税理士が他士業と連携し、お客様の課題をワンストップで解決することは非常に有益です。しかし、紹介の対価として「紹介料(バックマージン)」を授受することは、各士業の法律や倫理規程で厳格に禁止されています。法令遵守(コンプライアンス)の観点から、注意すべきポイントを解説します。
多くの士業において、紹介の対価として金品を授受することは禁止されています。これには主に以下の理由があります。
弁護士職務基本規程第13条により、弁護士は依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払ってはならず、また紹介したことに対する対価を受け取ってはならないと定められています。これに違反すると、紹介した側も刑事罰(弁護士法72条違反・非弁提携)に問われるリスクがあります。
司法書士倫理第13条において、「不当な顧客の誘致」が禁止されており、紹介料の支払いや受領はこれに該当します。法務省の監督指針等においても、不適切な顧客誘致は懲戒処分の対象とされています。
社労士法第23条の2(非社会保険労務士との提携の禁止)等により、不適切な紹介スキームへの関与は制限されています。無資格者が介在して手数料を取るような形態は、社労士法違反となる可能性が高いです。
行政書士倫理第12条により、依頼のあっせんの対価として、報酬を支払ったり、受け取ったりすることが禁止されています。
税理士法第37条では「信用失墜行為の禁止」が定められています。国税庁の指針においても、税理士としての品位を損なうような行為は懲戒処分の対象となります。
法令を遵守しつつ、お客様に付加価値を提供するための健全な運用方法は以下の通りです。
士業ポータルサイト等への支払いについては、それが「広告掲載の対価」として合理的であれば認められる場合がありますが、「成約件数や報酬額に応じた手数料(成果報酬)」の場合は、各士業会の規程で禁止されている「紹介の対価」とみなされる可能性が非常に高いです。利用前に各士業会の最新の指針を確認してください。
一般的な社会通念上の範囲内での贈答(季節の挨拶など)であれば、直ちに紹介の対価とはみなされません。ただし、紹介の件数に連動して高額なギフトを贈るなどの行為は、実質的な紹介料と判断されるリスクがあるため、避けるべきです。