インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者となった事業者は、ほとんどが 「2割特例」を適用することになると思われます。
「2割特例」 適用の際の留意点に ついて、確定申告時期を前にあらためて確認しておきましょう。
「2割特例」は、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった方が対象です。したがって、次のような場合は適用の対象となりません。
1.基準期間における課税売上高が1,000万円を超える事業者
2.資本金1,000万円以上の新設法人
3.調整対象固定資産や高額特定資産を取得して仕入税額控除を行った事業者
4.課税期間を1か月または3か月に短縮する特例の適用を受ける事業者など
本則課税と簡易課税のいずれを選択している場合でも、消費税の申告を行う都度、「2割特例」の適用を受けるかどうかの選択が可能です。
すでに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している事業者についても、申告の際に「2割特例」を適用することが可能です。
基準期間の課税売上高が1,000万円を超えたことで、適用対象事業者でなくなった場合は、「2割特例」を適用することができなくなります。
ただし、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することで、簡易課税制度を適用することが可能です。この場合、特例措置として、簡易課税制度の適用を受けたい課税期間の末日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、 簡易課税制度の適用が認められます(原則は、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに届出書の提出が必要です)。
・多額の設備投資などを理由に売上金額より仕入金額のほうが多くなるような場合
課税仕入れ等に係る消費税額が、課税売上に係る消費税額を上回る場合は、還付税額が生じます(簡易課税制度を適用している場合や「2割特例」を適用する場合、通常、還付税額が生じることはありません)。
・卸売業者(簡易課税制度の適用がある場合)
卸売業を営む者が簡易課税制度を適用している場合、みなし仕入率90%を適用して消費税の計算を行いますので、「2割特例」を適用するよりも、納付税額が少なくなります。
インボイス制度についての質問や不明点がある場合、税理士に相談することをお勧めします。税理士は税務に関する専門的な知識を持っており、インボイス制度の適用、対応方法、影響などについて正確なアドバイスを提供できます。特に、インボイス制度は消費税の適用に関わる重要な要素であり、正しい理解と対応が事業運営において重要です。税理士に相談することで、制度の理解を深め、適切な対応策を立てることができるでしょう。