認知症と相続に関するQ&Aです。
法的には、認知症の親が他の親族に遺産を全て譲るという意思表示は可能です。ただし、それが認知症の進行によって本人の真の意志を反映していない可能性も考慮しなければなりません。
日本の民法では、遺言によって遺産を全て特定の親族に譲ることは原則として可能です。ただし、子供や配偶者などの法定相続人がいる場合、その人たちは遺留分(相続人が受け取るべき最低限の相続分)の権利を持っています。したがって、親が全ての遺産を特定の親族に譲ると遺言したとしても、他の法定相続人が遺留分を請求すれば、遺言による全ての遺産の譲渡は制約を受けることになります。
また、重要な点として、認知症の親が遺言を行う際には、その意思能力が問われることがあります。認知症の進行によって判断能力が著しく低下している場合、遺言は無効とされることがあります。そのため、親が認知症であると明らかな場合には、遺言が法的に有効と認められるためには、医師の診断書や専門家(弁護士や公証人)の立会いなど、適切な手続きや証拠が必要となることがあります。
このような複雑な状況では、専門家の意見を求めることを強くお勧めします。特に法律や医学、そして家族の個々の状況と意向を考慮に入れた上で、最善の解決策を見つけるためには、弁護士や税理士など遺産相続の専門家の助けを借りることが有益です。