令和8年度税制改正の方向性(概要)—「強い経済」と「物価高への対応」
令和8年度税制改正は「経済あっての財政」をキーワードに、中小企業の投資促進(強い経済)と、
物価上昇への対応(基礎控除等の見直し)を柱として整理されています。
※本記事は「令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日 閣議決定)」や、経済産業省の公表資料等を踏まえた概要整理です。
具体的な取扱いは、法令成立・施行、通達・Q&Aの公表内容により確定します。
改正の全体像(2つの視点)
1)中小企業の投資を後押し(「強い経済」の実現)
中小企業者等向けには、大胆な設備投資の促進をはじめ、成長投資・高付加価値化を後押しする税制措置が講じられる方向です。
事業環境の変化(人手不足・賃上げ・GX/DX対応等)を背景に、「投資→生産性向上→賃上げ・成長」につながる施策が意識されています。
2)物価上昇への対応(個人向けの見直し)
個人向けには、物価上昇に連動した基礎控除額等の引き上げなど、「物価高への対応」を意識した制度見直しが示されています。
いわゆる“実質的な負担増”を抑える観点からの整理で、今後の具体的な制度設計・適用開始時期が注目点です。
注目ポイント:事業承継税制(特例)の「計画提出期限」が延長
一定の要件のもと、非上場株式等(法人版)や個人事業用資産(個人版)の承継に関して、
贈与税・相続税の納税猶予(実務上は「納税負担の繰延べ」)を活用できる制度が、事業承継税制(特例措置)です。
特例措置を利用するためには、税理士等の専門家の指導も踏まえた
「特例承継計画(法人版)」/「個人事業承継計画(個人版)」の提出が必要です。
令和8年度税制改正により、この計画の提出期限が延長されました。
計画提出期限(延長後)
| 区分 |
必要な計画 |
提出期限(延長後) |
| 法人版 |
特例承継計画 |
令和9年9月30日まで |
| 個人版 |
個人事業承継計画 |
令和10年9月30日まで |
重要:適用期限(承継の期限)は延長されていません
今回延長されたのは「計画提出期限」です。
一方で、制度の適用期限(承継が行われる期限)については延長されていません。
「計画を出したから安心」ではなく、承継のスケジュールと要件管理まで含めて、早めの検討が重要です。
実務上のチェックポイント(税理士が見る“落とし穴”)
- 対象になるかの一次判定(株主構成・後継者要件・対象資産の範囲など)
- 承継のタイミング(適用期限までに承継が完了するか)
- 承継後の要件管理(届出・報告・要件未充足時のリスクの共有)
- 他制度との併用可否(組織再編、持株会社化、種類株式活用等の設計)
当事務所のサポート
事業承継税制(特例)は、申請書類の整備だけでなく、承継の設計(株式・資産・後継者・経営体制)と、
承継後の要件管理まで含めて進めることが成功のポイントです。
当事務所では、制度適用の可能性診断から、計画作成支援、承継実行時の税務、承継後フォローまで一貫してご相談いただけます。
「うちは対象になる?」「いつまでに何をすればいい?」など、まずはお気軽にお問い合わせください。