第2話 赤字会社に起きる5つの危険 - 【近江八幡・滋賀】税理士|澤田匡央税理士事務所
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第2話 赤字会社に起きる5つの危険

〜資金繰り・銀行・採用で起きる現実〜

第1話では、「税金を払いたくないから赤字でよい」という考え方の危険性と、
黒字が会社の体力になることをお伝えしました。

もちろん、赤字になったからといって、すぐに会社が倒産するわけではありません。
一時的な設備投資、創業期の先行投資、災害や急激な環境変化によって赤字になることもあります。

しかし、赤字が慢性化すると、資金繰り、銀行評価、採用、社長保証、取引先信用など、
経営のさまざまな場面で不利な状況が生まれます。
第2話では、赤字会社に起きやすい5つの危険を、実務の視点から解説します。

1.赤字=即倒産ではありません

まず確認しておきたいのは、赤字だからといって直ちに倒産するわけではないということです。
会社は、手元資金、借入余力、過去に蓄積した内部留保、金融機関や取引先からの信用によって、
一定期間は赤字でも事業を継続できる場合があります。

たとえば、新規事業への投資、人材採用、設備更新、広告宣伝など、
将来の成長を見据えた一時的な赤字であれば、経営上合理的な場合もあります。

ただし、問題は原因が分からない赤字慢性的な赤字です。
「なぜ赤字なのか」
「いつ黒字化できるのか」
「資金繰りは何か月持つのか」
を説明できない状態は、会社にとって非常に危険です。

2.危険その1|資金繰りが急速に苦しくなる

赤字が続くと、会社から資金が流出しやすくなります。
売上はあっても、原価・人件費・家賃・借入返済・税金・社会保険料などの支払いが続くため、
利益が出ていない会社では手元資金が少しずつ減っていきます。

特に注意すべきなのは、損益計算書(P/L)の利益と、実際の現金残高は一致しないという点です。
たとえば、借入金の返済のうち「元金部分」は、損益計算書上は経費になりません。
そのため、帳簿上は黒字でも、毎月の借入返済によって預金残高が減っていくことがあります。

反対に、赤字でも一時的に借入や資産売却でキャッシュが回っている会社もあります。
つまり、利益だけを見ても、会社の本当の資金繰りは分かりません。
だからこそ、月次試算表とあわせて資金繰り表を作成することが重要です。

中小企業庁の早期経営改善計画策定支援では、
資金繰りの安定や本源的な収益力の改善に向けた取組を支援対象としています。
赤字や資金繰り不安を早期に見える化し、改善に取り組むことが重要です。

赤字が続いている会社ほど、今後3か月、6か月、1年先の現預金残高を確認し、
どの時点で資金不足が起きる可能性があるかを把握しておきましょう。

3.危険その2|銀行評価が悪化し、融資条件が厳しくなる

赤字が続くと、金融機関からの評価にも影響します。
金融機関は、融資先企業が今後も返済できるかを確認するため、
決算書、試算表、資金繰り表、借入金残高、自己資本、経営計画などを見ています。

一時的な赤字であっても、原因と改善策を説明できれば、金融機関の理解を得られる可能性があります。
しかし、慢性的な赤字で、改善計画や資金繰りの見通しを示せない場合、
新規融資が受けにくくなったり、融資額が減ったり、金利や返済条件が厳しくなったりすることがあります。

また、中小企業の融資では、信用保証協会の保証付き融資を利用することも少なくありません。
赤字や債務超過が続くと、金融機関だけでなく、信用保証協会の保証審査や保証枠にも影響する可能性があります。
「銀行が貸してくれるか」だけでなく、「保証協会の保証を受けられるか」も、資金調達では重要な論点です。

特に金利上昇局面では、赤字会社は不利になりやすいです。
金融機関側も貸出リスクを慎重に見ますので、
黒字会社と赤字会社では、同じ借入希望額でも受け止め方が変わります。

だからこそ、赤字のときほど、月次試算表や資金繰り表を早めに作成し、
金融機関へ現状と改善策を説明できるようにしておく必要があります。

4.危険その3|経営者保証の負担が重くなりやすい

中小企業の借入では、経営者保証が問題になることがあります。
経営者保証とは、会社が借入金を返済できなくなった場合に、
経営者個人が返済責任を負う仕組みです。

中小企業庁は、経営者保証ガイドラインの3要件として、
法人と経営者個人の資産・経理の明確な分離、
法人のみの資産や収益力で返済できる財務基盤、
金融機関への適時適切な財務情報の開示を挙げています。

つまり、会社が赤字で財務基盤が弱く、金融機関への情報開示も不十分な場合、
経営者保証を外すことは難しくなりやすいといえます。
反対に、黒字化を進め、財務内容を改善し、月次試算表や決算書を適時に開示している会社は、
経営者保証の見直しを相談しやすくなります。

赤字を放置することは、会社だけでなく、社長個人や家族のリスクにもつながる可能性があります。

5.危険その4|採用・賃上げ・人材定着が難しくなる

赤字会社では、人材採用や賃上げにも影響が出ます。
採用市場では、給与水準、賞与、福利厚生、教育体制、将来性などが見られます。
赤字が続き、給与改定や賞与支給が難しい会社では、優秀な人材の確保が難しくなります。

また、既存社員にとっても、会社の将来に不安がある状態では、
モチベーションや定着率に影響します。
人手不足が続く中で、人材流出は会社の競争力をさらに低下させます。

大手企業との取引や管理職・専門職の採用では、
取引先や求職者が会社の信用情報を確認することもあります。
帝国データバンクや東京商工リサーチなどの信用調査会社を通じて、
業績や財務内容、支払状況などが確認される場合もあります。

つまり、黒字化は社内の資金繰りだけの問題ではありません。
外部から見た会社の信用力、採用力、取引継続力にも関わります。
継続的な黒字は、「安心して働ける会社」「安心して取引できる会社」という印象づくりにもつながります。

6.危険その5|取引先からの信用が低下する

赤字が続くと、取引先からの信用にも影響することがあります。
たとえば、支払遅延が発生したり、資金繰り不安が噂になったりすると、
仕入先から取引条件の変更を求められることがあります。

掛取引の限度額が下がる、前払いを求められる、支払サイトが短くなるなど、
取引条件が厳しくなると、さらに資金繰りが苦しくなる悪循環に陥ります。

また、法人の場合、決算公告や信用調査、金融機関・取引先からの資料提出依頼を通じて、
会社の財務状況が外部に確認される場面があります。
決算書の内容は、単なる社内資料ではなく、外部からの信用判断に使われる資料でもあります。

長期的な取引を考える取引先にとって、
赤字が続いている会社は「今後も安定して取引できるか」という不安材料になります。
黒字化は、金融機関だけでなく、取引先からの信用を守るためにも重要です。

7.赤字のときほど「月次試算表」が重要です

赤字会社にとって最も危険なのは、
赤字の原因が分からないまま時間が過ぎることです。
年に1回の決算で初めて赤字に気づくのでは、対策が遅れます。

毎月、月次試算表を作成すれば、
売上減少、粗利益率の低下、固定費の増加、借入返済負担、在庫増加、売掛金回収遅れなどを早く把握できます。

赤字の原因が分かれば、対策を打てます。
価格改定、原価見直し、不採算取引の整理、固定費削減、資金繰り改善、借入条件の見直しなど、
具体的な行動につなげることができます。

金融機関に対しても、月次試算表を提出し、
「現状は赤字だが、原因を把握し、改善策を進めている」と説明できれば、
何も説明しない会社よりも信頼を得やすくなります。

8.TKCモニタリング情報サービスで金融機関との信頼を高める

金融機関との関係では、決算書や試算表を適時に開示する姿勢も重要です。
TKCモニタリング情報サービスは、法人税・個人所得税の電子申告を行うと、
金融機関へ決算書等を電子的に開示できる仕組みです。

TKCは、このサービスについて、電子申告した決算書等を金融機関へ開示し、
経営の透明性を高めることで、金融機関との関係づくりを支援するものと説明しています。
紙の決算書を用意して郵送・持参する手間を減らせる点も特徴です。

赤字のときほど、金融機関に不安を与えないために、
「数字を隠さず、早く正確に伝える」ことが大切です。
月次決算やTKCモニタリング情報サービスの活用は、金融機関から評価される決算書づくりにもつながります。

9.赤字から抜け出すために確認すべきポイント

赤字から抜け出すには、まず現状を分解して確認する必要があります。
次の項目をチェックしましょう。

  • 売上は前年同月や計画と比べて減っていないか
  • 粗利益率は下がっていないか
  • 原材料費・外注費・人件費が増えすぎていないか
  • 不採算の商品・取引先・部門はないか
  • 固定費が売上規模に対して重すぎないか
  • 借入返済が資金繰りを圧迫していないか
  • 売掛金の回収や在庫の増加で資金が寝ていないか
  • 金融機関に説明できる改善計画があるか
  • 信用保証協会の保証付き融資や既存借入の条件を確認しているか

赤字は、早く原因を見つければ改善の余地があります。
しかし、放置すればするほど、資金繰り・銀行評価・採用・取引信用に悪影響が広がります。

10.税理士事務所ができる赤字改善支援

赤字改善には、正確な数字の把握と、具体的な改善策の実行が必要です。
当事務所では、次のような支援を通じて、赤字からの脱却と黒字化をサポートします。

  • 月次決算による赤字原因の見える化
  • 資金繰り表の作成支援
  • 売上総利益率・限界利益率の確認
  • 損益分岐点売上高の試算
  • 不採算取引・不採算部門の分析
  • 借入金返済予定表の整理
  • 信用保証協会の保証付き融資を含めた借入状況の確認
  • 金融機関へ説明するための試算表・改善計画の作成支援
  • TKCモニタリング情報サービスを活用した情報開示支援
  • 経営改善計画策定支援制度の活用相談
  • 経営者保証の見直しに向けた財務改善の助言

「赤字が続いているが、何から手をつければよいか分からない」
「銀行にどう説明すればよいか不安」
「資金繰り表を作ったことがない」
という方は、早めにご相談ください。

11.まとめ|赤字は早めに原因を見つけ、手を打つことが大切です

赤字は、すぐに倒産を意味するものではありません。
しかし、慢性的な赤字は、資金繰り、銀行評価、融資条件、採用、社長保証、取引先信用に大きな影響を与えます。

特に金利上昇局面では、赤字会社は資金調達面で不利になりやすくなります。
銀行だけでなく、信用保証協会の保証枠や取引先からの信用にも影響する可能性があります。

また、損益計算書上の利益と実際の現金残高は一致しません。
借入金の元金返済、売掛金の回収遅れ、在庫増加などにより、
赤字でなくても資金繰りが苦しくなることがあります。
赤字の原因を早く把握し、月次試算表と資金繰り表をもとに改善策を進めることが重要です。

金融機関から評価される決算書づくりを支援します。
月次決算・資金繰り改善・金融機関対応・黒字化支援については、当事務所へご相談ください。

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黒字化は、決算前だけの対策ではなく、毎月の数字を確認し、改善を積み重ねることで実現します。
当事務所では、月次決算・巡回監査を通じて、会社の利益体質づくりを支援しています。

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次回予告

第3話では、「黒字会社は銀行からどう見られているのか?」をテーマに、
融資・金利・信用力の違いについて解説します。

銀行は決算書のどこを見ているのか、
月次決算や資金繰り表がなぜ重要なのか、
金融機関との信頼関係を築くための実務ポイントを確認していきます。

参考資料



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