「身内に後継者がいないので、従業員に事業承継したいと考えています。注意する点を教えてください」という質問があります。
親族内承継の場合と同様、次のとおり(1)関係者の理解、(2)後継者教育、(3)株式・財産の分配がポイントです。また、(4)個人(債務)保証・担保の処理にも注意が必要です。
①親族内承継の場合と比べて、より多くの時間が必要となる場合が多い。
②現オーナー経営者の親族の意向をよく確認しておく。
(継ぐ気がないと思っていた親族が突然継ぎたいと言い出すケースもある)
③一時的な中継ぎとして従業員等へ承継する場合は、十分意思疎通を行っておく。
必要に応じて社内・社外教育を実施。
①株式については、後継者の経営に配慮し一定程度後継者に集中させることが必要。
②後継者に株式取得のための資力がないことが一般的であることに注意。(MBOの利用も検討)
③現経営者の様々な要請に応じて会社法の各種手法が活用可能
(例)
・現経営者の親族に財産権を残すため、議決権制限株式を発行して取得させる。
・拒否権付種類株式(黄金株)を現経営者が一定期間保持し、後継者の経営に睨みを利かせる。
①事業承継に先立ってできるだけ債務の圧縮を図る。
②後継者の債務保証を軽減できるよう、金融機関とねばり強く交渉する。
③個人保証・担保が完全に処理しきれない場合は、負担に見合った報酬を後継者に確保しておく。
この会社、誰に継がせようか? と思ったら…
円滑な事業承継のためには、後継者問題や財務・相続対策、法人化など様々な準備に早く取り組むことが必要です。