令和8年度税制改正のポイント 少額減価償却資産の特例の見直し
令和8年度税制改正では、中小企業にとって利用頻度の高い
「少額減価償却資産の特例」が見直される予定です。
この制度は、一定の条件を満たす中小企業者等が取得した少額の設備等について、
通常の減価償却ではなく取得した年度に全額を費用計上(即時償却)できる制度です。
今回の改正では、対象となる資産の取得価額の上限が引き上げられ、
より利用しやすい制度へと変更されます。
1 少額減価償却資産の特例とは
中小企業者等が取得した減価償却資産について、次の条件を満たす場合には
通常の耐用年数による減価償却ではなく、
取得年度に全額を損金算入することができます。
- 対象資産:取得価額が一定額未満の減価償却資産
- 年間限度額:合計300万円まで
- 対象者:一定の中小企業者等
この制度は、中小企業の設備投資を後押しする目的で設けられている税制措置です。
2 令和8年度税制改正の主な変更点
① 対象資産の取得価額が引き上げ
| 改正前 | 改正後 |
|---|---|
| 取得価額30万円未満 | 取得価額40万円未満 |
取得価額の上限が30万円未満から40万円未満へ引き上げられる予定です。
これにより、より高額な設備についても即時償却が可能になります。
② 適用期限の延長
この特例の適用期限は、令和11年3月31日まで延長される予定です。
③ 対象となる企業規模の見直し
| 改正前 | 改正後 |
|---|---|
| 従業員500人以下 | 従業員400人以下 |
対象となる企業規模が見直され、
常時使用する従業員数400人以下の企業が対象となる予定です。
④ 年間限度額は変更なし
即時償却できる金額の年間上限300万円は、
これまでと同様です。
3 償却資産税(固定資産税)との関係
この特例を利用して費用処理した資産であっても、
償却資産申告(固定資産税の申告)は必要です。
また、令和8年度税制改正では、
償却資産に係る固定資産税の免税点も見直されます。
| 改正前 | 改正後 |
|---|---|
| 150万円 | 180万円 |
この改正は令和9年度以後の固定資産税から適用される予定です。
4 減価償却資産とは
減価償却資産とは、事業のために使用する次のような資産をいいます。
- 建物
- 建物附属設備
- 機械装置
- 器具備品
- 車両運搬具
これらの資産は時間の経過とともに価値が減少するため、
取得価額を耐用年数にわたって費用配分する
減価償却という処理を行います。
なお、土地や骨董品などのように価値が減少しない資産は、
減価償却資産には該当しません。
5 取得価額の考え方
減価償却資産の取得価額には、
単なる購入代金だけではなく、
次のような費用も含まれます。
- 引取運賃
- 荷役費
- 運送保険料
- 購入手数料
- 関税
また、消費税を取得価額に含めるかどうかは
事業者の経理方式によって異なります。
- 税込経理方式:消費税を含めた金額
- 税抜経理方式:消費税を含めない金額
6 設備投資のタイミングに注意
近年は原材料価格の上昇や半導体関連資源の供給不安などにより、
パソコン・電子機器などの価格が上昇する可能性も指摘されています。
今回の改正で取得価額の上限は引き上げられますが、
年間300万円の上限は変わりません。
設備投資を検討している場合は、
価格動向や購入時期を見極めながら
計画的に導入することが重要です。
まとめ
- 少額減価償却資産の上限が30万円 → 40万円へ引き上げ
- 適用期限が令和11年3月31日まで延長
- 対象企業は従業員400人以下
- 年間限度額300万円は変更なし
- 償却資産申告は引き続き必要
設備投資を検討している企業にとって、
税務上のメリットを活用できる重要な制度です。
制度の適用可否や具体的な処理については、
税理士へご相談ください。








