本記事は、令和8年度税制改正大綱(2025年12月26日閣議決定)に基づいて作成しています。
実際の制度は今後の法案成立・政省令・通達により変更される可能性があります。
個別の適用については税理士へご相談ください。
1.こどもNISAの創設(対象年齢の拡大)
今回の改正では、つみたて投資枠の対象年齢が撤廃され、
新たに0歳から17歳を対象とする「こどもNISA」が創設されます。
年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円です。
18歳になると一般のつみたて投資枠へ自動的に移行します。
払出しについては、
原則として18歳になるまで非課税口座外への払出しが制限されますが、
12歳以降は子の同意を得た場合に払出しが可能となります。
また、災害時や教育費・生活費等の所定の使途がある場合には例外的な払出しが認められます。
2.NISA制度の利便性向上
NISA制度については、制度運用の簡素化が図られます。
- 所在地確認手続の原則廃止
- 対象株価指数の拡充(例:読売株価指数、JPXプライム150指数)
- 債券比率の高い投資信託の追加
これにより、幅広い年齢層が利用しやすい制度へと見直されています。
3.暗号資産取引の課税方式の見直し
暗号資産取引については、金融商品取引法等の改正を前提に、
課税方式の抜本的な見直しが示されています。
登録業者を通じて取引される「特定暗号資産」については、
所得税15%+復興特別所得税0.315%・住民税5%(合計20.315%)
の申告分離課税とする方向です。
また、損失については3年間の繰越控除が認められる予定です。
適用時期については、
関連法令の施行日の属する年の翌年1月1日以後
から順次適用される見込みです。
4.高所得者への課税強化(負担適正化)
分離課税所得の割合が高い高所得者に対する課税の公平性確保のため、
次の計算式が見直されます。
(基準所得金額-1.65億円)×30%
この見直しにより、一定以上の所得水準において追加的な税負担が発生します。
対象者は、試算ベースで約1,700〜2,000人程度と見込まれています。
5.ふるさと納税の上限設定
ふるさと納税については、
個人住民税の特例控除額に193万円の上限が設けられます。
この改正は、
令和10年度分以後の住民税
(令和9年1月1日以後の寄附)から適用されます。
上限額は、給与収入約1億円の方が最大限寄附した場合
(寄附額約438万円)を目安に設定されています。
6.青色申告特別控除の見直し
青色申告特別控除は、デジタル化促進の観点から見直されます。
(1)控除額の区分
- 75万円控除:複式簿記+e-Tax+優良な電子帳簿保存または一定の電子取引データ保存要件
- 65万円控除:複式簿記+e-Tax電子申告
- 10万円控除:紙申告または簡易簿記
(2)簡易簿記の対象縮小
簡易簿記による10万円控除は、
前々年の事業所得または不動産所得が1,000万円以下の者等に限定されます。
本改正は令和9年分以後の所得税から適用されます。
7.実務上のポイント
- こどもNISAは教育資金準備と資産形成の両面で活用可能
- 暗号資産は「分離課税対象かどうか」の判定が重要
- 高所得者は分離課税所得の比率に注意
- ふるさと納税は高所得者ほど影響大
- 青色申告は電子化対応が必須に近づく
8.まとめ
令和8年度税制改正では、
資産形成支援、課税の公平性確保、デジタル化促進という3つの方向性が明確になりました。
特に、NISA・暗号資産・青色申告制度は、
個人の資産形成や事業者の実務に直接影響を与える重要な改正です。
制度の適用には個別判断が必要となるため、
具体的な対応については税理士へご相談ください。







