令和5年10月から消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)が始まります。インボイス制度は、課税事業者にも免税事業者にも影響のある大きな制度改正ですが、そもそも、なぜインボイスが必要とされるのでしようか。
制度上、適格請求書発行事業者の登録を受けるかどうかは事業者の任意となっています。事業者がインボイスを発行するためには、登録を受ける必要があります。適格請求書発行事業者は販売する商品に軽減税率対象品目があるかどうかを問わず、買手(課税事業者に限る)から求められればインボイスを発行しなければなりません。
ご質問のように、課税事業者のなかには、取引先がインボイスを必要としない消費者や免税事業者または簡易課税制度を選択している課税事業者のみというケースなどがあります。たとえば、学習塾などです。買手となる生徒は消費者ですから、インボイスを保存する必要がないため、売手が必ずしもインボイスを発行する必要はありません。
課税事業者であってもインボイスを発行する必要のない事業者が、適格請求書発行事業者になると、原則として、次のような売手側の義務が発生します。
①インボイスを発行する。
②返品や値引きなどを行う場合に、返還インボイスを発行する。
③発行したインボイスに誤りがあった場合は、修正インボイスを発行する。
④発行したインボイスの写しを保存する。
このように適格請求書発行事業者には一定の義務が課せられるため、インボイスを発行する必要がない課税事業者については、適格請求書発行事業者の登録を受けないということが考えられます。
ただし、登録を受けない課税事業者であっても、自社が仕入税額控除を行うためには、仕入先等からインボイスを受け取って、保存しておく必要があります。