経理担当者が「この税理士事務所、もう限界…」と思う瞬間①
税理士事務所へ質問を送ったのに、何日たっても返事がない。経理処理を進められず、社長からは「まだ分からないの?」と聞かれる。そんな状況が続いていないでしょうか。
経理担当者にとって、税理士事務所からの返信の遅さは、単なる「ちょっとした不便」ではありません。会計処理、請求、納税、給与計算、資金繰り、社長への報告など、社内のさまざまな業務を止める原因になります。
この記事では、税理士事務所からの返答が遅いことで起こる問題と、経理担当者が一人で抱え込まないための対処法、税理士事務所を見直す際のポイントを解説します。
1.「返事が遅いだけ」と我慢していませんか?
税理士事務所へ質問したあと、すぐに回答が必要な場面は少なくありません。
- この支出は経費にしてよいのか
- この請求書の消費税区分はどう処理するのか
- 新しい取引の会計処理はどうすればよいのか
- 社長から聞かれた納税見込額はいくらなのか
- 取引先への請求書にどのような記載が必要なのか
- 従業員への支払いを給与にするのか外注費にするのか
特に「給与か外注費か」の判断は、税務調査でも重点的に確認される論点の一つです。税理士の回答が遅れ、処理が曖昧なまま進んでしまうと、後日、源泉所得税や消費税などを含めて追徴課税につながる可能性もあります。迷った時点で早めに確認することが重要です。
こうした質問は、回答が来るまで処理を保留せざるを得ません。一つの処理が止まると、その後の月次決算や社内報告にも影響します。
それでも経理担当者は、「税理士の先生は忙しいから仕方がない」「こんなことを何度も聞くのは申し訳ない」と考え、我慢してしまいがちです。
しかし、顧問契約を結んでいる以上、日常の会計・税務に関する質問へ適切に対応することは、税理士事務所の重要な役割です。
2.返事が遅いことで、経理担当者の仕事が止まる
税理士事務所からの回答が遅れると、最も負担を受けるのは、実際に会計処理を担当している経理担当者です。
たとえば、仕訳処理について質問したまま返答がなければ、該当する取引だけでなく、月次の締め作業全体が遅れることがあります。
また、経理担当者は税務の専門家ではありません。自分なりに判断して処理した結果、後から修正を求められれば、同じ作業をもう一度やり直すことになります。
「聞いても返事が来ない」「自分で判断すると後から違うと言われる」という状態が続けば、経理担当者のストレスは大きくなります。
本来、税理士事務所との契約は、経理担当者の仕事を円滑にするためのものです。ところが、返答が遅いことで、逆に仕事が増えているのであれば、顧問契約のあり方を見直す必要があります。
3.社長から見えにくい「待ち時間」というコスト
税理士事務所からの返答を待っている時間は、経営者からは見えにくいコストです。
- 月次試算表の完成が遅れる
- 資金繰りの判断が遅れる
- 納税見込額を把握できない
- 社長への報告が遅れる
- 取引先への請求や支払いが止まる
- 同じ内容を何度も確認する時間が増える
一件の返信が2日遅れるだけでも、その質問に関連する処理が複数あれば、経理全体の進行が大きく遅れることがあります。
さらに、経営者が必要としている数字をすぐに示せなければ、経理担当者の能力不足だと誤解されてしまうこともあります。実際には、税理士事務所から必要な回答が来ていないことが原因かもしれません。
4.返事が遅い税理士事務所にありがちな状態
- 担当者一人が多くの顧問先を抱えている
- 担当者が税理士へ確認しないと回答できない
- 質問の受付方法が決まっていない
- メールやチャットの確認ルールがない
- 担当者不在時に他の職員が対応できない
- 顧問先ごとの情報が事務所内で共有されていない
一時的に繁忙期で返答が遅れることは、どの事務所にもあり得ます。しかし、年間を通して返事が遅い、催促しなければ回答が来ない、担当者が休むと誰も対応できないという場合は、個人の忙しさではなく、事務所の体制に問題がある可能性があります。
5.「何日以内なら普通?」ではなく、業務への影響で判断する
税理士事務所からの返信が何日以内なら適切かは、質問の内容によって異なります。
簡単な会計処理の質問であれば、当日または翌営業日までに方向性が分かると、経理担当者は安心して処理を進められます。
一方、税務判断に調査が必要な内容であれば、その場で結論が出ないこともあります。その場合でも、「確認して○日までに回答します」という連絡があれば、社内の予定を立てられます。
問題なのは、回答に時間がかかること自体ではなく、いつ返事が来るのか分からない状態で放置されることです。
6.経理担当者が一人で抱え込まないための対処法
まずは経理担当者だけで抱え込まず、状況を社内で共有することが大切です。社長へ伝えるときは、「税理士事務所の対応が悪い」という感情的な説明ではなく、業務への影響を具体的に示すと伝わりやすくなります。
- 質問した日
- 回答が来た日、または未回答の状態
- 回答待ちで止まった業務
- 月次決算や支払いへの影響
- 催促にかかった時間
「今月は3件の質問で合計5営業日処理が止まった」「納税見込額の回答が遅く、資金準備が後手に回った」と説明できれば、経営者も問題を理解しやすくなります。
7.まずは税理士事務所へ改善を求める
すぐに税理士を変更するのではなく、現在の税理士事務所へ改善を求める方法もあります。
- 質問はメール・電話・チャットのどれがよいか
- 通常の回答期限はどの程度か
- 急ぎの場合は誰へ連絡すればよいか
- 担当者不在時の代替担当者はいるか
- 定期訪問や面談時にまとめて確認できるか
連絡方法を整理するだけで改善する場合もあります。ただし、改善をお願いしても状況が変わらない、そもそも相談しにくい、問題を伝えると嫌な顔をされるという場合には、税理士事務所の変更も選択肢になります。
8.税理士事務所を見直すときのチェックポイント
- 経理担当者から直接質問できるか
- 質問方法が明確になっているか
- 回答の目安を示してもらえるか
- 担当者以外でも顧問先の状況を把握しているか
- 毎月の確認や打合せの機会があるか
- 専門用語を使わず説明してもらえるか
- 会計処理だけでなく、社内業務の流れも理解してくれるか
経理担当者が質問しやすく、迷ったときにすぐ相談できる税理士事務所であれば、会計処理の正確性だけでなく、業務効率も高まります。
9.税理士を変えると、経理担当者の仕事はどう変わる?
- 判断に迷う時間が減る
- 仕訳のやり直しが減る
- 月次試算表を早く完成できる
- 社長への報告がしやすくなる
- 納税や資金繰りの準備を早く始められる
- 経理担当者が一人で責任を抱え込まずに済む
正確な数字が早くまとまれば、経営者はその数字をもとに、採用、設備投資、借入れ、価格改定などの判断を早く行えます。税理士事務所の対応力は、会社全体の意思決定の速さにもつながります。
10.経理担当者の不満は、税理士変更を考える重要なサインです
経理担当者は、社内で最も税理士事務所と接する機会が多い存在です。その経理担当者が、「質問しにくい」「返事が遅い」「毎回催促しないといけない」と感じているのであれば、それは単なる相性の問題ではなく、顧問契約の質に関する重要なサインかもしれません。
税理士を変えることは、決して税理士への不義理ではありません。会社の成長段階や経理体制が変われば、必要とする支援内容も変わります。現在の税理士事務所が今の会社に合っているかを定期的に見直すことは、経営上の大切な判断です。
税理士事務所からの返事が遅く、経理業務が止まっていませんか?
澤田匡央税理士事務所では、経営者だけでなく、日々の会計処理を担当する経理担当者の方とのコミュニケーションも大切にしています。
会計処理で迷ったときに相談しやすい体制を整え、月次の数字を早く正確にまとめられるよう支援します。
「今の税理士事務所へ質問しても返事が来ない」「経理担当者が一人で悩んでいる」「税理士変更を検討しているが、社長へどう説明すればよいか分からない」という場合は、まずは現在の状況をお聞かせください。
税理士変更を前提とせず、現在の問題点や、変更した場合の進め方についてご相談いただけます。
まとめ
税理士事務所からの返信が遅いと、経理処理だけでなく、月次決算、資金繰り、納税準備、経営判断まで遅れることがあります。
回答に時間が必要な質問であっても、いつまでに回答するかという見通しが示されれば、経理担当者は安心して業務を進められます。
催促しなければ返事がない状態が続き、経理担当者の負担が増えているのであれば、現在の税理士事務所との連絡体制を見直してみましょう。改善が難しい場合には、経理担当者が相談しやすく、会社の数字を早く経営へ生かせる税理士事務所への変更も有力な選択肢です。







