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2025年12月19日 相続税申告おやくだち

親が亡くなったときの税務・不動産登記の手続きと進め方


親が亡くなったときの税務・不動産登記の手続きと進め方【2025年保存版】


親御さんがお亡くなりになると、葬儀や各種手続きで心身ともに大きな負担がかかります。
その中でも特に期限が厳格で、放置するとペナルティ(加算税や過料)のリスクがあるのが、税務(準確定申告・相続税申告)と不動産の相続登記です。
本記事は、国税庁・法務局の2025年現在の公式情報を基に精査・更新したものです。2024年4月の相続登記義務化や、相続税の基礎控除(変更なし)を反映しています。

「何を」「いつまでに」「どの順番で」進めればよいかを網羅的に解説します。
特に、手続きを劇的に楽にする「法定相続情報証明制度」についても詳しく触れ、追加のQ&Aセクションを設けました。悲しみの中で進める作業を、少しでも軽減するための保存版です。

1.全体のスケジュール感(税務・登記のデッドライン)

相続開始日(親が亡くなった日)を起点とした、絶対に守るべき期限は以下のとおりです。国税庁の「No.4205 相続税の申告と納税」および法務省の相続登記義務化特設ページに基づきます。

期限(相続開始を知った日から) 主な手続き 提出・申請先
3か月以内 ・遺言書の探索(家庭裁判所への検認申請も含む)
・相続財産の調査(プラス財産・借金)
相続放棄・限定承認の申述(民法915条、1042条)
家庭裁判所
4か月以内 ・被相続人の所得税の「準確定申告」(国税庁No.2022)
・納税(振替納税は利用不可の場合が多い)
被相続人の住所地の税務署
10か月以内 「相続税申告書」の提出(国税庁No.4205)
・相続税の納付(現金一括が原則、延納・物納可能)
・遺産分割協議の完了(※特例適用の条件、小規模宅地等の特例など)
被相続人の住所地の税務署
3年以内
(不動産取得を知った日から)
不動産の相続登記(義務化、法務省令和6年4月1日施行)
※遺産分割が未了でも「相続人申告登記」が必要(過料回避)
不動産所在地の法務局
【注意】期限を過ぎた場合のペナルティ(2025年現在)

  • 相続税(国税庁No.4205):無申告加算税(申告期限後1ヶ月以内15%、以降20%)、延滞税(年2.6%〜8.9%の低金利部分+高金利部分)、重加算税(隠ぺい等で35%〜40%)。例: 1,000万円の税額で無申告の場合、追加150〜200万円以上。
  • 準確定申告:同様に加算税・延滞税。所得税の準確定申告漏れは相続税計算に影響。
  • 相続登記(法務省):正当な理由なく3年以内に申請しない場合、10万円以下の過料(行政罰金)。過去の未登記分も対象。

2.死亡直後〜2週間:初期対応と証明書の取得

税務申告や登記申請の前提として、まずは以下の手続きを行います。これらは「期限が短い」ものが多いです。市区町村役場や年金事務所の公式ガイドを参考に。

  • 死亡届の提出・火葬許可申請(7日以内):葬儀社が代行するのが一般的。死亡診断書を添付。
  • 世帯主変更届(14日以内):故人が世帯主だった場合。相続人代表が提出。
  • 健康保険・介護保険の資格喪失手続き(14日以内):保険証を返却。後期高齢者医療制度の場合も同様。
  • 年金の受給停止手続き:日本年金機構へ連絡(厚生年金10日以内、国民年金14日以内)。過払い分は返還義務あり。
  • 追加:銀行口座の凍結解除準備:相続人確認のため、戸籍謄本を早めに取得。

3.相続の基盤固め:相続人と財産の確定

誰が権利を持ち、何が課税対象かを確定させます。ここが間違っていると、後の遺産分割協議が無効になる恐れがあります。法務局の法定相続情報証明制度を活用しましょう。

3-1.「法定相続情報証明制度」の活用(法務局推奨、2025年現在)

従来は、銀行や法務局ごとに大量の戸籍謄本の束(出生から死亡まで)を提出する必要がありました。
現在では、法務局に戸籍一式を一度提出すれば、「法定相続情報一覧図の写し」(家系図のような証明書)を無料で必要枚数発行してもらえます(法務局HP「法定相続情報証明制度」)。
これ1枚で銀行の解約、不動産登記、相続税申告が可能。交付まで約1〜2週間、5年間有効。2024年4月以降の登記申請では、番号記載で写し省略可。

手続きの3STEP(法務局ガイドより)
1. 戸籍謄本等収集(被相続人出生〜死亡、相続人住民票)。
2. 一覧図作成(法務局様式ダウンロード可)。
3. 法務局申出(窓口・郵送・オンライン)。手数料無料。

3-2.相続財産・債務の洗い出し

「名義預金」や「デジタル遺産(暗号資産、オンライン口座)」の調査漏れに注意。国税庁「相続税の申告書作成ガイド」を参考に。

  • プラスの財産:預貯金(残高証明書取得)、不動産(固定資産税納税通知書・名寄帳で確認)、株式・投資信託(証券会社残高照会)、自動車(車検証)、貴金属(鑑定書)。
  • みなし相続財産:死亡保険金、死亡退職金(※受取人固有ですが、相続税計算対象。非課税枠あり)。2025年現在、生命保険非課税枠は500万円×法定相続人数。
  • マイナスの財産(債務):借入金(残高証明)、未払いの医療費・税金・カード利用料、葬儀費用(相続税から控除可能、領収書保存)。
    追加Tips:債務超過の場合、相続放棄を検討(3ヶ月以内)。

4.税務手続きの詳細とポイント

4-1.準確定申告(所得税)【4か月以内、国税庁No.2022】

故人が自営業者、不動産オーナー、または給与・年金収入が一定額を超える場合などに必要(例: 年金400万円超)。
相続人全員の連署で申告書を提出。e-Tax不可、手書きまたはソフト使用。

  • 必要書類(国税庁ガイドより):確定申告書(様式B推奨)、源泉徴収票、医療費の領収書、控除証明書(生命保険・地震保険)、相続人のマイナンバー確認書類、「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」(XML提出必須の場合あり)。
  • 注意点:医療費控除は「死亡日までに支払ったもの」が対象。死亡後支払いは相続税債務控除へ。復興特別所得税(2.1%)も含む。
  • 追加:計算例 故人の年収500万円、控除後課税所得300万円の場合、税額約30万円。相続人分割納付可。

4-2.相続税申告【10か月以内、国税庁No.4205】

遺産総額が基礎控除額を超える場合に申告必須。2025年改正なし。

基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
例:相続人が妻と子2人(計3人)の場合、3,000万円+1,800万円=4,800万円まで非課税。
法定相続人とは? 配偶者、子、直系尊属(親)。養子は1人まで含む。

節税の鍵:「小規模宅地等の特例」(国税庁No.4124)

亡くなった親が住んでいた自宅の土地を、配偶者や同居親族が相続する場合、
330㎡まで評価額を80%減額(特定居住用宅地等)。事業用は400㎡まで50%減額。
※適用要件:相続開始前同居、申告期限内申告必須。納税額ゼロでも申告必要。
追加:家なき子特例(2024改正) 非同居子でも、配偶者・同居親族がいない場合、一定条件で80%適用可。

Q: 特例を使い逃したら?
A: 申告期限後、修正申告で遡及可能だが、加算税リスクあり。早めの税理士相談を。

5.不動産相続登記の手順【義務化対応、法務省2025年ガイド】

5-1.2024年4月からのルール変更

相続登記が任意から義務へ変わりました(不動産登記法改正)。過去の未登記分も3年以内に申請対象。

  • 期限:「不動産の取得を知った日」から3年以内。複数物件の場合、各々独立。
  • 救済措置(相続人申告登記):遺産分割未了時、法務局に相続人申告で過料回避。後日分割登記で更新。
  • 追加:費用 登録免許税0.4%(免税措置: 初回相続登記無料、2027年3月31日まで)。

5-2.手続きの流れ

  1. 物件調査:固定資産税納税通知書や法務局の名寄帳(無料申請)で所有物件を網羅。
  2. 必要書類の収集:被相続人の出生〜死亡の戸籍、相続人の戸籍・住民票、固定資産評価証明書など。
    (※法定相続情報一覧図があれば戸籍の束不要。番号記載で簡略化)。
  3. 遺産分割協議書の作成:誰が不動産をもらうか話し合い、実印押印。印鑑証明書添付。テンプレートは法務局HP。
  4. 法務局へ申請:窓口・郵送・オンライン(登記・供託オンライン申請システム)。申請後、登記事項証明書取得。
Q: 海外在住相続人は?
A: 委任状で代理申請可。戸籍・パスポートで本人確認。

6.専門家への依頼判断と進め方のコツ

手続きは自分で行うことも可能ですが、以下のケースでは専門家への依頼を強く推奨。

相談内容 専門家 依頼すべきケース例
税務申告 税理士 ・相続税がかかるか微妙なライン(特例適用の判断)
・土地の評価が複雑(不整形地、路線価なし、借地権)
・名義預金の調査・デジタル資産が必要
不動産登記 司法書士 ・古い抵当権抹消が必要
・数次相続(祖父名義のまま父亡き後)
・権利関係複雑(共有持分調整)
争族トラブル 弁護士 ・遺産分割協議不調
・遺留分侵害額請求(民法1046条)

スムーズに進めるためのステップ(2025年推奨)

  1. まず「法定相続情報一覧図」を取得(法務局、1〜2週間)。
  2. 財産目録作成ツール(国税庁Excel)を使い、相続税の基礎控除を超えるか判定。
  3. 超えそうな場合は速やかに税理士へ相談(初回無料相談多し。ここが遅れると小規模宅地特例適用不可)。
  4. 並行して準確定申告の準備(4か月は短い。源泉徴収票を金融機関から早め取得)。
  5. 遺産分割協議まとめ後、相続税申告相続登記を同時進行(登記で税額軽減証明利用可)。
  6. 追加:相続税申告後、修正申告の可能性を考慮(新情報発見時、5年以内)。

7. よくあるQ&A(国税庁・法務局FAQより)

Q1: 相続税ゼロでも申告必要?
A: 特例適用時のみ必要(小規模宅地等)。基礎控除内なら不要。
Q2: 海外資産はどう?
A: 全世界課税。外国税額控除可。税理士に相談。
Q3: 登記義務化前の未登記は?
A: 取得知った日から3年以内。猶予期間あり(2027年3月まで免税)。

まとめ

親御さんが亡くなった後の手続きは、悲しみの中で進めなければならない大変な作業です。
しかし、「4か月の準確定申告」「10か月の相続税申告」「3年以内の相続登記」という期限は待ってくれません。2025年現在、基礎控除変更なしですが、特例の要件厳格化に注意。

特に相続税は、特例(小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減)を使えるかどうかで支払額が数百万円単位で変わることがあります。
ご自身で判断が難しい場合は、早めに専門家(税理士・司法書士)の無料相談などを活用し、道筋をつけることから始めましょう。

※本記事は2025年12月時点の情報に基づく。最新は国税庁・法務局HP確認を。



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