「相続の特別寄与分はいくらか?」という問い合わせがあります。
相続人以外の者の寄与に関する裁判例が参考になるかと思います。
被相続人Aは,相続人Bの妻であるCが嫁いで間もなく脳梗塞で倒れて入院し,付き添いに頼んだ家政婦がAの過大な要望に耐えられなかったため,Cは,少なくとも3か月間はAの入浴中の世話をし,その退院後は右半身不随となったAの通院の付き添い,入浴の介助など日常的な介護に当たり,更にAが死亡するまでの半年の間は,Aが毎日失禁する状態となったことから,その処理をするなどAの介護に多くの労力と時間を費やした。
Aが入院した期間のうち約2か月は家政婦にAの看護を依頼し,Aは,在宅期間中は入浴や食事を作ることを除けば,概ね独力で生活する機能を有していたことが認められるが,CによるAの入院期間中の看護,その死亡前約半年間の介護は,本来家政婦などを雇ってAの看護や介護に当たらせることを相当とする事情の下で行われたものであり,それ以外の期間についてもCによる入浴の世話や食事及び日常の細々とした介護が13年余りにわたる長期間にわたって継続して行われたものであるから,CによるAの介護は,同居の親族の扶養義務の範囲を超え,相続財産の維持に貢献した側面があると評価することが相当である。
CによるAの介護は,Bの履行補助者として相続財産の維持に貢献したものと評価でき,その貢献の程度を金銭に換算すると,200万円を下ることはないというべきであるから,この限度でBのこの点に関する寄与分の主張には理由がある。
出典:法務省ホームページ(https://www.moj.go.jp/content/001222143.pdf)を加工して作成