相続税の税務調査では、金融資産の申告漏れが重点的に確認されます。
その中でも特に問題になりやすいのが名義預金です。
「口座の名義は家族だから大丈夫」と考えるのは危険です。
相続税では名義ではなく、実質的な所有者が誰かで判断されます。
1.名義預金とは
名義預金とは、形式上は家族名義であっても、
実質的には被相続人の財産と認められる預貯金をいいます。
国税庁も、名義に関わらず資金の拠出者などから
被相続人の財産と認められる場合は、
相続税の課税対象になるとしています。
2.名義預金と判断されやすい典型例
- 家族名義だが被相続人が管理している預金
- 被相続人と同じ印鑑で管理されている口座
- 原資が被相続人の資金である預金
- 名義人本人が内容を把握していない口座
3.なぜ税務調査で問題になるのか
相続税調査は金融資産の確認が中心です。
国税庁が公表している最新の相続税の調査等の状況によると、
実地調査だけでなく、文書・電話等による確認も積極的に行われています。
税務署は名義ではなく、
資金の流れや管理状況を総合的に判断します。
4.税務調査で確認されるポイント
(1)原資は誰のものか
預金の元となる資金が誰の収入かが重要です。
(2)管理者は誰か
通帳・印鑑・カードを誰が保管していたかが判断材料となります。
(3)利息の帰属
利息を誰が受け取っていたかも重要です。
(4)贈与として成立していたか
「贈与した」と主張する場合でも、
単なる口約束では不十分です。
贈与契約の合意(あげます・もらいますという双方の意思表示)があり、
受贈者がその財産を自由に管理・利用できる状態になっていたか
が重要です。
特に未成年者への贈与では、
親権者が適切に受諾しているかどうかもポイントになります。
(5)口座開設・手続の実態
誰が口座開設や書換えを行ったかも判断材料になります。
5.時効があるから大丈夫とは限らない
贈与税の時効を理由に除外できるとは限りません。
そもそも贈与が成立していなければ、
被相続人の財産として課税されます。
6.名義預金を防ぐための対策
- 贈与契約書の作成
- 受贈者本人による管理
- 資金移動の記録保存
- 贈与税申告の検討
特に重要なのは、
受贈者が自由に使える状態かどうかです。
※令和6年1月より、相続開始前7年以内(改正前は3年以内)の贈与は
相続財産に加算されるルールとなりました。
名義預金対策としての生前贈与は、
より早い段階から計画的に行うことが重要です。
7.相続税申告前のチェックポイント
- 家族名義口座の確認
- 資金の出どころの整理
- 通帳・印鑑の管理状況の確認
8.まとめ
名義預金は相続税調査で最も重要な論点の一つです。
名義ではなく「実態」で判断されるため、
生前からの管理と証拠整備が不可欠です。
不安がある場合は、税理士へご相談ください。







