令和8年10月から「ふるさと納税」が変わる?
〜ポイント付与の禁止・返礼品・ワンストップ特例で注意したいポイント〜
ふるさと納税は、自分が応援したい自治体に寄附を行い、
一定の限度額の範囲内で所得税・住民税の控除を受けられる制度です。
返礼品を受け取れることから、多くの方に利用されています。
一方で、ふるさと納税制度は、返礼品競争の過熱やポータルサイトによるポイント還元競争などを背景に、
これまでも何度かルールの見直しが行われてきました。
令和8年10月からは、寄附者にとって身近な変更として、
民間ポータルサイトによるポイント付与の禁止が予定されています。
今回は、ふるさと納税を利用する方に向けて、
「何が変わるのか」
「寄附者にはどのような影響があるのか」
「ワンストップ特例で注意すべきこと」
を税理士事務所の視点から解説します。
※本記事は、令和8年6月時点の公表情報等をもとに作成しています。
今後の制度改正や自治体ごとの取扱いにより内容が変更される可能性があります。
実際に寄附を行う際は、各自治体・ポータルサイト・国税庁・総務省等の最新情報をご確認ください。
1.そもそも「ふるさと納税」とは
ふるさと納税とは、自分が選んだ自治体に寄附を行った場合に、
寄附金額のうち2,000円を超える部分について、
一定の限度額まで所得税と住民税から控除を受けられる制度です。
たとえば、寄附をした方の所得や家族構成に応じた控除上限額の範囲内であれば、
実質的な自己負担2,000円で自治体を応援できる仕組みです。
ただし、ふるさと納税は「税金がそのまま安くなる制度」というよりも、
自治体への寄附を行い、その寄附について所得税・住民税の控除を受ける制度です。
控除額には上限があるため、寄附しすぎると自己負担が増える点には注意が必要です。
2.令和8年10月から何が変わるのか
令和8年10月以降の見直しでは、寄附をする方にとって非常に身近なルールが大きく変わります。
具体的には、「民間ポータルサイトによるポイント付与(還元)の禁止」が導入される予定です。
これまで、多くのポータルサイトでは、ふるさと納税の寄附額に応じて、
独自のポイントやキャンペーン特典を付与する仕組みがありました。
買い物などに使えるポイントを目的に、寄附先や利用サイトを選んでいた方も少なくないでしょう。
しかし、国は、ポイント還元競争が過熱すると、
本来地域に届くべき寄附金がポータルサイト側の経費や販促費に流れてしまうおそれがある点を問題視してきました。
そのため、令和8年10月からは、自治体が
「寄附者にポイントを付与するポータルサイト」
を利用して寄附を募ることが禁止される予定です。
3.ポイント過熱を抑え、本来の趣旨に戻すことが目的
ふるさと納税の本来の趣旨は、応援したい地域に寄附を行い、
その財源を地域の発展に役立ててもらうことです。
しかし、これまでは、
「ポイントがたくさんもらえるから、このサイトで寄附しよう」
「キャンペーン還元率が高い時期にまとめて寄附しよう」
というように、ポイント優位の選び方になりがちな面がありました。
今回の見直しは、
「ポイントの魅力で寄附を集める制度」から、
「地域を応援する寄附制度」へと、
より本来の姿に近づけるためのルール整備といえます。
なお、過去には、返礼品の経費管理や地場産品基準の引き締めも行われています。
今回のポイント付与禁止は、それに続く大きな転換点といえるでしょう。
4.寄附者にはどのような影響が出る?
ルールが見直されると、寄附者にとっては、
「これまでのように、ふるさと納税で大量のポイント還元を得ることが難しくなる」
という直接的な影響が出ます。
令和8年10月以降は、各ポータルサイトがポイント付与に代わる新しいサービスや、
地域の魅力を伝える独自の工夫を打ち出してくることが予想されます。
そのため、毎年秋から年末にかけて駆け込みでふるさと納税を行っている方は、
令和8年については、ルールが変わる前の9月中までに寄附を済ませるかどうか、
早めにスケジュールを検討しておくとよいでしょう。
ただし、寄附のタイミングだけを優先して、控除上限額を超えてしまうと自己負担が増えます。
ポイントの有無だけで判断するのではなく、自分の所得や住民税額を踏まえて寄附額を決めることが大切です。
5.返礼品や寄附額にも影響が出る可能性があります
ポイント付与の禁止だけでなく、ふるさと納税では、返礼品に関する経費管理や地場産品基準も重要な論点です。
返礼品の調達費用、ポータルサイト手数料、広告費、送料など、
寄附を集めるための経費が大きくなりすぎると、
自治体に残る財源が少なくなってしまいます。
また、返礼品については、その地域とどのような関係があるのかという
地場産品基準も確認されます。
単に地域内で包装しただけ、保管しただけでは、
返礼品として認められない可能性があります。
ルールが厳格化されることで、寄附者にとっては、
同じ返礼品でも寄附額が変わる、返礼品の量や内容が変わる、
一部の返礼品が取り扱われなくなる、といった影響が出る可能性があります。
ふるさと納税を毎年利用している方は、
「去年と同じ返礼品だから、今年も同じ条件」とは限らない点に注意しましょう。
6.自治体・返礼品提供事業者にも説明責任が求められます
ふるさと納税の見直しは、寄附者だけでなく、自治体や返礼品提供事業者にも影響します。
返礼品を提供する事業者は、返礼品の価格や付加価値について、
自治体に対して説明できる体制を整える必要があります。
特に、製造・加工品については、
その地域でどれだけの付加価値が生じているのかが重要になります。
原材料、製造工程、加工場所、販売価格、調達価格などを整理し、
地場産品としての説明ができるようにしておくことが求められます。
一般の寄附者に直接の事務負担が増えるわけではありませんが、
返礼品のラインナップや寄附額に影響が出る可能性があるため、
制度変更の概要は知っておくとよいでしょう。
7.ふるさと納税で控除を受けるには手続きが必要です
ふるさと納税を行っただけでは、原則として自動的に税金が控除されるわけではありません。
控除を受けるためには、確定申告を行うか、
一定の要件を満たす場合にはワンストップ特例制度を利用する必要があります。
確定申告を行う場合は、寄附金受領証明書や寄附金控除に関する証明書などをもとに、
所得税の寄附金控除を申告します。
その結果、所得税の還付や翌年度の住民税の控除につながります。
給与所得者で確定申告が不要な方については、
寄附先の自治体数が5団体以内など、一定の要件を満たす場合に、
ワンストップ特例制度を利用できます。
8.ワンストップ特例制度とは
ワンストップ特例制度とは、確定申告をしなくても、
ふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組みです。
主な要件は次のとおりです。
- もともと確定申告をする必要のない給与所得者等であること
- その年の寄附先が5自治体以内であること
- 各寄附先の自治体にワンストップ特例申請書を提出すること
ワンストップ特例を利用すると、所得税からの控除ではなく、
原則として翌年度の住民税から控除されます。
そのため、住民税の特別徴収税額決定通知書などで控除額を確認することになります。
ただし、医療費控除、住宅ローン控除の初年度、事業所得、不動産所得、
2か所以上からの給与などにより確定申告をする場合は、
ワンストップ特例の申請をしていても、その申請は無効になります。
この場合は、ワンストップ特例を申請した寄附も含めて、
すべてのふるさと納税について確定申告を行う必要があります。
9.確定申告をする人は「寄附金控除の入れ忘れ」に注意
ふるさと納税でよくあるミスが、
ワンストップ特例を申請した後に医療費控除などで確定申告を行い、
その確定申告でふるさと納税の寄附金控除を入れ忘れるケースです。
確定申告を行うと、ワンストップ特例の申請は無効になります。
そのため、確定申告書にふるさと納税の寄附金控除を記載しなければ、
控除を受けられない可能性があります。
医療費控除、住宅ローン控除、株式譲渡・配当、不動産所得、事業所得などで確定申告をする方は、
ふるさと納税の寄附金控除を忘れずに申告しましょう。
10.控除上限額を超えると自己負担が増えます
ふるさと納税には、所得や家族構成に応じた控除上限額があります。
この上限額を超えて寄附をした場合、超えた部分については自己負担となります。
特に、次のような方は控除上限額が変わりやすいため注意が必要です。
- 前年より所得が下がった方
- 退職・転職・休職をした方
- 医療費控除を受ける方
- 住宅ローン控除を受ける方
- 扶養親族が増えた方
- 副業や不動産所得がある方
ポータルサイトのシミュレーションは便利ですが、あくまで概算です。
実際の控除額は、所得、所得控除、税額控除、住民税の状況によって変わります。
不安な場合は、源泉徴収票や住民税通知書をもとに確認しましょう。
11.令和8年は「9月まで」と「年末」の2段階で確認を
令和8年10月からポイント付与禁止が予定されているため、
令和8年については、例年より早めに寄附のスケジュールを考える方が増える可能性があります。
ただし、9月までに急いで寄附をする場合でも、
その年の所得見込みや控除上限額を確認することが大切です。
年末にかけて所得が変動する方、賞与額が不確定な方、医療費控除を受ける可能性がある方は、
寄附額を慎重に検討しましょう。
令和8年のふるさと納税では、
まず9月までに制度変更前の寄附を検討し、
年末には控除上限額や申告方法を再確認する、という2段階の確認がおすすめです。
12.税理士事務所ができるサポート
当事務所では、ふるさと納税について、単に「いくら寄附できるか」だけでなく、
確定申告や住民税通知書の確認まで含めてサポートしています。
- ふるさと納税の控除上限額の確認
- 確定申告での寄附金控除の確認
- ワンストップ特例を利用した方の注意点の確認
- 医療費控除・住宅ローン控除との関係確認
- 住民税通知書に記載された寄附金税額控除の確認
- 控除漏れが疑われる場合の確認
- 個人事業主・不動産所得者の確定申告サポート
- 役員・高所得者の寄附上限額の確認
「ふるさと納税をしたが、きちんと控除されているか分からない」
「確定申告で寄附金控除を入れ忘れたかもしれない」
「来年はいくらまで寄附してよいか確認したい」
という方は、早めにご相談ください。
13.まとめ|令和8年10月以降はポイント付与禁止に注意
令和8年10月以降、ふるさと納税では、
民間ポータルサイトによるポイント付与が禁止される予定です。
これまでポイント還元を重視して寄附先や利用サイトを選んでいた方にとっては、
大きな変更点になります。
また、返礼品の経費管理や地場産品基準の確認も引き続き重要です。
返礼品の内容、寄附額、提供条件が変わる可能性があります。
一方で、寄附者が控除を受けるための基本的な考え方は変わりません。
ふるさと納税を行った場合は、確定申告またはワンストップ特例制度により、
適切に寄附金控除を受ける必要があります。
特に、医療費控除などで確定申告をする方は、
ワンストップ特例が無効になるため、
ふるさと納税分も忘れずに確定申告へ含めることが重要です。
ふるさと納税は、上手に活用すれば地域を応援しながら税負担を調整できる制度です。
ただし、控除上限額や申告手続きには注意が必要です。
不安がある場合は、税理士へ相談しながら進めましょう。
ふるさと納税・確定申告のご相談はこちら
澤田匡央税理士事務所では、個人の確定申告、医療費控除、寄附金控除、
住民税通知書の確認などをサポートしています。
「ふるさと納税の控除が正しく反映されているか確認したい」
「ワンストップ特例を使ったが、確定申告も必要になった」
「来年の寄附上限額を確認したい」
という方は、お気軽にご相談ください。
参考情報







