第1話 なぜ会社は黒字を目指すべきなのか? - 【近江八幡・滋賀】税理士|澤田匡央税理士事務所
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第1話 なぜ会社は黒字を目指すべきなのか?

〜“税金を払いたくない”だけでは会社は守れない〜

「利益が出ると税金が増えるから、あまり黒字にしたくない」
「税金を払うくらいなら、経費を使った方がよい」
経営者の方から、このようなお話を聞くことがあります。

しかし、会社を長く続け、従業員や家族を守り、金融機関や取引先から信頼されるためには、
黒字を目指す経営が欠かせません。
黒字は、単に税金を払うためのものではなく、会社の体力そのものだからです。

本連載では、「会社は黒字化を目指すべき」というテーマについて、
税理士事務所の視点からわかりやすく解説します。
第1話では、なぜ黒字が会社を守るのかを考えていきます。

1.「利益が出ると税金が増えるから赤字の方が得」は危険です

法人は、利益が出れば法人税等を負担します。
国税庁は、法人税の税率について、普通法人の基本税率や中小法人の軽減税率を公表しています。
中小企業庁も、中小法人等の年800万円以下の所得金額について、一定の軽減税率が設けられていることを案内しています。

たしかに、利益が出れば税金は発生します。
しかし、「税金を払いたくないから利益を出さない」という考え方は、会社の体力を弱めます。
税金は利益の一部に対してかかるものであり、税金を払った後にも会社には利益が残ります。

一方、赤字であれば税金は少なくなるかもしれませんが、
会社にお金が残らず、設備投資、採用、賃上げ、借入返済、将来への備えが難しくなります。
税金だけを見て経営判断をすると、会社の成長力や信用力を失うおそれがあります。

2.黒字は「会社の体力」です

黒字とは、売上から仕入、外注費、人件費、家賃、広告費、借入利息などを差し引いた後に、
会社が事業活動を通じて利益を生み出せている状態です。

黒字が続く会社は、次のような力を持ちやすくなります。

  • 急な売上減少に耐える力
  • 設備投資やIT投資を行う力
  • 従業員の賃上げや賞与を支払う力
  • 人材採用や教育に投資する力
  • 借入金を計画的に返済する力
  • 災害・事故・病気など不測の事態に備える力

つまり、黒字は社長のためだけのものではありません。
従業員、家族、取引先、金融機関との関係を守るための基礎でもあります。

ただし、ここで注意したいのは、利益と現金は必ずしも一致しないという点です。
黒字でも売掛金の回収が遅れたり、在庫や設備投資に資金が使われたりすると、
資金繰りが苦しくなることがあります。
いわゆる「黒字倒産」は、利益だけでなくキャッシュフローを見る重要性を示しています。

3.利益がない会社は、設備投資・賃上げ・採用が難しくなります

会社を成長させるためには、将来への投資が必要です。
古くなった設備の更新、業務効率化のためのシステム導入、人材採用、従業員教育、広告宣伝などは、
いずれも資金を必要とします。

しかし、利益が出ていない会社では、これらの投資を行う余力が不足します。
たとえば、賃上げをしたくても原資がなければ継続できません。
採用を強化したくても、給与水準や教育体制を整えられなければ人材は定着しにくくなります。

近年は人手不足が続いており、従業員の処遇改善は中小企業にとって重要な課題です。
賃上げを一時的な努力で終わらせず、継続できるものにするためにも、
会社が黒字を確保し、利益から原資を生み出すことが必要です。

4.赤字が続くと、金融機関からの評価にも影響します

金融機関は、融資先企業が今後も返済を続けられるかを重視します。
そのため、決算書や試算表を通じて、売上、利益、借入金、自己資本、資金繰りなどを確認します。

金融庁の中小企業融資に関する資料でも、中小企業については財務状況だけでなく、
技術力、販売力、成長性、代表者の状況などを総合的に勘案して経営実態を判断する考え方が示されています。
ただし、連続赤字や債務超過は、金融機関にとって重要な注意材料になります。

赤字が続くと、追加融資が受けにくくなったり、借入条件が厳しくなったりする可能性があります。
反対に、継続して黒字を確保し、月次試算表や資金繰り表で状況を説明できる会社は、
金融機関との信頼関係を築きやすくなります。

5.債務超過と自己資本比率の怖さ

赤字が続くと、過去に蓄積した利益が減少し、最終的には債務超過に陥ることがあります。
債務超過とは、会社の資産よりも負債の方が多い状態です。

債務超過になると、金融機関から見て返済能力に不安がある会社と判断されやすくなります。
取引先からの信用にも影響する場合があります。
また、事業承継やM&A、後継者への引き継ぎを考える際にも、大きな障害になります。

ここで確認したいのが、貸借対照表の自己資本(純資産)です。
黒字を積み重ねると、利益剰余金が増え、自己資本が厚くなります。
自己資本が厚い会社は、多少の赤字や資金繰り悪化にも耐えやすくなります。

反対に、赤字が続くと自己資本が減り、自己資本比率も低下します。
自己資本比率は、会社がどれだけ自己資金で事業を支えているかを見る重要な指標です。
黒字化は、損益計算書だけでなく、貸借対照表を強くする取り組みでもあります。

6.「節税しすぎ」は会社を弱くすることがあります

節税そのものが悪いわけではありません。
税制上認められた制度を活用し、無駄な税負担を減らすことは大切です。

しかし、必要のない経費を使って利益を減らす節税は注意が必要です。
たとえば、決算前に不要な備品を購入したり、目的の薄い支出を増やしたりすれば、
税金は減っても会社のお金も減ります。

本当に大切なのは、税金をゼロにすることではなく、
税金を払った後に、会社にどれだけ資金を残せるかです。
会社を守る節税と、会社を弱くする節税は違います。

たとえば、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)のように、
将来の取引先倒産リスクに備えながら、一定の税務上の効果も期待できる制度があります。
ただし、加入要件、掛金、解約時の課税関係、資金繰りへの影響を確認したうえで活用することが大切です。

節税は「税金を減らすこと」だけで判断するのではなく、
キャッシュを残せるか、将来の備えになるか、金融機関から見て決算書がどう映るかまで含めて考える必要があります。

7.黒字化には「正しい数字の把握」が欠かせません

黒字化を目指すには、まず自社の数字を正しく把握する必要があります。
売上が増えていても、原価や人件費、固定費が増えていれば利益は残りません。
忙しく働いているのにお金が残らない会社は、どこかに利益を圧迫している要因があります。

中小企業庁は、中小企業の会計に関する基本要領について、
正しい会計ルールに基づいて日々の記帳を行い、信頼性ある計算書類を作成し、
財務情報を活用して自社の経営状況をタイムリーに把握することが重要だと説明しています。

月次決算を行い、毎月の利益、資金繰り、借入金、売掛金、在庫を確認することで、
黒字化に向けた改善点が見えやすくなります。

8.黒字化は経営者・従業員・家族を守ります

黒字化は、単なる数字上の目標ではありません。
黒字が続くことで、会社は従業員に安定した給与を支払い、将来への投資を行い、
取引先との信頼関係を維持しやすくなります。

経営者にとっても、黒字は精神的な余裕につながります。
資金繰りに追われる日々から脱し、将来の事業展開、人材育成、事業承継について考える時間を持ちやすくなります。

また、中小企業では、会社の経営が経営者家族の生活に直結することも少なくありません。
会社を黒字化することは、経営者本人だけでなく、家族の生活や将来を守ることにもつながります。

9.税理士事務所ができる黒字化支援

黒字化は、気合いや根性だけで実現できるものではありません。
どの商品・サービスで利益が出ているのか、どの経費が増えているのか、
どの取引先が不採算なのかを数字で確認し、具体的な改善策を実行する必要があります。

当事務所では、次のような支援を通じて、会社の黒字化をサポートします。

  • 月次決算による利益の見える化
  • 試算表・資金繰り表の作成支援
  • 売上総利益率・限界利益率の確認
  • 損益分岐点売上高の試算
  • 借入金返済と資金繰りの確認
  • 自己資本比率や債務超過リスクの確認
  • 金融機関へ説明しやすい決算書づくり
  • 経営改善計画・黒字化計画の作成支援
  • 節税と内部留保のバランスを踏まえた決算対策
  • 経営セーフティ共済など制度活用の検討支援

「利益が出ているはずなのにお金が残らない」
「赤字が続いているが、どこから改善すればよいか分からない」
「銀行に説明できる数字を整えたい」
という方は、早めにご相談ください。

10.まとめ|まずは自社の利益体質を確認しましょう

「利益が出ると税金が増えるから赤字の方がよい」という考え方は危険です。
黒字は、会社の体力であり、金融機関からの信用であり、従業員や家族を守る力です。

また、黒字を積み重ねることで自己資本が増え、会社は倒れにくくなります。
一方で、黒字でも資金繰りが苦しくなることはあるため、利益だけでなくキャッシュフローもあわせて確認することが重要です。

もちろん、税負担を無視してよいわけではありません。
重要なのは、適切な節税を行いながら、税金を払った後に会社に資金を残すことです。
経営セーフティ共済など、将来への備えと税務上の効果を両立できる制度もありますが、
資金繰りや解約時の課税関係まで含めて検討する必要があります。

黒字化を目指す第一歩は、自社の利益体質を確認することです。
月次決算、試算表、資金繰り表をもとに、どこに改善余地があるのかを一緒に確認していきましょう。

まずは自社の利益体質を確認しませんか?
黒字化支援・月次決算・資金繰り改善については、当事務所へお気軽にご相談ください。

経営支援・巡回監査のご相談はこちら

黒字化は、決算前だけの対策ではなく、毎月の数字を確認し、改善を積み重ねることで実現します。
当事務所では、月次決算・巡回監査を通じて、会社の利益体質づくりを支援しています。

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次回予告

第2話では、赤字会社に起きる具体的な危険について解説します。
「赤字でも資金が回っているから大丈夫」と考えていても、
借入金、資金繰り、銀行評価、採用、事業承継の面で問題が表面化することがあります。

次回は、利益とキャッシュフローの違いや、
赤字が続いた場合に会社で何が起きるのかを、より実務的に確認していきます。

参考資料



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