第10回 「赤字でも平気です」と言っていた経営者の末路・・・税理士として実際によく感じること - 【近江八幡・滋賀】税理士|澤田匡央税理士事務所
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第10回 「赤字でも平気です」と言っていた経営者の末路・・・税理士として実際によく感じること

創業支援連載|第10回

「今は赤字でも大丈夫です。売上が伸びれば、そのうち何とかなりますから」

創業間もない経営者の方から、こうした言葉を聞くことがあります。
たしかに、創業直後は先行投資も多く、最初から十分な利益が出ないことも珍しくありません。
そのため、「赤字=即ダメ」という単純な話ではありません。

ただ、税理士として多くの現場を見てきた実感として言えるのは、
赤字そのものよりも、「赤字を軽く見ている姿勢」の方が危険だということです。

今回は、創業者支援の現場で実際によくある流れをもとに、
「赤字でも平気」と考えていた経営者が、どのように苦しくなっていくのかを、
税理士の視点から体験談風にお伝えします。

最初は、よくある前向きなスタートだった

その方は、勢いのある経営者でした。
営業力もあり、人あたりも良く、仕事への熱意も十分にあります。
実際、開業直後から問い合わせも入り、売上もゼロではありませんでした。

ただ、毎月の試算表を見ると、結果は赤字です。
それでも本人は、あまり気にしていませんでした。

本人の考え

  • 今は立ち上げ期だから赤字でも仕方ない
  • 売上はこれからもっと伸びるはず
  • 広告費や人件費は未来への投資だから問題ない

ここまでは、実は珍しい話ではありません。
問題は、このあとでした。

赤字が危ないのではなく、「検証していない赤字」が危ない

赤字には、意味のある赤字と、そうでない赤字があります。

たとえば、開業直後に必要な設備投資をしたため一時的に赤字になるケースや、
明確な販売戦略のもとで先に広告費を投じているケースは、
内容を見れば理解できることがあります。

しかし、その方の場合は違いました。
毎月の赤字の理由を聞いても、
「たぶん来月は良くなると思います」
「今はまだ仕方ないです」
という返答が多く、
具体的な検証がありませんでした。

危険な赤字の特徴

  • なぜ赤字なのか本人が説明できない
  • どの経費が重いのか把握していない
  • 何月に黒字化する予定なのか決まっていない
  • 「売上を増やす」以外の改善策がない

「売上が増えれば大丈夫」は、たいてい途中で崩れる

赤字でも平気だと言う経営者の多くは、
「売上さえ増えれば全部解決する」と考えています。

もちろん、売上は大事です。
ただし、売上が増えても、同じように経費も増えていれば、
利益は思うほど残りません。
むしろ忙しくなった分、外注費、採用費、交通費、広告費などが膨らみ、
以前より資金繰りが苦しくなることもあります。

実際、その方も売上は伸びました。
ところが、利益はほとんど改善しませんでした。
売上を作るためのコストが増えすぎていたからです。

一番危ないのは、赤字に慣れてしまうこと

ここが、税理士として特に怖いと感じるところです。

赤字が1か月、2か月と続くと、本来は危機感を持つべきです。
ところが、半年、1年と続いていくと、
経営者自身が赤字に慣れてしまうことがあります。

すると、
「今月も赤字だったけど、まあ仕方ない」
「来月なんとかしよう」
という感覚になり、
本来打つべき手を打たないまま時間が過ぎていきます。

さらに現場でよく見られるのが、
社長個人の資金を会社に入れて資金繰りを維持する、
いわゆる「役員借入金」での対応です。

一見すると資金は回っているように見えますが、
実態としては会社の利益構造は何も改善していません。

社長個人の持ち出しで何とかなっているうちは、まだ赤字に甘えが出てしまう。
しかし、それは「延命」であって「改善」ではありません。

赤字慣れしている状態

  • 試算表を見ても驚かない
  • 赤字額の大きさに反応しなくなる
  • 資金繰りよりも気分で判断する
  • 「まだ大丈夫」と根拠なく言うようになる

そして、ある日突然「平気ではなかった」と気づく

赤字経営の怖いところは、
少しずつ悪くなるため、本人が変化に気づきにくいことです。

ところが、あるタイミングで一気に現実が押し寄せます。

  • 預金残高が急に減ったとき
  • 納税や社会保険料の支払いが重なったとき
  • 借入返済が本格化したとき
  • 売掛金の入金が遅れたとき
  • 取引先が一社減ったとき

さらに進むと、
債務超過(資産より負債が多い状態)
に陥るケースもあります。

債務超過になると、
金融機関からの融資が極めて難しくなり、
事業継続そのものに大きな影響が出ます。

その方も、最終的には
「こんなに資金が減っていると思わなかった」
と言われました。
ただ、税理士から見ると、兆候はもっと前から出ていました。

税理士として本当に伝えたいのは、「赤字は悪」ではないということ

創業期には、赤字になることもあります。
新規事業や先行投資が必要な場面もあります。

問題なのは、
赤字を説明できないこと
そして
赤字の改善計画がないこと
です。

まとめ|「赤字でも平気」は、最後まで平気だった試しがない

少し厳しい言い方になりますが、
税理士としての実感では、
「赤字でも平気」と言い続けて、本当に最後まで平気だったケースはほとんどありません。

赤字が悪いのではなく、
赤字を軽く見て、
何も変えないことが危険なのです。

経営は気合だけでは続きません。
最後に会社を守るのは、やはり数字です。

赤字が続いて不安な方は、早めにご相談ください

赤字の原因分析、資金繰りの見える化、固定費の見直しなど、
実務に沿ったサポートを行っています。

参考情報

  • 国税庁「記帳や帳簿等保存について」
  • 国税庁「青色申告制度の概要」
  • 中小企業庁「創業支援関連情報」
  • 日本政策金融公庫「創業の手引き」



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