金利上昇時代の金融機関との上手な付き合い方|月次決算と情報開示が資金調達力を高めます - 【近江八幡・滋賀】税理士|澤田匡央税理士事務所
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金利上昇時代の金融機関との上手な付き合い方|月次決算と情報開示が資金調達力を高めます

金利上昇や物価高、人件費の増加などにより、中小企業の資金繰り環境は大きく変化しています。
これからの時代、金融機関と上手に付き合うためには、
「いざ借りたいときだけ相談する」のではなく、
日頃から会社の状況を正確な数字で説明できる体制を整えておくことが重要です。

金融機関が安心して融資判断を行うためには、
早く正確な月次決算、経営者自身による業績説明、信頼性の高い決算書、
そして適時の情報開示が欠かせません。

この記事では、金利上昇時代に中小企業が金融機関と信頼関係を築くために、
税理士事務所ができる支援と、TKCシステムを活用した情報開示のポイントを解説します。

1.金融機関が重視するのは「早く正確な数字」です

金融機関は、融資先企業が借入金を事業に活用し、
今後も安定して返済できるかを重視しています。
その判断材料となるのが、決算書、試算表、資金繰り表、経営計画書などの数字です。

しかし、年に1回の決算書だけでは、会社の現在の状況を十分に伝えることはできません。
売上や利益、在庫、売掛金、借入金、資金繰りは日々変化します。
そのため、毎月の月次決算を行い、最新の経営状況を把握することが重要です。

金融機関から見ても、月次で業績を把握し、自社の状況を説明できる企業は、
経営管理が行き届いている会社として評価されやすくなります。

2.月次決算は「翌月10日まで」を目標にしましょう

月次決算は、作成していても遅すぎると経営判断に活かしにくくなります。
たとえば、前月の数字を翌々月や数か月後に確認しても、
資金繰り悪化や利益率低下への対応が後手に回ってしまいます。

目標としては、翌月10日までに前月の数字を確定させることを意識しましょう。
早い段階で売上、利益、売掛金、在庫、借入返済、資金繰りを確認できれば、
金融機関への説明や資金調達の相談もスムーズになります。

TKCの記帳適時性証明書でも、巡回監査と月次決算は、
関与先企業が前月に作成した会計帳簿および取引記録を対象として、
その翌月に実施することを原則としている旨が示されています。
「早く、正確に、毎月確認する」ことが金融機関対応の土台になります。

3.発生主義による月次決算を定着させましょう

月次決算を金融機関への説明資料として活用するには、
売上や仕入、経費を現金の入出金だけでなく、
発生主義に基づいて正しく処理することが大切です。

たとえば、売掛金、買掛金、未払費用、棚卸資産などを適切に反映しなければ、
本当の利益や資金繰りの状況を正確に把握できません。
「通帳残高はあるのに利益が出ていない」
「利益は出ているのに資金繰りが苦しい」
といった状況を見誤らないためにも、発生主義による月次決算が必要です。

当事務所では、TKCのFXクラウドシリーズ等を活用し、
関与先企業が自社で適時・正確に記帳できるよう入力指導を行っています。
月次決算を継続できる体制を整えることで、金融機関へ説明しやすい資料づくりを支援します。

4.中小会計要領に基づく会計処理で決算書の信頼性を高める

中小企業の決算書は、税務申告のためだけでなく、
金融機関や取引先に会社の状況を説明するための重要な資料です。
そのため、決算書の信頼性を高めることが資金調達力の向上につながります。

中小企業庁などが策定した「中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)」は、
中小企業の実態に即した会計ルールとして位置づけられています。
中小企業庁の資料でも、中小企業に会計を定着させ、会計の活用を通じた経営力向上と、
決算書の信頼性確保による資金調達力向上を図ることが重要とされています。

当事務所では、月次巡回監査を通じて、
会計帳簿が適時・正確に作成されているかを確認し、
中小会計要領に沿った信頼性の高い決算書づくりを支援します。

5.月次巡回監査で「正確な月次決算」を支援します

月次決算は、単に会計ソフトへ入力すればよいというものではありません。
入力された会計データが、請求書、領収書、通帳、契約書などの証憑と整合しているかを確認する必要があります。

TKC全国会では、会員である税理士・公認会計士が関与先企業を毎月訪問し、
巡回監査、月次決算、経営助言を実施していると説明しています。
巡回監査では、会計資料と会計記録の適法性・正確性・適時性を検証し、
経営助言を行うことが重視されています。

当事務所でも、月次巡回監査により、毎月の数字を確認し、
経営者が自社の業績を説明できる状態を整えることを重視しています。

6.月次数値を早く経営者へ届け、次の一手につなげる

物価高、人件費の上昇、光熱費の増加、金利上昇など、
経営環境の変化は非常に速くなっています。
過去の決算書だけを見て判断していては、対応が遅れるおそれがあります。

月次決算で早く数字を確認できれば、
「利益率が下がっている」
「売掛金の回収が遅れている」
「在庫が増えて資金が寝ている」
「借入返済が資金繰りを圧迫している」
といった変化に早く気づくことができます。

当事務所では、月次決算の結果を経営者へ分かりやすく共有し、
資金繰り、価格改定、経費見直し、設備投資、借入相談など、
次の一手を考えるための判断材料として活用できるよう支援します。

7.金利タイプの選択も「数字」で検討しましょう

金利上昇時代には、固定金利と変動金利のどちらを選ぶべきか、
借換えを検討すべきか、複数の借入をどう組み合わせるべきかといった相談が増えます。

たとえば、変動金利は当初の金利が低く見える一方、
将来の金利上昇によって返済負担が増える可能性があります。
固定金利は返済額を見通しやすい一方で、変動金利より金利が高くなることがあります。

また、一定規模以上の借入では、金利上昇リスクを抑えるために、
金利スワップなどの金融手法を提案されることもあります。
ただし、これらは契約内容や解約時の負担が複雑になるため、
金融機関の説明をそのまま受け入れるのではなく、
自社の資金繰り表や返済計画と照らして慎重に判断することが大切です。

税理士事務所では、金融商品の選択そのものを断定するのではなく、
借入条件ごとの支払利息、返済額、資金繰りへの影響を数字で整理し、
経営判断の材料を提供できます。
金利タイプを検討する際も、月次決算と資金繰り表が重要な判断材料になります。

8.TKCモニタリング情報サービスで金融機関へ情報開示する

金融機関との信頼関係を築くうえで重要なのが、適時・適切な情報開示です。
決算書や試算表を求められてから提出するのではなく、
会社の状況をタイムリーに共有する姿勢が大切です。

TKCモニタリング情報サービスは、法人税・個人所得税の電子申告を行うと、
決算書等を金融機関へ電子的に開示できるサービスです。
税務署に提出した内容と同じ決算書・申告書が金融機関へ開示されるため、
財務情報の信頼性を高める仕組みとして活用できます。

つまり、金融機関にとっては、税務署へ提出されたものと同一の信頼性ある財務情報を確認できることになります。
会社側にとっても、紙の決算書を個別に提出する手間を減らし、経営の透明性を高めることができます。

9.書面添付で決算書の信用力をさらに高める

決算書の信用力を高める方法の一つに、税理士法第33条の2に基づく書面添付制度があります。
国税庁は、税理士または税理士法人が申告書を作成した場合に、
その申告書の作成に関し、計算し、整理し、または相談に応じた事項を記載した書面を
申告書に添付して提出する手続であると説明しています。

書面添付を行うことで、税理士がどのような資料に基づいて申告書を作成したのか、
どのような確認を行ったのかが明確になります。
これは税務上の信頼性だけでなく、金融機関が決算書を評価する際の安心材料にもなります。

当事務所では、月次巡回監査とあわせて、必要に応じて書面添付を実践し、
決算書の信頼性向上を支援します。

10.いざというときに備えた迅速な資金調達体制を整える

金融機関との信頼関係を日頃から築くことに加え、
いざ資金調達が必要になったときに素早く動ける体制を整えておくことも重要です。

TKC全国会と日本政策金融公庫は、中小企業・小規模事業者への円滑な資金供給を支援するため、
提携スキーム「TKCファストリンク」を構築しています。
TKCファストリンクでは、TKC会員が紹介した関与先企業について、
融資の検討結果を申込みからおおむね5営業日以内、創業の場合は7営業日以内に回答する仕組みとされています。

このような仕組みを活用できる背景には、日頃から月次決算や巡回監査を通じて、
信頼性の高い財務情報を整えていることがあります。
「急いで資金が必要になったとき」ほど、普段からの準備が大きな差になります。

11.早期経営改善計画策定支援事業の活用も検討しましょう

金融機関との関係改善や資金繰りの見直しを進めたい場合には、
国の支援制度である早期経営改善計画策定支援事業の活用も検討できます。

中小企業庁は、この事業について、資金繰りの安定や本源的な収益力の改善に向けた取組を支援するものと説明しています。
国が認定した専門家の支援を受けて、資金計画、ビジネスモデル俯瞰図、アクションプランなどの経営改善計画を策定する場合、
専門家に対する支払い費用の一部が補助されます。

つまり、金融機関に説明するための計画書や資金繰り資料を、
コストを抑えて整備できる可能性があります。
「資金繰りが不安」
「金融機関に今後の見通しを説明したい」
「経営改善計画を作りたい」
という場合は、認定経営革新等支援機関へ早めに相談しましょう。

12.金融機関に説明できる経営者を目指しましょう

金融機関対応は、税理士事務所がすべて代わりに説明すればよいというものではありません。
最も大切なのは、経営者自身が自社の数字を理解し、
金融機関に対して自社の状況や今後の方針を説明できることです。

たとえば、売上が下がっている場合でも、
その原因、改善策、今後の見通しを数字で説明できれば、
金融機関の受け止め方は変わります。
逆に、経営者が自社の数字を説明できない場合、
金融機関は将来の返済可能性を判断しにくくなります。

当事務所では、月次決算の結果を経営者と一緒に確認し、
金融機関に説明できる状態を整えることを重視しています。

13.税理士事務所ができる金融機関対応サポート

当事務所では、金融機関との信頼関係づくりに向けて、次のようなサポートを行います。

  • 発生主義に基づく月次決算の定着支援
  • 翌月10日を目標とした月次決算体制の整備
  • TKC FXクラウドシリーズ等の導入・入力指導
  • 月次巡回監査による会計帳簿の確認
  • 中小会計要領に沿った決算書づくり
  • 月次試算表・資金繰り表の作成支援
  • 金利タイプ別の支払利息・返済額シミュレーション
  • 経営者への月次数値の分かりやすい説明
  • TKCモニタリング情報サービスによる金融機関への情報開示支援
  • 税理士法第33条の2に基づく書面添付の実践
  • 日本政策金融公庫等への資金調達相談の準備
  • 早期経営改善計画策定支援事業の活用相談
  • 金融機関に説明できる経営計画・資金繰り計画の作成支援

14.まとめ

金利上昇時代に金融機関と上手に付き合うためには、
早く正確な数字を継続して提供できる体制が必要です。
その基本となるのが、発生主義による月次決算、月次巡回監査、
中小会計要領に沿った信頼性の高い決算書、そして積極的な情報開示です。

特に、翌月10日までに前月の数字を確認できる体制があれば、
資金繰りの変化や金利上昇の影響に早く気づき、
金融機関への相談も前倒しで進めることができます。

TKCモニタリング情報サービスや書面添付、TKCファストリンク、
早期経営改善計画策定支援事業などの仕組みを活用することで、
金融機関にとっても安心して融資判断しやすい環境を整えることができます。

いざ資金が必要になったときに慌てないためにも、
平時から月次決算を整え、自社の数字を経営者自身が説明できる状態にしておきましょう。
金融機関対応や資金繰りに不安がある方は、早めに税理士事務所へご相談ください。

参考資料

※金融支援制度、TKC関連サービス、金融機関の取扱いは変更されることがあります。
公開時・更新時には最新情報をご確認ください。


事務所通信を参照して作成。

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