110万円の現金贈与を活用した贈与税のポイント
親から子へ、祖父母から孫へ…「毎年110万円以内の現金贈与」を活用しているご家庭はとても多いです。
この「110万円の壁」は贈与税の基礎控除額で、うまく使えば贈与税はかかりません。
しかし、贈与は単なる「お金の移動」ではなく「契約」です。後々の相続トラブルを防ぐためにも、正しい知識と対策が欠かせません。
当事務所では、巡回監査や相続・贈与相談の場で、以下のポイントを必ずお伝えしています。ご家族の状況に合った贈与方法を選べるよう、2つの基本制度と便利な非課税特例をわかりやすく解説します。
1. 贈与は「契約」であることを忘れずに
贈与とは、無償で財産を渡す契約です。あげる人(贈与者)と受け取る人(受贈者)の双方の合意が必要です。
よくある「名義預金」のケースでは、以下のような状態だと贈与が成立していないと判断され、相続時に親の財産として相続税の対象になってしまいます。
- 通帳・届出印を親が管理している
- 子が預金の存在自体を知らない
- 振込や管理が親名義のまま
① 贈与契約書を作成する(金額・日付・目的を明記)
② 贈与者の口座から受贈者の口座へ直接振り込む
③ 通帳・印鑑・カードは受贈者本人が管理する
これらを守ることで、後日の税務調査や相続人間の争いを防げます。
2. 贈与税の2つの基本制度を知っておこう
贈与税には主に2つの制度があります。どちらを選ぶかで、税負担や将来の相続税が変わってきます。
① 暦年課税制度(基本の制度)
1年間に受け取った贈与額の合計から110万円を控除。残額に対して税率を掛けて贈与税を計算します。
110万円以下なら贈与税はゼロ、申告も不要です。
② 相続時精算課税制度(令和6年改正で使いやすく)
60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に使えます。
- 累計2,500万円まで特別控除(贈与税0円)
- さらに毎年110万円の基礎控除(令和6年改正で新設。申告不要・相続加算なし)
- 超過分は一律20%の贈与税
- 相続時に贈与分を相続財産に加算して精算
当事務所では、TKCの相続対策支援システム(TPS8200)を使って、暦年課税と相続時精算課税の税額を比較シミュレーションできます。ご家族の状況に最適な選択肢をご提案いたします。
3. 直系尊属からの贈与で使える非課税特例(令和7年現在)
住宅・教育・結婚・子育てに関するまとまった資金贈与には、110万円の基礎控除とは別に非課税特例があります。
- 住宅取得等資金の贈与の非課税特例
父母・祖父母から住宅購入・新築・増改築資金の贈与を受けた場合
→ 省エネ・耐震・バリアフリー等良質住宅:最大1,000万円まで非課税
→ 一般住宅:最大500万円まで非課税
(適用期限:令和8年12月31日まで) - 教育資金の一括贈与の非課税特例
30歳未満の子・孫へ教育資金を一括贈与
→ 最大1,500万円まで非課税
(適用期限:令和8年3月31日まで) - 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例
18歳以上50歳未満の子・孫へ結婚・出産・子育て資金を一括贈与
→ 最大1,000万円まで非課税(うち結婚費用は300万円まで)
(適用期限:令和9年3月31日まで)
※各特例には細かい要件(年齢・用途・書類提出期限など)があります。詳細は当事務所までお問い合わせください。
まとめ:贈与は「計画」と「証拠」が命です
110万円の現金贈与はシンプルに見えて、実はさまざまな落とし穴があります。
当事務所では、贈与契約書の作成サポートから制度選択のシミュレーション、非課税特例の適用チェックまで、トータルで相続・贈与対策をお手伝いしています。
「うちの場合、どの制度が一番お得?」「名義預金になってないか心配…」など、
少しでも気になることがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
※本記事は令和7年現在の税制に基づいています。法改正により内容が変わる場合があります。最新情報は必ず税理士にご確認ください。







