食事支給の非課税限度額が見直しへ…令和8年度税制改正のポイントをわかりやすく解説
従業員への食事支給は、福利厚生の充実だけでなく、実質的な手取りアップにもつながる制度として注目されています。
令和8年度税制改正では、この食事支給に係る所得税の非課税限度額が大きく見直されました。
これまで長年据え置かれていた非課税限度額が引き上げられることで、
企業にとっては福利厚生制度を見直すきっかけになり、
従業員にとってはより活用しやすい制度になります。
この記事では、食事支給の基本的な考え方、今回の改正内容、実務上の注意点を、
税理士事務所のホームページ向けにわかりやすく整理します。
1.そもそも食事支給は課税されるのか
会社が役員や従業員に食事を支給した場合、原則としてその経済的利益は給与として課税対象になります。
ただし、一定の要件を満たす場合には、給与として課税されず、福利厚生として取り扱うことができます。
この取扱いは、社員食堂、仕出し弁当、提携飲食店で利用できる食事券など、
食事支給の形態が異なっても基本的な考え方は共通です。
2.非課税となるための要件
食事支給が非課税となるためには、次の2つの要件をどちらも満たす必要があります。
非課税の要件
- 役員または従業員が、食事価額の50%以上を負担していること
- 会社負担額が、1か月当たり7,500円以下であること
どちらか一方でも満たさない場合は、
会社が負担した金額が給与として課税対象になります。
また、ここでいう「食事価額」や「会社負担額」の判定は、
消費税および地方消費税を除いた金額(税抜金額)で行います。
実務では税込金額で処理してしまうケースもあるため、判定時には注意が必要です。
3.今回の改正ポイント|約40年ぶりの見直し
令和8年度税制改正により、会社が負担する食事支給の非課税限度額は、
従来の月額3,500円以下から、
月額7,500円以下へ引き上げられました。
この「3,500円」という基準は、昭和59年(1984年)の物価水準を前提として設定されたもので、
その後長年見直されていませんでした。
今回は約40年ぶりの改正となり、
物価上昇の影響を踏まえた実務的に大きな見直しといえます。
改正前と改正後
- 改正前:会社負担額 月額3,500円以下
- 改正後:会社負担額 月額7,500円以下
また、深夜勤務に伴う夜食の金銭支給についても、
非課税限度額が1回300円から650円へ引き上げられています。
4.給与課税となるケース|特に「現金支給」に注意
食事支給制度は要件を満たすことで非課税となりますが、
実務上もっとも注意すべきなのが「現金支給」です。
重要ポイント
現金で一律にランチ代を支給した場合は、原則として全額が給与課税となります。
例えば、「毎月5,000円の食事手当を現金で支給する」といった運用は、
食事支給とは認められず、全額が給与として課税されます。
非課税とするためには、
あくまで「食事の提供(現物支給)」であることが前提となります。
食券や提携店舗での利用なども含め、
実質的に食事として利用される仕組みであることが重要です。
給与課税となりやすいケース
- 現金で食事代を支給している
- 従業員負担が50%未満である
- 会社負担額が月額7,500円を超えている
- 制度と実態が一致していない
5.実務での活用ポイント
今回の改正により、福利厚生としての食事支給制度はより活用しやすくなりました。
特に物価上昇の中で、従業員の実質的な負担軽減につながる制度として注目されています。
導入・見直しのチェックポイント
- 従業員負担割合が50%以上か
- 会社負担額が月額7,500円以内か
- 現金支給になっていないか
- 税抜金額で正しく判定しているか
- 源泉徴収処理に誤りがないか
6.まとめ
食事支給に係る非課税限度額は、約40年ぶりに見直され、
月額3,500円から7,500円へと大幅に引き上げられました。
ただし、非課税となるためには、
従業員負担50%以上と
会社負担月額7,500円以下(税抜)
の両方を満たす必要があります。
特に、「現金支給は全額課税」という点は重要な実務ポイントです。
制度導入や見直しの際には、税務要件と運用の整合性を十分に確認することが求められます。
参考情報
- 国税庁「食事の現物支給の取扱い」
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」
- 経済産業省「税制改正の概要」







