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2026年の制度改正が目白押し! 中小企業が必ず対応すべき5つのポイント



2026年は、子ども・子育て支援金制度の開始在職老齢年金制度の見直し
防衛特別法人税の創設不動産の住所変更登記の義務化
労働基準法制の見直し など、経営や人事・労務、税務に影響を与える制度改正が相次ぐ予定です。

本記事では、これらの制度改正の概要と、中小企業の経営者・人事担当者が今から準備しておきたい実務ポイントを、税理士の視点から分かりやすく整理しました。

1.「子ども・子育て支援金」制度の開始

制度の概要

子ども・子育て支援金制度は、少子化対策や子育て支援を目的として、
公的医療保険(健康保険・国民健康保険など)に上乗せして徴収される新たな拠出金
の仕組みです。2026年度から順次導入される予定で、会社員や自営業者、高齢者を含む幅広い世代が対象となります。

こども家庭庁の公表資料等によると、支援金は保育の受け皿整備や、児童手当の拡充などに充てられ、
子ども一人あたりでみると 総額100万円超規模の支援 になるとの試算も示されています。
一方で、現役世代を中心に 1人あたり月数百円程度の保険料負担増 が見込まれています。

企業が押さえておきたいポイント

  • 社会保険料の会社負担分にも影響するため、人件費シミュレーション に取り入れておく。
  • 従業員からの質問に備え、制度の目的や負担・給付のイメージを説明できる体制 を整える。
  • 子育て支援制度の拡充は、採用・定着のPR材料 にもなり得るため、自社の制度と合わせて情報発信を検討する。
税理士からのワンポイント

子ども・子育て支援金は「税」ではなく保険料として徴収されますが、
企業にとっては 実質的に人件費(法定福利費)の増加 となります。
賃上げや人員増を検討している企業は、数年先までの総人件費を試算しておくことをおすすめします。

2.在職老齢年金制度の見直し

支給停止基準額が「62万円」に引き上げ

在職老齢年金制度は、厚生年金を受給しながら働く60歳以上の方について、
賃金と年金の合計額が一定額を超えると年金の一部が支給停止される仕組み です。

厚生労働省の資料等によると、2026年4月からは、

現行(2025年度まで) 見直し後(2026年4月以降・予定)
「賃金(総報酬月額相当額)」+「年金(基本月額)」が
月50万円を超えると超過分の半額を支給停止
同合計が月62万円を超える場合にのみ、
超過分の半額を支給停止

つまり、賃金と年金の合計が62万円以下であれば、年金は全額支給される 方向で見直しが進められています。
これにより、シニア世代が就労調整をせずに働きやすくなることが期待されています。

企業にとってのメリットと対応

  • 経験豊富なシニア人材に、賃金を抑えずに活躍してもらいやすくなる
  • 定年延長や継続雇用制度の設計にあたって、62万円ラインを意識した賃金・処遇設計 が可能。
  • 就業規則・賃金規程の見直しや、従業員説明会などを通じて、
    制度変更を踏まえた 高齢者雇用ポリシーの明確化 が求められる。
税理士からのワンポイント

在職老齢年金の見直しは、
「いつまで・どの条件で高齢者に働いてもらうか」 という経営判断に直結します。
モデル賃金や人件費シミュレーションを行いながら、
社会保険・税金も含めたトータルのコストと手取りのバランスを確認しておきましょう。

3.防衛特別法人税の創設

概要と対象となる企業

防衛力強化のための財源確保策として、
「防衛特別法人税」 が創設されました。財務省の税制改正大綱および国税庁の案内によると、
概要は次の通りです。

  • 適用開始:2026年(令和8年)4月1日以後に開始する事業年度 から。
  • 納税義務者:各事業年度の所得に対して法人税が課されるすべての法人。
  • 税額計算:

    • まず「基準法人税額」(各種税額控除適用前の法人税額)から、年500万円の基礎控除 を差し引く。
    • その残額(課税標準法人税額)に4%を乗じた金額が、防衛特別法人税となる。
  • 基準法人税額が500万円以下であれば、防衛特別法人税は発生しない。

そのため、実質的には中堅・大企業を中心に負担が生じる仕組み となっており、
多くの中小企業では税額が発生しないケースも想定されます。ただし、
税額が0円でも防衛特別法人税の申告書提出が必要 とされていますので注意が必要です。

中小企業が確認しておきたいポイント

  • 直近の法人税額の水準を確認し、基準法人税額が500万円を超えるかどうか を把握しておく。
  • 税額が発生する場合、キャッシュフロー計画や納税資金の確保 を早めに検討する。
  • 申告様式が法人税申告書と一体化されるため、決算・申告実務のフロー見直し を行う。
税理士からのワンポイント

防衛特別法人税は、法人実効税率をおおむね1%弱押し上げると試算されています。
黒字幅が大きい企業ほど影響も大きくなるため、
設備投資や役員報酬の見直しなど、中期的な税務戦略の再検討 が重要です。

4.不動産の「住所等変更登記」の義務化

2026年4月から住所・氏名変更登記が義務に

法務省の特設ページ等によると、2026年4月1日から、
不動産の登記名義人について住所や氏名・名称が変わった場合、変更日から2年以内に変更登記を申請することが義務化されます。

  • 対象:個人・法人を問わず、不動産の所有者(登記名義人)。
  • 猶予:施行日前に行われた住所変更も対象となりますが、2028年3月31日までに登記すれば過料は科されない経過措置が予定されています。
  • 罰則:正当な理由なく申請を怠ると、5万円以下の過料 の可能性あり。
  • 登記費用:変更登記には、1物件あたり1,000円の登録免許税が必要(予定)。

会社が取るべき実務対応

  • 本店所在地や代表者の住所変更があった場合、商業登記だけでなく不動産登記の変更 も必要になることを社内で共有する。
  • 自社所有の不動産について、登記簿上の住所・氏名と現在のものが一致しているか を早めに確認する。
  • 相続等により不動産を取得した場合は、相続登記の義務化 と合わせて、登記手続きの漏れがないよう専門家に相談する。
税理士からのワンポイント

登記情報が古いままだと、
融資や不動産売却の際に手続きが遅れる要因 となります。
会社名変更・本店移転・代表者変更などのタイミングでは、商業登記とあわせて不動産登記も必ず確認しましょう。

5.労働基準法制の見直しの動き

研究会報告書を踏まえた今後の方向性

厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」では、働き方の多様化や長時間労働是正などを踏まえ、
労働基準法等の見直しについて検討が行われ、報告書が公表されています。
これを受け、2026年以降、国会での法案審議・制度改正が順次進む見込みです。

現時点で具体化が進んでいる主な論点として、次のようなものが挙げられます。

  • 中小企業も含めた時間外・休日労働の上限規制の一層の徹底
  • テレワークや副業・兼業の広がりを踏まえた、労働時間管理ルールの見直し
  • 50人未満事業場におけるストレスチェック義務化 など、労働安全衛生分野の強化。
  • 割増賃金規制や年次有給休暇の在り方の再検討 など。

企業が今からできる準備

  • 残業時間・休日出勤の実態を把握し、36協定の内容と運用 を点検する。
  • 勤怠システムの導入・見直しにより、客観的な労働時間管理 を徹底する。
  • メンタルヘルス対策やハラスメント対応など、職場環境の整備 を進める。
  • テレワーク・副業などの就業ルールを明文化し、就業規則や雇用契約書の整合性 を確認する。
税理士からのワンポイント

労働法制の改正は、罰則や行政指導のリスクだけでなく、
採用力や離職率にも大きく影響します。制度改正をきっかけに、
「安心して長く働ける会社かどうか」 を見直す良い機会と捉え、
就業規則・賃金規程・評価制度をトータルで整備していきましょう。

まとめ:制度改正をチャンスに変えるために

2026年以降の制度改正は、企業にとって負担増となる側面もありますが、
見方を変えれば、人材活用の幅を広げ、自社の働き方やガバナンスを見直す好機 でもあります。

  • 人件費・社会保険料・税金に与える影響を早めに試算する。
  • 就業規則・賃金規程・人事制度をアップデートする。
  • 登記や申告など、手続き面での漏れを防ぐ仕組みを作る。

当事務所では、これらの制度改正を踏まえた経営計画の見直しや、人事・労務のご相談、
決算・申告実務のサポート
を行っています。具体的な影響額を知りたい方や、
自社の状況に即した対応策を検討したい方は、どうぞお気軽にご相談ください。

※本記事は、2025年11月時点で公表されている情報(こども家庭庁・厚生労働省・財務省・国税庁・法務省 等の資料)をもとに作成しています。
その後の法令改正等により内容が変更される場合がありますので、最新情報は各省庁の公式サイト等でご確認ください。

※記載内容は一般的な解説であり、特定の企業・個人に対する税務・法務上のアドバイスを目的としたものではありません。具体的な取扱いについては、必ず専門家にご相談ください。


事務所通信を参照して作成。

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