2026年は、税制・社会保障制度の見直しが数多く予定されている「転換点」の年です。
中小企業の経営者や個人の家計にも、じわじわと影響が出てくる見込みです。
ここでは、2026年に予定されている主な制度改正をわかりやすく整理し、
「企業として・家計として、今からどのような準備をしておくべきか」を解説します。
少子化対策の財源確保のため、医療保険料に上乗せする形で「子ども・子育て支援金」の徴収が始まる予定です。
会社員、公務員、自営業者など、幅広い医療保険加入者が対象となります。
厳密には新しい「税」ではなく、社会保険料の一部として取り扱われますが、実質的には
手取り収入がわずかに減る方向となるため、家計には負担増となります。
企業にとっては、従業員からの質問や不安に丁寧に答えることが求められます。
給与明細の表示方法や説明資料の整備など、総務・人事部門の準備も早めに進めておきたいところです。
高齢期も働き続ける人が増えるなか、一定の賃金を超えると年金が減額される
「在職老齢年金制度」の基準が見直される方向です。
制度改正により、働きながら年金を受け取っても減額されにくくなると見込まれています。
企業側から見ると、60代後半以降のベテラン社員に長く働いてもらいやすくなり、
人手不足対策や技術承継の面でプラスに働きます。
一方で、賃金設計や社会保険料の負担、就業規則の見直しなど、人事・労務面の検討が必要です。
防衛力強化の財源として、所得税・法人税・たばこ税の引き上げが検討されており、
2026年以降、段階的に導入される見込みです。
中小企業にとっては、法人税率の引き上げにより実効税負担がやや重くなる可能性があります。
設備投資や役員報酬の決め方、節税対策の優先順位など、これまで以上に「事前のシミュレーション」が重要になります。
個人の方についても、所得税の一部が上乗せされる方向で検討されているため、
将来の手取り額や老後資金計画を見直すきっかけになるでしょう。
2026年には、住宅や不動産に関連する税制も順次見直される予定です。
住宅ローン控除の適用要件や、各種優遇措置の取り扱いが変わる可能性があり、
「いつ住宅を取得するか」「どの条件を満たすか」によって税負担が変わる時期になります。
すでに住宅取得を検討されている方や、相続対策として不動産を活用したい方は、
制度の切り替え時期を踏まえてスケジュールを組むことが大切です。
具体的な影響は個々のケースで異なるため、早めに専門家へご相談ください。
2023年10月にスタートした消費税インボイス制度では、免税事業者からの仕入について
一定割合を仕入税額として控除できる経過措置が設けられています。
2026年10月からは、この経過措置が「80%控除」から「50%控除」へ縮小される予定です。
免税事業者と取引を続けている企業ほど、消費税負担が増える可能性があります。
具体的には、
といった対応が必要です。とくに小規模事業者同士の取引では、
「どちらが負担を持つか」で行き違いが生じやすいため、
早めにシミュレーションとコミュニケーションを進めることをおすすめします。
ビール・発泡酒・新ジャンル(第三のビール)といったビール系飲料の酒税が段階的に見直され、
2026年には最終的にほぼ一本化される予定です。
これにより、一般的には
ビールは減税方向、新ジャンルは増税方向となり、
商品ごとの価格差が小さくなると考えられています。
飲食店や酒販店など、ビール系飲料を多く扱う事業者にとっては、
メニュー価格や仕入れ構成を見直すタイミングになります。
従業員を守る観点から、顧客等からの理不尽なクレーム・暴言などの
「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への対応が法的にも重要視されつつあります。
2026年には、事業主に対してハラスメント防止のための措置義務が一層求められる方向です。
中小企業では、「忙しくて対策まで手が回らない」という声も多いですが、
就業規則や社内マニュアルにカスハラ対応を組み込み、
従業員が安心して働ける環境づくりを進めておくことが、
ひいては企業のブランド力向上にもつながります。
2026年の制度改正は、ひとつひとつの影響は小さく見えても、
積み重なると企業の利益や家計の可処分所得に無視できない差を生みます。
当事務所では、制度改正の情報提供だけでなく、
「自社の場合は具体的にいくら変わるのか」という実務的な試算や、
決算・資金繰り・相続を含めた総合的なご相談を承っています。
2026年をチャンスととらえ、制度変更を味方につけた経営・ライフプランを一緒に考えてみませんか。
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