第4話 銀行ごとに違う?相続手続きの流れと注意点を解説
親や家族が亡くなった後、銀行口座の相続手続きを進めようとすると、
「銀行ごとに必要書類が違う」
「窓口で手続きできる銀行と、郵送中心の銀行がある」
「どれくらい時間がかかるのか分からない」
と困る方は少なくありません。
相続預金の手続きは、基本的な流れは共通していますが、
必要書類、書式、提出方法、処理期間は金融機関ごとに異なります。
1.銀行の相続手続きの基本的な流れ
- 金融機関へ相続発生の申出をする
- 必要書類を確認する
- 戸籍・印鑑証明書などを準備する
- 銀行所定の相続届を作成する
- 金融機関へ提出する
- 銀行の確認後、払戻しや名義変更が行われる
実際には、遺言書の有無、遺産分割協議書の有無、相続人の人数、
口座の種類、借入金や貸金庫の有無などによって手続きが変わります。
2.必要書類は銀行ごと・相続状況ごとに変わります
- 亡くなった方の戸籍謄本等(出生から死亡までの連続したもの)
- 相続人全員の戸籍謄本等
- 相続人全員または預金を受け取る方の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
- 遺言書
- 銀行所定の相続届・相続に関する依頼書
- 通帳、証書、キャッシュカード、貸金庫の鍵など
遺言書がある場合、遺産分割協議書がある場合、家庭裁判所の調停調書・審判書がある場合などで、
必要書類は変わります。
3.メガバンクと地方銀行・信用金庫で対応が違うことがあります
メガバンクでは、相続専用部署や相続オフィスが設けられており、
郵送中心で手続きが進むケースがあります。
一方、地方銀行・信用金庫・農協などでは、取引店や担当者とのやり取りが中心になることもあります。
地域金融機関は相談しやすい反面、窓口対応が必要になったり、
各支店で確認に時間がかかったりすることもあります。
4.ネット銀行は郵送・オンライン中心のため別の負担があります
最近は、住信SBIネット銀行、楽天銀行などのネット銀行を利用している方も増えています。
ネット銀行の場合、店舗窓口がないため、
相続手続きは郵送やオンラインで進めるのが一般的です。
窓口に行かなくてよい一方で、
書類の取り寄せ、本人確認、問い合わせフォームや電話での確認など、
スマートフォンやパソコンに不慣れな相続人にとっては別のハードルがあります。
また、通帳がない口座では、残高や入出金履歴の確認方法も金融機関ごとに異なります。
相続税申告が必要な場合は、残高証明書や取引履歴の取得方法も早めに確認しておきましょう。
5.印鑑証明書の有効期限や原本提出の扱いも違います
銀行手続きでつまずきやすいのが、印鑑証明書や戸籍の有効期限、原本提出の扱いです。
発行日から何か月以内の書類が必要か、原本が返却されるか、コピーで足りるかは金融機関によって異なります。
複数の銀行がある場合は、最初に各金融機関の必要書類を確認し、
同じ書類を何通用意すべきか整理しておくと手続きが進めやすくなります。
6.法定相続情報一覧図を使うと複数銀行の手続きが楽になります
複数の金融機関に口座がある場合は、
法定相続情報一覧図の活用を検討しましょう。
法定相続情報一覧図は、亡くなった方と相続人の関係を一覧にした書類です。
法務局で認証文付きの写しを交付してもらうことで、
戸籍の束を銀行ごとに何セットも提出する負担を減らせます。
銀行、証券会社、不動産登記、相続税申告など、複数の手続きで使えるため、
相続人が多い場合や金融機関が複数ある場合には非常に有効です。
7.手続き期間はどれくらい?1〜2か月以上かかることもあります
相続預金の手続きにかかる期間は、銀行や相続の状況によって異なります。
戸籍や印鑑証明書がすぐ揃い、相続人も少ない場合は比較的早く進むこともあります。
しかし、実務上は次のような理由で1〜2か月以上かかることも珍しくありません。
- 戸籍の収集に時間がかかる
- 相続人が遠方にいて署名・押印が遅れる
- 銀行ごとの書式を取り寄せる必要がある
- 提出後に不足書類や内容確認が入る
- 複数の金融機関で並行して手続きをする必要がある
- 遺言書の検認や家庭裁判所の手続きが必要になる
8.生前に手続きしておくと早く受け取れるサービスもあります
一部の金融機関では、遺言代用信託や
受取人指定型の商品など、
生前に受取人を指定しておくことで、相続発生後に一定額を比較的早く受け取れるサービスがあります。
これらは、通常の預金相続手続きとは別枠で設計されている商品・サービスです。
ただし、利用には事前の契約が必要であり、金額や受取人、手数料、相続税上の取扱いも確認が必要です。
すでに相続が発生した後に新たに利用できる制度ではないため、
生前対策として検討するものと考えておきましょう。
9.銀行ごとの差が出やすい具体的なポイント
- 相続届・依頼書の書式
- 郵送対応の可否
- 窓口予約の必要性
- 印鑑証明書や戸籍の有効期限
- 原本提出・原本返却の扱い
- 法定相続情報一覧図で代用できる範囲
- 遺言書がある場合の確認方法
- 貸金庫・投資信託・外貨預金などがある場合の追加手続き
- ネット銀行のオンライン・郵送対応
同じ「預金の相続手続き」でも、普通預金だけの場合と、
定期預金、投資信託、貸金庫、借入金などがある場合では手続きの重さが変わります。
10.相続税申告との関係にも注意が必要です
銀行の相続手続きで取得する残高証明書や通帳の履歴は、
相続税申告でも重要な資料になります。
相続税申告では、相続開始日時点の預金残高、
既経過利息(亡くなった日までに発生している利息)、
死亡前後の出金、家族名義の預金などを確認する必要があります。
銀行手続きが遅れると、相続財産の全体像の把握も遅れ、
相続開始を知った日の翌日から10か月以内
という相続税の申告期限に影響することがあります。
相続税の申告が必要になりそうな場合は、銀行手続きと並行して早めに資料整理を進めることが大切です。
11.銀行対応のストレスは専門家に任せられます
相続預金の手続きは、銀行ごとに必要書類・書式・提出方法が異なり、
慣れていない方にとっては大きな負担になります。
特に、複数の銀行に口座がある場合や、相続人が遠方にいる場合は、
書類収集と銀行対応だけでかなりの時間を取られます。
当事務所では、相続税申告だけでなく、
相続預金のお引き出し代行サービスも行っています。
戸籍収集、法定相続情報一覧図の準備、銀行書類の作成、金融機関とのやり取りまで、
相続預金の手続きをまとめてサポートします。
12.まとめ
相続預金の手続きは、基本的な流れは共通していても、
必要書類、書式、提出方法、処理期間は銀行ごとに異なります。
メガバンク、地方銀行、信用金庫、ネット銀行では対応方法が異なり、
複数の金融機関がある場合は手続きの負担が大きくなります。
法定相続情報一覧図を活用すると負担を減らせますが、
それでも戸籍収集、銀行ごとの書類確認、相続人全員の署名・押印など、多くの作業が必要です。
銀行対応のストレスを減らしたい方は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
参考資料
- 全国銀行協会「預金相続の手続の流れ」
- 全国銀行協会「預金相続の手続に必要な書類」
- 三菱UFJ銀行「相続のお手続きのご案内」
- 三井住友銀行「相続の手続方法」
- 法務局「法定相続情報証明制度について」
- 国税庁「相続税の申告と納税」
※金融機関の必要書類・書式・URLは変更されることがあります。公開時・更新時にはリンク切れや最新情報をご確認ください。







