コロナ禍を経て急速に普及したキャッシュレス決済。クレジットカード、電子マネー(Suica、WAON等)、二次元コード決済(PayPay、楽天ペイ等)など、決済手段の多様化に伴い、経理処理の方法も見直す必要があります。本記事では、キャッシュレス決済の記帳タイミングを中心に、経理の「?」を「!」に変えるポイントを詳しく解説します。会計ソフトの活用法も合わせてご紹介しますので、日々の経理業務の効率化にぜひお役立てください!
キャッシュレス決済は大きく分けて「後払い式(クレジットカード)」と「プリペイド式(電子マネー、コード決済)」の2つに分類されます。どちらの場合も、経理処理の基本は「発生主義」を貫くことです。発生主義とは、実際に現金のやり取りが発生した時点ではなく、取引が発生した時点で収益や費用を計上する会計の考え方です。この原則を押さえることで、正確な財務状況を把握できます。
クレジットカード決済の経理処理は、以下の2つのタイミングで仕訳を行います。
商品やサービスの提供が完了した時点(売上発生時点)で売上を計上します。例えば、飲食店や小売業(BtoC)の場合、顧客がクレジットカードで支払った時点が売上発生時点となります。この時点では現金は入金されていないため、「クレジット売掛金」または「売掛金」で処理します。
仕訳例:
クレジット売掛金 100,000円 / 売上 100,000円
クレジットカード会社から預貯金口座に入金された時点で、売掛金の消込処理を行います。この際、差し引かれた手数料は「支払手数料」として費用計上します。
仕訳例(手数料2%の場合):
普通預金 98,000円 支払手数料 2,000円 / クレジット売掛金 100,000円
クレジットカードで商品購入やサービスを受けた場合、取引が発生した時点(購入日・サービス受領日)で費用を計上します。この時点では引き落としがまだのため、「クレジット未払金」または「未払金」で処理します。
仕訳例:
備品消耗品費 3,300円 / クレジット未払金 3,300円
預貯金口座から引き落としがあった時点で、未払金の消込処理を行います。
仕訳例:
クレジット未払金 3,300円 / 普通預金 3,300円
電子マネーやコード決済(PayPay、楽天ペイ等)の場合も、以下の2つのタイミングで仕訳が必要です。
チャージした時点では物品購入などの取引は発生していないため、「前払金」として処理します。
仕訳例:
前払金 5,000円 / 現金 5,000円
電子マネーを使用した時点で、取引内容に応じた勘定科目に振り替え、「前払金」から費用を計上します。
仕訳例:
備品消耗品費 2,000円 / 前払金 2,000円
キャッシュレス決済の普及により、プライベートと事業用の決済が混同しやすくなっています。特に「財布要らず」の電子マネーやコード決済は便利ですが、プライベートアカウントでの決済は避けましょう。以下の対策で公私混同を防ぎましょう。
実践すべきポイント:
キャッシュレス決済の普及に伴い、取引データを直接会計ソフトに取り込む「入力レス(自動化)」が注目されています。TKCの「FXクラウドシリーズ」では、以下の機能で経理業務の省力化を実現します。
FXクラウドシリーズの3つの強力な機能
これらの機能を活用することで、キャッシュレス決済の経理処理を効率化し、ミスを減らしつつ正確な会計記録を維持できます。
キャッシュレス決済の経理処理は、発生主義を基本に「取引時」と「入金・引落時(またはチャージ時・使用時)」の2段階で仕訳を行うことが重要です。公私混同を避けるためのルール作りや、会計ソフトの活用で、経理業務をよりスムーズに進めましょう。「データはデータのまま」取り込む入力レスな経理を目指して、業務効率化を実現してください!
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