましょう。
運転資金とは、材料や商品を仕入れてから、売上が入金されるまでの間に必要となる資金です。返済期間は比較的短期 (一般的に1~5年程度)とされ、大まかには次の式で求められます。
運転資金 = (売掛金+受取手形 + 在庫) – (買掛金 + 支払手形)
・販売先からの売上の入金が遅れる際に、入金までの間に必要となる費用
・仕入先から代金の入金を早めてほしいと依頼された際の支払費用
・事業拡大に向けた在庫確保のための仕入費用
・季節商品の製造や在庫の積み増しにかかる費用など
設備資金は、既存の事業の拡大や新規事業の立ち上げ等に必要な設備や機械等を購入するために必要となる資金です。
設備資金の返済原資は、その投資により生み出す利益となることから、返済期間は比較的長期 (一般的に5年以上)とされます。
また、 融資の相談の際には見積書等の投資金額を示す資料の提出が必要です。
・オフィスや店舗の敷金・保証金・内装工事費
・工場の機械や備品の購入費
・自社配送のためのトラックの購入費
・事業に必要なソフトウェアの開発費など
設備資金を運転資金に流用したり、設備投資における見積金額と発注金額の差額を流用したりすると、資金使途違反となるおそれがあります。
新たな融資を受けられなくなったり、一括返済を求められたりする可能性もあるため注意しましょう。
また、次のような使い方も慎むべきといえます。
・他金融機関からの融資の返済
・店舗兼住宅の住宅部分の内装工事など