「生死不明の家族の相続をするには、どうすればいいか?」という問い合わせがあります。
相続は、死亡によって開始する(民法882⦅相続開始の原因⦆)。つまり、被相続人の死亡という事実があれば当然に開始し、被相続人の死亡を相続人が知っていたかどうかを問わず、相続人は被相続人の財産上の権利義務を当然に承継することとなります。
この死亡には、自然の死亡だけでなく、「失踪宣告」の制度による擬制死亡も含まれます。
失踪宣告とは、生死不明の者に対して法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です。
失踪には、普通失踪と危難失踪の2種類あり、普通失踪の場合には不在者の生死が7年間不明のときに、また、危難失踪(特別失踪)の場合には戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇した者の生死がその危難が去った後1年間不明のときに、家庭裁判所は利害関係人の請求により失踪の宣告をすることができます(民法30⦅失踪の宣告⦆)。
失踪の宣告を受けた者は、普通失踪の場合には失踪期間満了時に、危難失踪の場合には危難が去った時に、それぞれ死亡したものとみなされます(民法31⦅失踪の宣告の効力⦆)。
なお、失踪宣告を受けた者の生存が判明した場合には、家庭裁判所は失踪者本人又は利害関係人の請求により失踪宣告を取り消すこととなります(民法32⦅失踪の宣告の取消し⦆)。
失踪の種類 | 失踪期間 | 死亡の時期 |
普通失踪 | 不在者の生死が7年間不明であること | 7年間が満了した時 |
危難失踪 (特別失踪) |
戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇した者の生死が、その危難が去った後1年間不明であること | 危難が去った時 |
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kohon/souzoku/pdf/30/12.pdf)を加工して作成